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三国志の雑学

蜀に入れば生き返る!?桃源郷とよみがえりの話

司馬徽

 

 

 

『蜀王本紀(しょくおうほんぎ)』に記されている神話で、荊州(けいしゅう)で死んだ人が

蜀(しょく)に入って生き返った話があります。どうして蜀で生き返ることができたのか。

それは、蜀の地形と関係があります。

 

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蜀の地形

 

蜀は周囲を高山に囲まれ、真ん中には開けた四川盆地があり、東に向かって大河が

流れています。冒頭に述べた生き返った人は、山脈の東にある荊州から長江

(ちょうこう)をさかのぼって蜀に入りました。荊州で亡くなった後、遺体が無くなって

しまい荊州の人たちは見つけることができなかったのですが、遺体は長江を

さかのぼっており、四川盆地の中心部の郫(ひ)に至ったところで生き返ったと、

『蜀王本紀』には記されています。

ここから先は古代人の脳内お花畑をめぐる散策です。ほんわかとお楽しみ下さい。

 

 

蜀は桃源郷にそっくり

 

三国志の次の晋(しん)の時代に、陶淵明(とうえんめい)が書いた「桃花源記

(とうかげんき)」。これは、道に迷った漁師が理想的な別天地にたどりつく話です。

漁師が道に迷って川をさかのぼっていくと山につきあたり、山にある小さな穴に

入っていくと、最初は狭かったが突然まわりがカポッと開け、目の前には美しい村があり、

髪の黄色い外人のような人たちが幸せそうに暮らしていた。彼らは外界と隔絶した

暮らしをしており外の様子を知らなかった。ということだそうで、理想的な別天地のことを

桃源郷と呼ぶことの語源になっています。この、川をさかのぼって山を越えるとカポッと

開けるという地形、蜀にそっくりです。

 

日々の生活を工夫で楽しくする『三国志式ライフハック

 

桃源郷はお母さんのお腹の中

 

桃源郷と蜀がそっくりという話をしたところで、桃源郷が何をあらわしているかを

考えてみます。「桃花源記」の漁師が桃源郷へ着くまでの道のりを見てみましょう。

 

【原文】

林尽水源、便得一山。

山有小口、髣髴若有光。

便捨船、従口入。初極狹、纔通人。

復行数十歩、豁然開朗。

【書き下し文】

林は水源に尽き、すなわち一山を得る。

山に小口あり、髣髴(ほうふつ)として光あるがごとし。

すなわち船を捨てて口より入る。初めは極めて狭く、わずかに人を通ずるのみ。

また行くこと数十歩、豁然(かつぜん)として開朗なり。

 

 

この道のり、母胎内回帰の隠喩であると見ることができます。

赤ちゃんが生まれてくる道を逆にたどってお母さんのお腹の中に入っていくイメージです。

人ひとりがやっと通れる狭い通り道を抜けると、広い場所に出て、そこは外界の戦乱とは

無縁な落ち着いた世界であって、中にいる人は外界の様子を知らないという桃源郷。

母胎内そのもののように思えませんか?

 

蜀はお母さんのお腹の中

 

周囲が閉ざされたまあるい場所は物が生み出される源であるという考え方があります。

中国三大幹龍総覧之図を見ると、黄河の水源にあたる場所にひょうたんが描いてあります。

あのまあるいひょうたんの小さな口から、黄河の大量の水が生み出されるという発想です。

まあるいところから生み出されるのは母親のお腹も同じことです。

 

そして、周囲を山にまあるく取り囲まれている蜀も同じであると考えることができます。

つまり、最初にお話しした神話で、亡くなった人が長江をさかのぼって蜀に入ったら

生き返ったというのは、人生いろいろあったけどお母さんのお腹の中に戻ったら

全てがリセットされたということです。

……イメージでつながったぼんやりとした話なので、ほんわかと読んで下さい。

 

よみがえりと桃

 

桃源郷を母胎の隠喩として考えた場合、桃が咲いていることは意味深長です。

日本の神話が書かれた『古事記』には、イザナキが亡くなった妻に会うために黄泉国へ

行った時、約束事を破って追っ手におわれながら現世に逃げ戻ろうとして、追っ手に

桃を投げつけて難を逃れる場面があります。日本でも中国でも、よみがえりと桃は

関係の深いものと考えられていたのでしょう。桃太郎がまあるい桃から生まれたのも、

桃が生命を生み出す霊力を持つ母なる存在であったことを物語っています。

 

三国志ライター よかミカンの独り言

 

蜀を母胎として考えた場合、外の世界でうだつのあがらなかった劉備(りゅうび)

蜀に入って皇帝になれたというのも意味深長ですね。蜀では皇帝になったけれども、

そこから出て天下を統一することはかないませんでした。

長江を下って呉(ご)に遠征に出かけ、敗れて帰り、長江沿いの蜀の入口にあたる

白帝城(はくていじょう)でその生涯を終えています。

四川盆地中心部の成都(せいと)まで帰る元気があれば、再起できたのかもしれません。

 

参考文献:『ひょうたん漫遊録―記憶の中の地誌』 中野美代子 著 朝日選書 1991年5月

 

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三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。

個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。

三国志小説『ショッケンひにほゆ』

【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】

何か一言:
皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。

妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。

読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

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