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この記事の目次
昭襄王の側室へ命乞いをするも・・・・
孟嘗君はこのまま何もしないでいれば必ず昭襄王に殺されてしまうと考え、昭襄王の側室へ命乞いの使者を出します。昭襄王の側室は物欲が旺盛な人物で、孟嘗君の使者がやってきて彼女へ「主人の命を助けてくれるように取り計らってもらいたい」とお願いします。すると彼女は「いいわよ。だけどタダでは行えないわ。そうね~。孤白裘をくれるのなら考えてあげる。」と答えます。孟嘗君の使者は「主人と相談してきます。」と言ってその場を去りますが、浮かない顔でした。その理由は孤白裘(こはくきゅう)は昭襄王へ贈り物として上げてしまって、手元にないからです。この側室の言葉をそのまま伝えると孟嘗君もどうすればいいのか困っていまいます。食客達へ意見を求めても妙案が出ることはありませんでした。
泥棒の妙案
孟嘗君の食客達は孤白裘を手に入れる妙案が浮かばない中、一人の人物が声をあげます。その人物は元盗人で彼は孟嘗君へ「私が何とかしましょう。」と意見を述べます。
孟嘗君は「どうするのですか。」と伝えると彼は何にも言わずにただ「私に任せていただけないでしょうか」と再度伝えます。この言葉を聞いた孟嘗君は「では先生にお任せします」と伝えて皆を解散させます。
昭襄王から孤白裘を奪ってくる
この盗人は夜中こっそりと孟嘗君が宿泊している場所を抜け出して、昭襄王(しょうじょうおう)の寝室へ侵入。彼はそこでお目当ての孤白裘を発見すると物音立てずに奪い取ります。そして翌朝孟嘗君へ「孤白裘を手に入れてきました。」と彼に献上します。孟嘗君はこの盗人が昭襄王から奪ってきたことを知っていながら「ありがとう先生。これで私は助かるかも知れない」と伝えるとすぐに使者にこの孤白裘を持たせて、昭襄王の側室へ再度訪問させます。昭襄王の側室は孟嘗君の使者が孤白裘を献上すると大いに喜び「ありがとう。王様へ命乞いしてみるわね」と言って使者を返します。
その夜側室の元へ昭襄王が現れるとすぐに「王様。あの斉の貴公子を斉に返してあげませんか。彼を監禁したままでいれば諸侯が怒って秦に攻撃を仕掛けてくるかもしれまんせんわ」と孟嘗君の命乞いを行います。昭襄王はお気に入りの側室から孟嘗君の命乞いをされるとすぐに
「よし。お前の望みを叶えてやろう」と言って孟嘗君を釈放することに決めます。こうして孟嘗君は監禁状態から解放されて、斉へ向かって帰国することが叶います。しかし昭襄王は側室の言ったことを後悔し、孟嘗君をこのまま斉へ返してしまっては秦の国取って厄介なことになると感じ、すぐに追っ手を差し向けます。
函谷関を突破できない・・・・
孟嘗君の一行は首都・咸陽(かんよう)から一直線で斉に向かってかけていきます。しかし孟嘗君の一行に立ちはだかったのは秦の国門として東方の国々から恐れられている鉄壁の関「函谷関(かんこくかん)」が立ちはだかります。孟嘗君は夜中にこの場所へたどり着きますが、当然函谷関の城門はしまっておりました。この門が開くのは早朝の鶏の鳴き声によって開くことになっておりましたが、夜中に鶏は鳴かないため行き詰ってしまいます。
さらに孟嘗君の元に食客から「昭襄王が追っ手を差し向けたそうです。」と情報が入ります。さて孟嘗君一行はどうするのでしょうか。
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鶏の鳴き真似名人の登場
孟嘗君の一行の中で再び一人の男が手を挙げて「私がこの門を開いてみせましょう。」と述べます。そしてこの男は大きな声で鶏の鳴き声を真似ます。この男の鳴き真似を聞いた函谷関の守兵は城門を開きます。孟嘗君一行は城門が開くと急いで外へ出て秦の国から脱出することに成功。そして彼らは斉の国へたどり着くことができたのです。
鶏鳴狗盗
彼ら盗人と鳴き真似名人のおかげで危機を脱出することができたこのエピソードを後世「鶏鳴狗盗(けいめいくとう)」と呼ぶことになります。この意味は文字通り盗みを働く技術と鶏の鳴き真似しか出来ないくだらない人を指す言葉です。しかし本当の意味はどんな技術でもいつ役に立つのかそれは分からず、どんな人間でも無駄なことはないと言うことを指しているのです。
春秋戦国ライター黒田レンの独り言
孟嘗君はこうして秦を脱出することに成功しますが、その後どうしたのでしょうか。彼は斉にたどり着くと秦を攻撃するため諸侯を誘って復讐を行います。孟嘗君が総大将となって秦へ攻撃を行い大勝利を収め、協力してくれた諸侯達へ秦から奪い取った領土を与えることになります。主力として働いた斉は秦から奪い取った領土は一切貰うことをしなかったそうです。そのため斉王と孟嘗君の溝は決定的な物となり修復することはありませんでした。
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