【キングダム】転職によって人生を劇的に変えた李斯(りし)

2017年6月15日


 

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キングダムにおける行政官僚、かつては呂不韋(りょふい)の配下だった

法律のスペシャリスト李斯(りし)

実は、李斯が転職によって運命を劇的に変えた人であった事は知られていません。

元は楚の小役人だった李斯がどうして、秦の頂点を極めたのでしょうか?

転職、それは李斯が歴史に名を刻む為に、どうしても必要な事でした。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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平凡な小役人だった李斯が感じた、もやもや

 

李斯は楚の領地であった上蔡(じょうさい)に産まれました。

家は貧しくも裕福でもなく、役人の採用試験に合格した李斯は、

小さな県に赴任し食糧倉庫の出入の管理を仕事とします。

やがて、結婚し、子供も産まれ、安定した人生のレールを歩くようになった李斯、

しかし、心の中では、いつも、もやもやしたものが渦巻いていました。

 

李斯の感じたモヤモヤは、自分でなくても仕事は回るのではないか?

というような自己の仕事への疑問でした。

 

確かに、李斯が急病で休んでも、食糧庫のチェックは別の人間が行います。

当時でさえ、その辺りの仕事はシステム化され、文字が読み書きできれば

田舎の倉庫番くらいは、誰でも務まる仕事だったのです。

 

李斯の感じた疑問は現代人にも丸々あてはまる

 

これは、李斯ばかりじゃなく、システム化された職場にいる現代人でも、

ほとんどが当てはまる話ですね。

現代社会では、大半の仕事がシステム化され、個性も個人の能力も重視されません。

重視されるのは、能率を落さない為にマニュアルを順守する事です。

均質な仕事を求めてシステム化されるのですから、むしろ、仕事する人間によって、

生産性に差が出てくるようでは、システム化する意味がないわけです。

 

つまり、働く人は才能ではなく、労働力と時間を切り売りしているわけです。

そして、それは均質を重視しますから、マニュアルを守れば誰でも出来るのです。

ほんで、誰でもできる仕事は、幾らでも代わりがいる仕事ですから、

市場の原理から考えても、その待遇はあまり良くありません。

 

李斯の運命を変えた、二匹の鼠との出会い

 

ある日、李斯の運命を変える出来事がやってきます。

米の倉で数量をチェックしていた李斯は、米を食べて丸々太り、

人が来ても逃げようともしない鼠(ねずみ)を目撃します。

 

それは見慣れた光景でしたので、李斯は邪魔な鼠を蹴飛ばして、

仕事を続け、途中でトイレに向かいました。

小便壺の中にも、人の糞尿を食べて活きる鼠が住んでいました。

この鼠は臆病で、人の影を見ると、サッと隠れてしまいます。

 

李斯はここで雷に打たれたような衝撃を受けました。

 

同じ鼠なのに、倉の鼠は米をたらふく食って太り、人が来ても逃げもせず、

逆にトイレにいる鼠は人の糞尿を喰いながら、いつもびくびく生きている。

 

「俺はトイレの鼠だ!人間の価値は、能力や仁徳ではなく、

どこに所属しているかで価値が決まるんだ」

両方の鼠の運命を分けるのは、ただ、どこに所属しているか?でした。

ここに留まり、安定の中に眠り続ける限り、李斯はトイレの鼠です。

誰にも知られず、大した事も出来ず、年老い死んでいくだけ・・

 

李斯はたまらなくなり、自分の中の衝動に突き動かされて、

役人を辞め、家財道具を売り払って資金を造り、妻子を親戚に預けて

自分の居るべき場所を求めて旅に出ました。

 

成功したいなら、自分がどこに居ればよいか考える

 

「人間の価値は能力や仁徳で決まるのではなく、

どこに所属しているかで決まる・・」

 

これを読んでイラッと来た人、衝撃を受けた人、何とも思わない人、、

色々いるでしょうが、これ、とても大事な一面の真実ですよ。

 

