曹操(そうそう)は袁紹(えんしょう)との戦いに決着をつけて河北の覇者の地位を獲得。
その後彼は荊州を奪取するべく大軍を南下させます。
劉備は荊州のボス・劉表の客将でしたが、
劉表が亡くなると跡を継いだ劉琮(りゅうそう)が劉備に知らせることなく曹操に降伏。
劉備は駐屯地を捨てて曹操軍から逃亡することになります。
彼は逃亡先であった江夏(こうか)へ向かう途中、
孫権軍の魯粛(ろしゅく)と遭遇することになり、
劉備と魯粛は劉孫同盟について話し合ったそうです。
しかしもし劉備と魯粛の条件が合わずに孫権と同盟することができなかった場合、
どうなっていたのでしょうか。
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劉備軍逃亡
曹操軍が大軍を率いて南下し始めると
荊州のボスである劉琮は曹操に降伏してしまいます。
劉備は劉琮が自分に知らせることなく曹操へ降伏していることを知り、
急いで軍勢をまとめて逃亡することにします。
彼は曹操軍の追撃から逃れるために南へ向かって逃亡することになります。
この時に彼は襄陽を通過することになるのですが、新しく軍師に迎えた諸葛孔明から
「殿。今荊州を攻撃すれば簡単に手に入れることができます。」と進言されます。
しかし劉備は孔明へ「私にはこの地を奪うようなことはできない」と言って却下。
さらに彼は曹操軍が追撃して来ているのに劉表の墓参りを行ってから
襄陽を通過していったそうです。
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曹操軍の追撃を受ける
劉備は襄陽を出て行く際に民衆が大量に彼に付き従ってきます。
彼はこの民衆達を引き連れて逃亡することになったため、
全然行軍することができませんでした。
曹操は襄陽で劉琮や蔡瑁達の降伏処理を行う前に劉備を追撃する軍勢を編成し、
軽騎兵と精鋭騎馬隊である虎豹騎(こひょうき)に命じて、
劉備軍の追撃を行わせます。
この騎馬隊は軽快な足取りで劉備軍との距離を詰めていき、
ついに劉備軍と遭遇することになります。
曹操軍の攻撃を受けて劉備軍は散り散りになってしまいますが、
劉備軍の核となっている軍勢は散らずに劉備を守りながら撤退していくことになります。
魯粛との会見
劉備は軍勢をまとめて撤退を始める最中、
孫権軍の外交官である魯粛と会見することになります。
魯粛は天下の情勢や孫家の誠意を語った後、劉備へ
「劉備どのはここから撤退してどこに向かうのでしょうか。」と訪ねます。
すると劉備は「さてどこの土地へ避難していいか迷っております。
とりあえず親友である南海の呉巨(ごきょ)の元へ向かおうと考えています。」と
述べたそうです。
その後魯粛は劉備が南海へ行くことを諦めさせて孫呉と同盟させようと必死に説得します。
劉備は魯粛の話を受けて孔明を孫呉へ向かわせることに。
そして孔明は孫権を説得して劉備と同盟を結ぶことに成功するのです。
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もしも劉備が孫呉と手を結ぶことをしなかった場合どうなっていたのか
さて今回の命題である劉備が孫呉と同盟を結ばなかった場合、
どのようになっていたのでしょうか。
一つ言えるのは三国志ではなくなっていたと言うことです。
劉備は魯粛と会見した時に「呉巨の元へ向かう」と行っておりました。
呉巨は南海の太守となっていましたが南海は荊州南部よりももっと南に位置する場所で、
中華の乱世から逃れるにはうってつけの場所です。
しかし南海へ逃れて乱世を避けるにはうってつけですが、
天下を狙うのは諦めることになってしまいます。
なぜならば超ド田舎でかつ中原へ向かうには遠いからです。
さらに荊州全域を曹操軍に抑えられ、
孫権も(独力で曹操軍と敵対することができないため)
曹操軍に降伏しているだろうということを考えると曹操軍の強大な勢力を前にして、
南海の一地方の軍勢だけでは曹操軍と敵対することすらできなかったでしょう。
このように考えれば曹操が天下を統一してしまい、
劉備軍は南海で朽ち果てるか、イチかバチかで曹操軍に攻撃を仕掛けるか、
はたまた曹操に降伏するかしか道がないのではないのかと思います。
三国志ライター黒田レンのひとりごと
今回は劉備がもし孫権と同盟しなかったらどうしていたのかについてご紹介しました。
劉備が天下の覇権をかけて曹操と争うには、
どうしても孫権と同盟しなくてはなりませんでした。
また孫権の側も曹操軍と独力で戦うほど力がないため同盟軍が欲しいところであり、
両者の思惑はしっかりと合致していたので、
同盟できない可能性は少なかったのではないのかなと思います。
しかし何かのきっかけで同盟することが難しくなってしまった場合を考えるのも中々
面白いのではないのかと思います。
終わってしまった歴史は色々と妄想する自由がありますから・・・・。
参考文献 ちくま文芸文庫 正史三国志蜀書 今鷹真・井波律子著など
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