まるで現在の政治批判、商鞅の改革論がヤバすぎる

2016年8月12日


 

商鞅

 

商鞅(しょうおう)はキングダムの時代より100年程前に登場して、

法律万能の法家の思想で秦を改革して、富強にし、後に秦が中華を

統一する基礎を造った人物です。

しかし、斬新な商鞅の改革は、大きな反発が予想され、彼を登用した、

秦の孝公(こうこう)も実行を躊躇する程でした。

ところが、ここで商鞅は実に堂々とした弁舌を繰り広げ、反対派を抑え、

孝公に改革の実行を決意させますが、これが正論すぎてヤバいのです。

 

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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商鞅曰く改革は国民に黙って実行し、成果だけを与えれば宜しい

陸遜

 

商鞅は、改革を躊躇する孝公に、このように力説します。

 

「人間、名誉と自信と言うモノは、現実に成功し実績を得なければ、

簡単に手に出来るもんじゃありません。

 

よって、成功体験もない愚者や凡人は、改革を前にしてアレコレ騒ぐのです。

村人

 

国に広く公布すれば、騒ぎになるのは当たり前ですので、

うるさい雑音を防ぐためにも極秘にやりましょう。

 

そもそも賢者は実行前から、この改革の成功を確信し、

愚者は、改革が成功しても、その事を理解できません。

よって、よく世の中を知る人間は、黙って実行し大勢に相談しないのです。

国民には、ただ、改革の成功の恩恵だけを与えればいいでしょう」

 

 

いかがですか、三人寄れば文殊の知恵を信じない、商鞅の独断専行。

何かと言えば、話し合い、第三者委員会としか言わない、

現在の政治家まで、批判しているようなくちぶりです。

これが2300年前の人物の発言とは信じられません。

 

甘龍が反論、慣習を尊重しない政治には無理が出る

 

この商鞅の意見に、孝公は賛同しますが、家臣の一人である

甘龍(かんりゅう)が反論します。

 

「いやいや、あなたの考えは間違っている、秦には昔からの慣習があり、

古来からの法があります、これをよく守りながら改革した方が、

国民は慣れ親しんだ慣習なので動揺せず、役人は勝手が分る法なので

十分にその能力を発揮できるではありませんか?

これこそ、王者が取る道だと言えましょう・・」

 

商鞅、甘龍を論破、それは全くの俗論に過ぎない!

 

甘龍の反論に、乗り気になった孝公も、再び躊躇してしまいます。

そこで、商鞅は、今度は甘龍に対して反論しました。

 

「あなたの言っている事は、まったくつまらない俗論に過ぎない

昔から、凡人は慣習だけを頼りにし、また学者は知識だけで満足します。

この両者は官吏として既成の法を守らせる事は出来ますが、所詮は

そこで終わりであり、新しい事など一つも出来ず、まるでお話にならない・・

 

それにあなたは、慣習がいかにも千古不易のように語るが、

古来、礼も法も一定不変である事は無かったのです。

 

夏、、周の3つの王朝は、それぞれ、慣習も法も違うのに、

立派に国を治めてきましたし、春秋の五覇は、ひとりとして同じ方法ではなく

独自の努力で、覇王に登りつめたではありませんか?

 

あなたの熱弁する慣習も、昔、賢者が制定し、愚者がそれに従って、

今日まで続いてきたのです。

 

現在だって、同じ事、賢者が新たな慣習を造り、愚者がそれに従い、

やがて、年月も分らぬ果てには伝統になりましょう。

古来より、慣習や法とは、それの繰り返しなのですよ・・」

 

言いたい放題ではありますが、この商鞅から発散される説得力は、

一体、何事でしょうか、、甘龍は反論できず引き下がりました。

 

今度は杜摯が反論、「古い慣習に従えば間違いはない!」

 

甘龍が引き下がると、今度は、杜摯(とし)という家臣が反論します。

 

「古来より、道具は、その性能が十倍にならないと変えてはいけないと言い、

法は、その利益が100倍にならないと変えてはいけないと言います。

何にしても、古い法を守っていれば大きな間違いはないのです!!」

 

商鞅は杜摯に反論、国家に有益なら法など幾ら変えても構わない!

商鞅

 

杜摯の反論も商鞅は受けて立ちます。

 

「そもそも、政治の法は固定したものではありません、、

それどころか、国家にとって有益だと分っているなら

遠慮なく変えなければ、怠慢でありましょう。

 

よく歴史をご覧なされ、聖王とされる、殷の湯王や周の武王は、

古来の法を破り主君を滅ぼして王になりましたが、誰も非難しません。

一方、夏の桀王や殷の紂王は、古来の法を守っていたにも関わらず、

今日、誰も褒めたたえる人はおりません。

 

ですから、慣習に背くから悪ではありませんし、古い法に従うから

褒められるというものでもないのです」

 

商鞅の反論に、杜摯はぐうの音も出ず、引き下がるほかありませんでした。

孝公は、これで完全に決心して、商鞅の変法を受け入れて実行し、

秦は、これより、140年の後に中華を統一するのです。

 

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キングダムライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

商鞅の現実主義に立った視点は、儒教による、もったいつけた

性善説に立った議論が多い、古代中国の討論の中で異彩を放っています。

彼の思想は、その社会で最適と思える法を実行し権威や伝統などに

拘らないという、非常にさっぱりした冷徹なモノでした。

 

決められない政治が久しく、議論が素晴らしい、とにかく話し合おう

という価値観が素晴らしいとされている現在、商鞅の無駄を削いだ

冷徹で合理的な考えは、非常な説得力を持って響いてきます。

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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