大した能力もなさそうなのに、大手企業に入り、組織の恩恵で

自分より何倍も稼いでいる人って、誰でも心当たりがあるでしょう。

「ちくしょう、上手い事やりやがって」そう思ったなら、

ジェらってないで、自分もそうできるように居場所を変えるべきです。

 

そこで、行動を起こせないなら、結局、あなたは行動力で

そのボンクラな人に負けているって事になりますよ。

裏返すなら、行動力のある人は、その為に、行動力のない人よりも

ずっと有利な人生を送れるという事でもあります。

 

才能さえあれば、誰でも受け入れる秦に仕官する為に荀子の門を叩く

 

李斯は、才能至上主義の西の強国、秦に仕官して自分を試そうと考えます。

秦は商君の変法以来、法家主義を採用していましたので、

李斯は法律を学ぼうと、荀子(じゅんし)の門を叩いて門人となり熱心に学びます。

 

ここで、李斯は単一の法で、上は君主から下は庶民までを制御する法律の

面白さに熱中しました。

李斯の行政官僚としての天賦の才能は、ここで開化するのです。

 

自己投資の重要さは時代を問わず不変

 

これは、現在でも分かりやすいですね、つまり自己投資の事です。

IT業界に就職したくて、プログラミングを学んだり、経営コンサルタント会社に

就職したくて経営学を勉強するようなものです。

李斯は、能力主義で強国だった秦で己を試そうと思い立つわけです。

今なら給料もいいけど、仕事もシビアな外資系企業に就職しようとする

みたいな感じでしょうかね。

 

kawausoは思うんですけど、時間があるなら勉強すべきです。

知識の蓄積が低いと、チャンスが目の前を通っても気づかないし、

気づいても、恐ろしさが先に立って、モノに出来ません。

知識の少なさ=貧しさに直結してしまうのです。

ちなみにkawausoは、歴史だけではなく、経済の本も読んでいます。

なるべく気分良く読みたいので満喫に入り、空調の効いた部屋で

ソフトドリンクをガンガンに混ぜたスペシャルジュースを飲みながら、、

そのうち、面白い事は記事にするかも知れませんよ。

 

呂不韋に採用され、法による支配と中央集権制を確立する

 

学びを終え、秦に入った李斯は、同じく人材集めに熱心だった呂不韋に

法知識を重宝され、その側近になっていきます。

やがて、呂不韋が失脚しても、やはり、その法知識が秦に注目され

秦王政に気に入られ、ついには丞相(じょうしょう)の大任を任されました。

 

丞相、その地位こそ、ほかに替えがきかない秦帝国の舵取りの仕事です。

もちろん、多額の報酬を受け取り、絶大な権力がありますが、

それより何より、自分の頭で考えた政策が、現実に着々と実現するという

最高の面白さを李斯は体感しました。

 

晩年の李斯は、宦官趙高(ちょうこう)の計略に乗り、

折角、自分が築き上げた制度を崩壊させてしまう大失敗をしますけど、

その人生は、楚の小役人で、一生を終えるより面白いものだった思います。

 

キングダムライターkawausoの一言

 

やっぱり究極は、これなんですよ、消費じゃなくて何かを産み出す喜び。

クリエイティブな事って、本当に面白いです。

さらに、自分が生産したものに、そのまま価値が生じて、

それで生活できたら、もう人生勝ったようなものですよね?

 

誰でも代わりが出来る、その内、機械でも取って替れる仕事では、

クリエイティブな面白さや、やりがいは体験できないです。

ひたすら時間と労働力を搾取されて疲れ果てていくだけ・・

kawausoも、かつては、そんな仕事ばっかりしていました。

 

それでも給料が高いならいいですが、そうはなっていない事は、

市場原理から考えても明らかです。

 

いくらでも代替が出来るモノの価値はどうしても低くなります。

外国人労働者の規制緩和や、IT技術の進歩によって、

今後は、もっと低くなっていくでしょう。

 

もやもやから目を背けると、その内に年を取って、意欲も衰え、

後から考えると、トイレの鼠だったな、なんて後悔するかもですよ・・

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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