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【シミルボン】戦だけが能じゃない?三国志の英雄達を詩で比較してみたよ!

2016年11月2日


 

シミルボン

 

※こちらの記事は「シミルボン」専用オリジナルコンテンツです。

蔣琬と姜維と王平

 

三国志は、弱肉強食の世界ですから、まず第一に見られるのは、
武勇か知略であろうと思います。
しかし、人間、武勇や知略ばかりではない、教養でも勝負してみようではないか?
という事で、今回は三国志の英雄達詩的な才能で順位をつけてみました。
詩からは、単純な巧拙ばかりではなく人間性まで透けてみえるから面白いものです。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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3世紀の小田和正?劉備のさらば青春

劉備 髀肉の嘆 ゆるキャラ

 

劉備(りゅうび)が詩を読んだというと、意外に思うかも知れませんが、
それが、有名な脾肉(ひにく)の嘆(たん)の故事になったこの詩です。

吾常身不離鞍 髀肉皆消 今不復騎、髀裏肉生
日月若馳 老將至矣、而功業 不建、是以悲耳。

もちろん、このままだと、訳がわからないので、
現代文に直すと大体は、こんな意味になります。

♪私は、常に馬の鞍を体から離す事は無く太股に贅肉なんか無かった。
でも今は太股にお肉がついちゃって、もう馬にも乗れない(泣)
若かった青春の日は過ぎ去り、年老いた私がいる。
なのに、いまだ、これといった手柄も立てられない悲しくて堪らない。

いいんじゃないですか?女々しくて雄大さはないけど、、
小田和正の歌みたいに聞こえます。

 

関連記事:髀肉の嘆(ひにくのたん)って何?劉備が嘆いた言葉とは?

関連記事:コネ男・劉備から学ぶ人脈作り!コネクションの活かし方をコッソリ教えちゃいます!【ビジネス三国志】

 

3世紀のさだまさし? 諸葛亮孔明(しょかつりょう・こうめい)

孔明

 

劉備の軍師、諸葛亮孔明は若い頃は荊州の隆中という
田舎に引きこもっていたので、詩を読むヒマがあったようです。

一番知られているのが、若い頃によく口ずさんでいたと
言われる梁父吟(りょうほぎん)という、この詩

歩出斉城門 遥望蕩陰里 里中有三墳 塁塁正相似
問是誰家墓 田疆古冶子 力能排南山 文能絶地紀
一朝被讒言 二桃殺三士 誰能為此謀 国相斉晏子

こちらを現代文に直すとこんな風になります。

♪斉の城門を歩いて出いて、遠くに蕩陰(とういん)の村を眺めると
そこにお墓が三基あります、並んで立っていてよく似ています。
「これはどちらのお墓ですか」と私は聞きました
「これが有名な公孫接(こうそんせつ)、田開彊(でんかいきょう)、
古冶子(こちし)のお墓なんですよ
この三人は南山を動かすほど怪力で大地の四隅を繋ぐ紐を
切ってしまえる程に学問もできる人たちでした。
でも、一度、でまかせを言われ、二つの桃が三人を殺しました」
「誰がこんなはかりごとをしたのでしょうか?」
はい!それは斉の名宰相の晏嬰(あんえい)です。

牧歌的な歌だな~と思っていたら、最期に三人死にました。
殺したのは、晏嬰(あんえい)ですと来ています(笑)

はい、何か怖いですけど、、これは斉の名宰相、
晏嬰の知略を称えた詩だと言われているそうです。
何だか、さだまさし的な暗さを湛えている孔明の好きな詩でした。

 

関連記事:大胆仮説!孔明が口ずさんだ梁父吟は芝居のセリフだった!?

関連記事:諸葛孔明が目指した軍師・管仲は、結構性格が悪い

 

三世紀のQUEEN?曹操孟徳(そうそう・もうとく)

曹操 劉備 呂布 酒

 

曹操は、自他共に認める詩人で、沢山の詩を読んだ天才で、
戦場においてでさえ、詩想が浮かべば木簡に詩を書きつけた人です。
今回は、人生の悲哀と歓喜を歌った、この詩をチョイス

對酒當歌 人生幾何 譬如朝露 去日苦多
概當以慷 幽思難忘 何以解憂 唯有杜康

♪さあ、酒を飲んで歌おう 人生なんか一瞬だ!
例えるなら朝露みたいなもんさ、、
毎日は、ただ苦々しく過ぎ去っていくばかりだ。
さあ、感情の高ぶるままに、高らかに歌え!!
それでも、心の奥底の悲しみは消えないけれど・・
なあ?だれが、この憂さを晴らしてくれる?
ただ、酒の力があるだけサ・・

 

この流れるような情感とリズムと疾走感はまさにQUEENです。
楽しんでいるようで虚無的であり、デカダンを感じる。
まるでボヘミアンラプソディを彷彿とさせます。

激しく打ち寄せる運命に翻弄されながらも、
全てにおいて、人生の主役は自分であるという自負を持ち続け
詩の世界においても人生を肯定的に高らかに歌い上げた
曹操ならではの作品です。

 

シミルボン

 

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※本稿はシミルボンに掲載された記事をはじめての三国志用に再編集したものです

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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