リベンジャー。これは個人的な復讐を果たすという意味です。またアベンジャーは正義に基づく復讐だそうです。三國志の魏の楊阜(ようふ)は両方に当てはまるのではないのでしょうか。
彼は馬超(ばちょう)が冀城(きじょう)に押し寄せてきた時、冀城に一族と一緒に篭城して馬超軍と激戦を繰り広げますが、味方の援軍を得られないことから冀城は降伏。楊阜は冀城の城主に徹底抗戦を主張しますが、意見を入れられずに城主と一緒に降伏します。しかし彼は一族が籠城戦で馬超に殺されていることから、彼へ復讐を行うチャンスを伺っておりました。
妻の死をチャンスに変えて
楊阜は冀城で馬超に心ならずも降伏。その後彼は馬超に復讐することだけを考えて日々を過ごしておりました。しかし一人で馬超に戦いを挑んでも絶対に勝つことができない為、復讐の協力をしてくれそうな人物を思い出しますが、その人物は冀城の外に住んでいる人物でした。その為彼は冀城の外へ出るチャンスを伺っておりましたが、中々そのチャンスは巡ってきませんでした。
そんな中、楊阜の奥さんが亡くなってしまいます。楊阜は奥さんが亡くなるとものすごく悲しみますが彼女の死をチャンスと考え、馬超に「妻が亡くなったので、親戚の元へ言って葬式を行いたい」と要請。馬超は彼の要請を受け入れて城外に出ることを許可します。こうして楊阜はようやく冀城の外に出ることができると、いとこが住んでいる歴城(れきじょう)へ向かいます。
いとこに無念を語る
楊阜は歴城に到着するといとこである姜叙(きょうじょ)の家へ向かいます。彼は姜叙の家に到着するとすぐに家の中に招かれてもてなされます。彼は姜叙の家でおもてなしを受けると涙をホロホロと流しながら、冀城での戦闘のいきさつを語ります。
姜叙の母親は彼の泣き顔を見ると「どうしてそんなに泣いているんだい」と述べます。楊阜は姜叙の母親に目を向けると「私が泣いている理由は三つです。一つは私が守っていた冀城は父を捨てて、州を守っていた守将を殺した馬超の攻撃を受けて陥落したことに泣いているのです。二つ目は主君を馬超に殺されてしまったことも泣いている理由の一つです。そして三つ目は士大夫達が馬超の攻撃を受けても行動しないことが悔しくて、泣いているのです。
なぜ士大夫達は兵力を持っているのにやつを討伐しようと考えないのでしょうか。確かに馬超は強力ですが、道義にかけており隙が多い人物です。それにも関わらず士大夫達が馬超を討伐しようと行動を起こさないことに、私は悔しくて涙が止まらないのです。」と語ります。この言葉を聞いていた姜叙の母親は憤慨して「姜叙。楊阜の計画を聞いて参加者を集めておきな」と命令。
彼は楊阜の計画を聞くとすぐに教職してくれそうな人達へ使者を送ります。彼は歴城や他県に使いを出すと続々と楊阜の計画に参加する希望者が集まってきます。楊阜の計画に賛同した人物の一例として姜隠(きょういん)、趙昴(ちょうこう)、尹奉(いんほう)、孔信(こうしん)、李俊(りしゅん)、王霊(おうれい)などです。楊阜の計画に賛同した計画者達は馬超討伐を行うことを誓い合います。楊阜は馬超討伐の計画が完成すると冀城にいる楊岳(ようがく)へ知らせます。こうして楊阜の復讐計画が幕を開けることになるのです。
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三国志ライター黒田レンの独り言
楊阜はこうして様々な人達から協力を得ることに成功し、馬超討伐の計画を実行するべく着実に準備を進めていきます。さて馬超討伐の計画を練った楊阜の復讐は成功するのでしょうか。次回をお楽しみに・・・・
参考 ちくま文芸文庫 正史三國志魏書4 今鷹真・井波律子著など
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