【はじさん書評倶楽部】堀江貴文「多動力」を読む

2017年7月11日


 

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全国3594万人の三国志ファンの皆様、こんばんは、kawausoです。

さて、皆さんは本を読んでいますか?活字の本でなくても漫画でもいいです。

三国志ばかりではなくて、現在、話題になっている本を読むのは

実は三国志をより深く理解するのに役立ったりしますよ。

そこで、今回kawausoは堀江貴文の多動力を書評したいと思います。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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多動力とはどういう意味か?

 

そもそも多動力とは、どういう事なのでしょうか?

これは堀江貴文さんの造語で、一つではなく、幾つもの仕事を

同時にこなすスキルを意味するのだそうです。

 

堀江さんは、これからの社会では、

一つの事しか出来ない専門バカは機械に仕事を奪われていき

同じような専門バカ人間の中に埋没するので給料も上がらず

貧困に落ちていくと予言します。

 

そして、貧困に陥らない為には、専門バカに陥らずに、最低3つの分野の

専門家になり、他人では替えの効かないオンリー1の人材を目指す事

だと言っています。

 

インターネットが業種の垣根を崩壊させた

 

では、どうして、専門バカの時代は終了してしまったのでしょうか?

その決定的な流れはインターネットの爆発的な普及にあります。

皆さんの身の回りのアイテムを見ても、スマホからDVDから、

インターネットの技術が組み込まれていない電化製品を探すのは、

難しくなっているでしょう。

 

調査会社ガードナーの2014年の調べによると、インターネットに

繋がっているデバイスは38億個にも上り、これは2020年には、

200億個に到達するだろうと予想されています。

 

これは、自動車、テレビ、医療や福祉、その他あらゆるものが

インターネットという土壌に引き込まれる事を意味しています。

 

プロのテレビマンが素人のユーチューバーに負ける

 

具体例を揚げましょう、皆さんはユーチューバーをご存じでしょう?

投稿型動画サイトyoutubeに動画投稿し、その広告収入で生活している人達です。

子供達が将来なりたい憧れの職業にもランキングしていますよね。

 

現在、既存のテレビ局は低予算で爆発的な視聴率を得るユーチューバーを

テレビの世界に引き込む事に必死になっています。

これは、どういう事かと言うと、映像と放送のプロがネットを通じて

動画を流す素人のユーチューバーに視聴率とコストで敗北して、

その市場に参入しようとしているという意味なのです。

 

言いかえれば、テレビはもう、テレビだけの世界で孤高に食う事が出来ず

すべてを包括するインターネット市場に参加してユーチューバーと

視聴率を競う時代に入っているのです。

 

もう、テレビマンという専門性は素人でアイデア勝負のユーチューバーと

インターネットで視聴率を競う役には立っていません。

テレビとyoutubeの世界の垣根はインターネットで破壊されたのです。

 

ネットの普及が修行を無意味にした

 

かつて堀江貴文氏は、すし屋で若い板前が3年も修行するなんて無駄だと

ツイートして炎上した事がありました。

 

しかし、これも堀江氏の持論では、マジメにコツコツ、

一つの事を積みあげる事に美徳を感じるという日本人の無駄な習慣だとしています。

もちろん、インターネットが普及しない昔は、すし職人の技術というのは、

親方に弟子入りして教えてもらうしかない門外不出の技でした。

その為には何年間も修行して親方の信用を得るしか方法は無かったのです。

 

でも、現在は、ちょっと検索すれば、美味しい酢飯の造り方から、

寿司の握り方まで簡単に検索する事が出来ます。

それなのに、昔同様に下働きから修行して3年も無駄にするなんて、

もったいないと堀江氏は言うわけです。

 

実際に、大阪の「鮨千陽(ちひろ)」の土田秀信店長は迂遠な修行は積まずに、

専門学校で三カ月寿司作りを学んだだけですが、

その「鮨千陽」がミシュランガイド京都・大阪2016」の

「ビブグルマン」部門に選ばれています。

開店から、たった11カ月後の事だそうです。

 

つまり才能さえあれば、たった3カ月専門学校で寿司作りを学ぶだけで

ミシュランに選ばれてしまうのです。

 

すでに発明した車輪があるのに、新しく車輪を発明するようなバカはせず

情報を活用して限りある人生を有効に使おうという事ですね。

 

焼肉が安くなったカラクリも情報公開

 

