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【列異伝】なんと!曹丕は中国初オカルト小説の作者だった?

2017年6月8日


 

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ミステリー、恋愛、SF、コメディー……。

創作小説にもさまざまなジャンルがありますが、

中でも古くから人気のあるジャンルは、と言えば

 

「オカルト・ホラー」

 

でしょう。

 

映画やゲームのジャンルとしても人気が高く、

最近では、オカルト好きの女子のことを

「オカルト女子(オカ女)」、

なんて言ったりもするようです。

 

中国文学史においても、オカルトは古くから

人気ジャンルでした。

中国文学におけるオカルトの歴史を紐解いていくと、

ある意外な人物の名前に行き当たりました。

 

なんと、中国オカルト小説の始祖は、あの人だった!?

 

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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そもそも、なんで人はオカルトを読みたがるの?

 

「怖いもの見たさ」なんて言葉がありますが、

皆さんは不思議に思ったことはありませんか?

 

どうして、人は“怖いもの”を見たがったり、

知りたがるのか?

 

怖ければ見なきゃいい、読まなきゃいい

それなのに、“怖いもの”に興味をそそられ、

厭だと思いつつも

ついつい、見聞きしてしまう……。

それは一体どうしてなのでしょうか?

 

オカルトの源流=人間の抱く、二つの「恐怖」

 

人間の抱く恐怖の感覚は二種類にわけられます。

 

ひとつは生命の危機に直結する物事への恐怖心

これは野生動物が天敵に抱く恐怖心と同じ、

より生物的に本能に沿った恐怖心と言えます。

 

そしてもうひとつが「未知の物」に対する恐怖心。

言葉で名付けることで事物を、引いては世界を

認識する人間は、あらゆる存在の「意味」を無意識に

考えてしまいます。この「意味」が見いだせない時、

人間は恐怖心を抱くと考えられています。

 

 

 

「未知への恐怖」が生み出したオカルト人気

 

世界が文明化され、人間にとっての第一の恐怖心

=生命の危険に対する恐怖は、大きく減少しました

その結果として、人間は第二の恐怖心である

「未知の物」への恐怖をより強く感じるようになりました。

 

「未知の物」への恐怖心は、その対象を「知らない」

ことから起こります。「知らない」限りはその恐怖は

生き続ける。ですがそれは裏返せば、その恐怖の対象を

知ることによって克服できることを意味します。

 

そこにある「未知の物」が怖いから

その「怖さ」を克服するために、あえて恐怖の対象である

「怖いもの」を見聞きして知ろうとする

 

それが「怖いもの見たさ」の理由と考えられます。

「知らない」からこそ怖いものを「知ろうとする」、

それが、古から続くオカルト人気の根源とも言えるでしょう。

 

 

 

中国におけるオカルト小説の源泉

 

閑話休題(それはさておき)。

 

中国における文学の始まりは歴史書の編纂に

見出すことができますが、お固い宮中で編纂される

歴史書に、庶民の噂話や不思議な話が含まれるわけもなく、

それらは口伝(言い伝え)のかたちで、人々に広まりました。

 

こうした、庶民につたわる口伝を重視する風潮が生まれたのは

三国時代後半から晋の時代にかけて、

戦乱の時代に倦み疲れ、浮世離れした哲学談義=清談にありました。

 

 

 

「竹林の七賢」と呼ばれた当時の知識人たちは、

“宇宙の神秘”や“人間存在の根源”といった哲学的議題を

語るのに、その傍証を民衆に広がる幽霊や怪異に関する

説話や口伝に求めたのです。

 

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宗教説話と結びついたオカルト小説=志怪小説

 

また、仏教や道教は、輪廻転生の思想や仙人・道士の術を

語るのに、やはり民間に伝わる怪異=オカルト的な現象の話を

利用するようになりました。

 

こうして、口伝でしかなかった怪異についての伝承は

明文化され、文学として形成されるようになっていきました。

こうして生まれた作品を「志怪小説」(しかいしょうせつ)と

呼びます。

 

「志怪小説」の“志”という字は、この場合、

雑誌の“誌”と同じ意味を示します。

つまり、“怪奇現象を記した小説”というのが

「志怪小説」の意味です。

 

これはやがて、特異な人物の逸話を集めた“志人小説”と融合、

後の時代の“小説”の源流となっていったのです。

 

 

中国のオカルト小説の祖となった「捜神記」と「列異伝」

 

 

志怪小説が確立したのは、千宝(かんぽう)という人物が

編纂した小説集「捜神記(そうじんき)」であったと

言われています。

 

千宝は三国時代の後、六朝時代の東晋に仕えた

政治家であり文人でした。

それ以前に書かれた様々な書物から、

神仙・方士・徴応・感応・再生・魑魅・妖怪

人間や動植物の怪異など470余の説話を全30巻

(現存するのは20巻)にまとめたのが「捜神記」です。

 

明文化され、現代に残る「志怪小説」をまとめた

書物としては「捜神記」が最初と言われていますが、

実はこれに先立ち、三国時代に「志怪小説」をまとめた

説話集があったとされています。

 

その書物の名前は「列異伝(れついでん)」

編纂を行ったと言われているのは、あの魏の文帝……曹丕(そうひ)です。

 

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「列異伝」にまつわるオカルト的な話?

 

三国時代に知多割っていた幽霊や幽界、さまざまな怪異現象を

一冊の書物の形でまとめたと言われる「列異伝」

まとめたとされる曹丕は相当のオカルトマニアだったと言えるでしょう、

 

元は3巻あったとされる同書ですが、

残念ながらその本文は現代では失われており、

約50条の説話が残されているだけです。

 

ところが、この現存する50条の説話には、不思議な点が……。

 

前述の通り、「列異伝」は曹丕が自分の生きた時代に

伝わっていた怪奇話を説話集としてまとめたものです。

ところが、現存する説話の中には、曹丕が死んで後の時代の

話が含まれているという……。

 

なぜ、編纂者の死後の出来事が遺されているのでしょうか?

それこそ、まさにオカルトだと、思いませんか?

 

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三国志オカルトライター 石川克世の独り言

 

実は「列異伝」を著したのは、曹丕の後の時代の人、

晋に仕えた張華(ちょうか)という人物であったという

説もあります。

 

ただ、その二人のいずれが著者であったとしても

元本がほとんど散逸してしまっていることから

この「列異伝」の信ぴょう性は現代では疑われています。

 

それにしても……。

 

スイーツ大好きで、オカルトも大好き。

 

……曹丕って、もしかして女子力高いんじゃね?

 

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—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 

 

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石川克世

石川克世

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。 三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、 兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。 好きな歴史人物: 曹操孟徳 織田信長 何か一言: 温故知新。 過去を知ることは、個人や国家の別なく、 現在を知り、そして未来を知ることであると思います。

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