編集長日記
北伐

はじめての三国志

menu

三国志の雑学

三国志の時代のライター陽燧(ようすい)が中々便利!

この記事の所要時間: 242




 

人類の文明は、火を操る事によって大きく進歩したと言われています。

火は夜中に外敵の襲撃から身を守って安眠を約束し、火によって肉や魚を炙る事で

食中毒を防ぎ、消化を助けると同時に食物を柔らかく美味しくしてくれました。

そんな火を人類は手軽に携帯出来ないかと考えるようになり、三国志の時代には、

陽燧(ようすい)という現代のライターのようなモノが登場したのです。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:後漢の時代のお金の常識に迫る!当時の金融はどんなモノだったの?




太陽の力を利用した陽燧のメカニズム

 

中国では、すでに周の時代には、青銅の鏡を磨いて太陽の光を集めて、

燃えやすいものに引火して火をつける方法が発明されていました。

太陽を使うから、陽燧と言いますが青銅を使うので金燧と言ったりもします。

 

最近でも、オリンピックの聖火リレーの最初にギリシャのオリンピアの遺跡で

青銅の鏡から太陽の光を集めてトーチに発火させる儀式がありますが、

あのような青銅鏡がすでに周の時代にはあり、着火道具として使われていたのです。




後漢の時代、陽燧は手の平サイズになった

 

しかし、周の時代の陽燧はサイズが大きく普段から持ち運べるものではなく、

手軽に、どこでもというわけにはいきませんでした。

ですが、次第に改良が進んでいき後漢の時代には、手の平サイズの直径7センチの

コンパクトな陽燧が出現する事になります。

 

こちらも周の時代と同じく、青銅製ですが、表には精巧な幾何学文様を刻み

常に衣服の帯につけておけるように紐を通すツマミがついています。

表面は凹面になっていて、そこに太陽光を集めるようになっており、

ちょっと見るとアンティークの懐中時計のようで一個欲しい位です。

 

陽燧の実際の性能については、三国志魏志 管寧(かんねい)伝に

 

「掌握の中にありては、形は手を出ざるに上は太陽の火を引き、

呼吸の間、烟景以て集まる」と書かれています。

 

つまり、手の平にすっぽり収まり、太陽の火を集めると、

一呼吸の間に光が集まり煙が見えたというので、なかなか高性能です。

 

陽燧→http://jd.cang.com/821714.html

 

もう少し詳しい引火法

 

陽燧の引火方法は以下のようであるようです。

 

「陽燧の面は窪み、日に向けてこれを照らせば、光みな聚(あつま)りて内に向かう

鏡を放す事一二寸、光聚りて一点となり、大きさ麻菽(あさまめ)の如くなれば

物に著(つ)きて則ち火を発す」

 

これは宋の時代の記述ですが、同じく陽燧なので、使用法には大きな変化はなく、

つまり、光を集めて、豆のような一点になった所に燃えやすい物を置くと、

発火するとそういう意味であるようです。

 

陽燧の弱点、曇りや雨の日、そして夜には使えない

 

デザインもよく、なかなか優れモノな陽燧ですが、一つ弱点がありました。

太陽に依存しているので、曇りや雨、夜には使えないという事です。

この事から、当時の人々は、左の腰には陽燧、右の腰には木燧(もくすい)を

帯びていたというように書かれています。

 

木燧とは、木と木の摩擦で火を出す道具のようで、魏の龐涓が馬陵の戦いで

孫臏が樹木に大書した文字を読もうとして、木燧で火を起こして

その灯りが標的となり、斉の伏兵に矢で射られて絶命した事で有名です。

ただ、木燧を使ってどのように発火していたのか?その形状は?となると

モノがモノだけに全く分っていません。

 

三国志ライターkawausoの独り言

 

