三国志の物語はついつい大人向けだと思いがちになってしまうと思います。
現に三国志を題材にしたゲームや小説など児童が読んだり、
ゲームをプレイするには用語や単語、登場人物の多さなどの問題があり、
児童が理解するには難解かもしれません。
しかし登場人物を三人に絞って児童が読みやすいような絵本があればどうでしょうか。
今回は児童でも読みやすくて理解でき、
○○になっている三国志「燕虎物語」をご紹介しましょう。
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三国志「燕虎物語」のストーリーとは
三国志「燕虎物語」はいったい誰を主人公にしてストーリーを展開しているのか。
それは三国志でも知名度の高い劉備(りゅうび)三兄弟の一人、燕人・張飛(ちょうひ)です。
三国志の小説やゲームはいっぱいありますが、張飛を主人公にした物語はあまりなく、
結構珍しいと思います。
劉備三兄弟も登場する張飛を主人公にした「燕虎物語」のストーリをざっくりと
ご紹介していきましょう。
「燕虎物語」は劉備、関羽(かんう)、張飛が義兄弟の契りを結ぶ、
桃園の誓い(とうえんのちかい)から始まります。
児童向けの絵本なのであんまり文字量は、多くなくほとんど平仮名で表記しているので、
(漢字表記している所もありますがフリガナをふっているので安心です。)
読みやすく理解しやすい内容になっています。
桃園の誓いの場面が終わると三国志演義で有名なシーン、
呂布との一騎打ちが行われた虎牢関の戦いの場面。
そして次々と張飛、劉備、関羽の物語は展開していき、
曹操軍の侵攻から逃れるため荊州(けいしゅう)から逃亡する場面へと移行。
張飛は、劉備を慕って付いてきた民衆を助けるため、
追撃してくる曹操軍を食い止めるため、劉備軍と民衆の最後尾へと移動します。
そして張飛の一番の見せ場であり、誰もが知っている長板(ちょうはん)で仁王立ちになると
追撃してくる曹操軍へ向かって大声で「俺は燕人・張飛だ!!死にたい奴はかかってこい!!」
と大音声で曹操軍へ一喝。
この張飛の大音声にビビってしまった曹操軍は、張飛へ攻撃を仕掛けることをせず、
その場を動くことができませんでした。
「燕虎物語」はこの場面で最終回となっています。
張飛を主人公にしているのでかなり三国志好きな大人でも楽しく読むことができ、
三国志の内容を分かりやすくしているため、児童でも理解しやすくなっています。
それでは次に「燕虎物語」の最大の魅力をご紹介しましょう。
飛び出すしかけを絵本にふんだんに盛り込んでいる
「燕虎物語」最大の魅力といえば、絵本を読んでいて子供がワクワク楽しめるよう、
ダイナミックな飛び出す仕掛けを施している点と言えるでしょう。
例えば張飛が曹操軍の追撃を止めるため長板で曹操軍を一喝している場面ですが、
張飛の猛っている表情や曹操軍が張飛の一喝にビビっているシーンが、
一発で分かるようなっており、児童でも張飛の迫力が分かるようになっています。
また桃園の誓いでは、
桜の木をバックに劉備、関羽、張飛三人の楽しそうな雰囲気を感じることができ、
子供でも三人が仲良く楽しそうな姿を飛び出す仕掛けによって、
感じる点が「燕虎物語」最大の魅力といっていいでしょう。
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三国志ライター黒田レンの独り言
児童向けの絵本でありながら大人も子供に読み聞かせている内に、
次の展開にワクワクしてしまうのではないのでしょうか。
また「燕虎物語」はおおしま国際手づくり絵本コンクール2009最優秀賞を受賞し、
世界的にも知名度のある作品となっております。
子供がいる親御さんへオススメの飛び出す仕掛け絵本・三国志「燕虎物語」をご紹介しました。
参考文献 大日本絵画 三国志 燕虎物語 (とびだししかけえほん) 畠 智慧 著
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