昔々、焼肉というと、ほとんど高級店で安い焼肉屋は少なかったですが、

現在では牛角をはじめとして激安焼肉店がしのぎを削っています。

堀江氏によると、これも焼肉業界の閉鎖性が開放されたからだそうです。

 

上述した牛角の創業者である西山知義さんは、マクドナルドでバイトした時に

その作業がマニュアル化されている事に感心して和牛の切り分け方も

マニュアル化して、アルバイト店員でも和牛を美味しく切り分けられるようにして

人件費を下げて、肉の値段を安くしました。

 

以前は、和牛の切り方は一部の職人の独占スキルで、外には漏れず

その為に専門の職人を雇ったから焼肉店の値段は高かったのです。

これも和牛を切り分ける技術を開放した結果出来た事でしょう。

 

好奇心を持って、垣根をどんどん超えてゆけ

 

インターネットの普及は秘蔵された技術を開放し、テクノロジーで

技術の差を無くし、業界の垣根を崩壊させました。

例えば、車の自動運転が主流になれば、自動車は椅子のような姿になるかも知れず

そうなると、椅子メーカーが自動車業界に参入するかも知れません。

 

すでに電気自動車はエンジンではなくモーターで動いていますから、

そのうちにバンダイのような玩具メーカーが自動車を造るかも知れません。

 

エンジンを造れる事でアドバンテージを誇っていた自動車メーカーは

今後、玩具メーカーや家具メーカーと競争する事になります。

もう、垣根なんか無意味なので、今後生き残れる人材は、関心をもった業種に

次々と首を突っ込んでスキルを積み上げられ人なのです。

 

一つのスキルさえあれば大丈夫だとボーッとしていると、新規参入のメーカーに

あっという間にシェアを奪われて失業という可能性だってあるのです。

 

猿のようにハマり鳩のように飽きろ!

 

堀江さんは、非常に物事にハマりやすく、また飽きやすいようです。

しかし、熱中するのは学習効率を最も上げますし、飽きやすいというのは、

その物事をあらかた理解したという事でもあります。

 

これは、三国志ゲーでもそうですよね、序盤から中盤にかけては、

ライバルも強くゲームにも慣れてないから熱中してシステムを覚え、

或る程度強くなると、同じルーチンの繰り返しになって飽きてしまいます。

 

堀江氏は、この猿のようにハマる時期と鳩のように飽きる時期を繰り返し

様々な業種でのスキルを磨いてきて、それが現在に活きていると言います。

 

自分の時間を造る為に 人間関係を選びイヤな事はしない

 

没頭と飽きるを繰り返す堀江氏は、自分の時間をとても大事にします。

時間がないと、このペースを維持する事が出来ないからです。

 

だから、堀江氏は自分のペースを乱す電話やFAXを取りませんし、

無駄な話をする人間とは意識的に距離を置いています。

とにかく、自分の時間を奪われるのがイヤでたまらないのです。

 

自分のやりたい事だけをやる為に、家を持たず荷物はスーツケース3個、

普段はホテル住まいで掃除・洗濯は家政婦任せ食事も外食です。

こうして、堀江氏は好きな事だけを思い切りやる時間を確保して、

今でも、スキルを積みあげ続けているのです。

 

それは世間から見ると、いい大人が結婚もせず、ホテル住まいで恥ずかしい

となるかも知れませんが、堀江氏は他人の目線なんか気にしません。

彼はただ、自分が楽しいと思う事を、飽きるまでやり、また楽しい事をみつける

そうして人生を目いっぱい楽しんでいきているのです。

 

 

書評ライターkawausoの一言

 

堀江貴文氏には、人生の目的など無いそうです。

彼は、ただ楽しいから動いているだけで、飽きれば別のジャンルに首を突っ込み

また没頭していくという事を繰り返しています。

その動向は、陽が暮れるもの分らないで遊び続ける少年のようです。

 

このような傾向は、会社の創業者に多く、社長に子供っぽい人が多いには

決して偶然ではない事なのでしょう。

 

 

よく考えると曹操(そうそう)も、落ち着きがない性格でちょこまか動きまわり、

色々な事に首を突っ込み、政治家としても軍人としても詩人としても一流で、

自分が造った漢詩のサークルが、後の中国における漢詩の定型になるなど

政治・文化のパイオニアでしたね。

 

kawausoは、堀江貴文という人がどうも尊敬できませんが、

この多動力という本は、読む価値が充分にあります。

特に、これから起業していくという方にはおススメですね。

 

kawauso評価 ☆☆☆☆☆

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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