銭型平次などで有名な火打石は、実は陽燧や木燧より比較的に新しく、

魏晋南北朝時代に登場しました、名前を燧石(すいせき)と言います。

こちらは、やり方が残っていて、鉄片で石を叩いて火花を出して、

それを火(火+戎:かじゅう)と呼ばれるヨモギや硝石を紙に染み込ませた

モノに落して種火を造り、火燭に移して大きな火にします。

ただ、その作業は大変に面倒くさいもので、「煩わしき事石火を敲く如し」

という慣用句が産まれる程でした。

 

そのせいか20世紀の初頭にマッチが入ると、中国では一気に普及し、

燧石も木燧も陽燧もあっという間に姿を消したのです。

 

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:三国志時代に降伏や降参するときはどうやってサインを出していたの?

関連記事:【素朴な疑問】三国志時代はどうやって兵士を集めていたの?

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 後漢王朝の華だった尹夫人の波乱万丈の生涯Part.1
  2. 三国志地図|中国にも九州があった?州について分かりやすく解説
  3. 全員主役級!三国志を日本で映画化するならキャスティングはこれだ!…
  4. 二世は辛いよ!やられキャラの張虎と楽綝の生涯を紹介!
  5. 曹植(そうしょく)ってどんな人?正史から彼の一生を見直してみる?…
  6. 項羽(こうう)ってどんな人?史上最強の孤独な戦術家 Part.2…
  7. 【シミルボン】すでにキャラ立ちしている、民話の中の三国志
  8. 三国時代の船はどうなっていたの?三国志の海戦は目的別に船が用いら…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 三国志の時代に象兵はいたの?
  2. 鍾毓(しょういく)の進言が的確すぎる!曹叡や曹爽に撤退の進言をした魏の臣
  3. 曹操も劉備もこれで学んだ?漢の時代の教科書と学校
  4. 賈充(かじゅう)とはどんな人?司馬氏の地位確立と晋建国の功臣【晋の謀臣列伝】
  5. 周宣(しゅうせん)とはどんな人?夢を占わせれば、九割の精度を誇った魏の夢占い師
  6. 張儀(ちょうぎ)とはどんな人?合従策に対抗した外交策を立て歴史に名を残した遊説家 Part.3【完】

三國志雑学

“広告募集"

はじめての三国志の書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

魏の諸葛誕が反乱に失敗した原因ってなに? 阿会喃、死んだらあかいなん!!孔明に裏切られた良い蛮族 文聘(ぶんぺい)のリアル三國無双!五虎大将軍の関羽を倒し呉王・孫権には空城の計を使っちゃう! 卑しい身分から、曹操の正妃へ卞夫人 Part.2 太史慈(たいしじ)ってどんな人?孫策とマジで一騎打ちした勇将 【大三国志 攻略3】滅亡も覚悟の8・8青州外交 どうなる同盟・天下乱舞の運命! 東京国立博物館の特別展「始皇帝と大兵馬俑」を楽しむ!秦の時代の武器(兵器)を徹底紹介! 劉勲(りゅうくん)とはどんな人?袁術病死の後継者は「泣く子を救う」なのか!?

おすすめ記事

  1. 尼子晴久(あまごはるひさ)とはどんな人?毛利家最大の敵として立ちはだかった中国地方の戦国大名
  2. 【郭嘉伝】ファン大ショック!郭嘉の功積はだいぶ盛られていた?
  3. 【はじめてのスキッパーキ】船乗り犬?それとも牧羊犬?意外に謎の多い犬種だった?【第2話】
  4. 【ネオ三国志】第3話:徐州の牧・劉備と兗州の騒乱
  5. お酌上手になって株を上げよう!古代中国のお酒のマナーを紹介!
  6. 三国志学会公認:横浜関帝廟ツアー
  7. 冊封(さくほう)とはどういう意味?分かりやすく解説
  8. 劉備の養子・劉封(りゅうほう)はなぜ殺されねばならなかったの?

はじさん企画

李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
PAGE TOP