大学者鄭玄の下女達の会話は高学歴だった

2018年2月22日


 

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世説新語とは、三国時代後半に当時の人物の偉人達の奇抜で

ユーモアのある行いや偉業を記した書籍です。

古の事実を記した一種の歴史書のようなモノですが、

この本の中には歴史を変えるような偉業というよりは、

当時の人達の行いの中でも我々が感心させられるようなものや

ある種のコメディのような側面が強いです。

今回は、世説新語文学篇より、学問を重んじる鄭玄(じょうげん)と

彼とともに生活する下女のエピソードをご紹介します。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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鄭玄の家の召使い

 

鄭玄(じょうげん)は、字を康成(こうせい)といい、北海出身の経学者でした。

彼は彼自身学問を極めようと日々生活していましたが、

彼は自身の家の召使いにまで皆教養を持たせていました。

ここでの教養とは、文学や詩歌等の書物を読むことです。

 

当時は文字を読めないような民も多くおりましたが、

彼の家の者達は召使という身分にあってもそれなりの教養がありました。

 



下女の失敗

 

ある時、鄭玄(じょうげん)は下女の一人に用事を頼みました。

下女はその用事を行いましたが、鄭玄(じょうげん)はそのやり方が気に入りませんでした。

立腹した鄭玄(じょうげん)は、下女を鞭で打とうとしました。

下女は鞭打ちを恐れて、言い訳をし始めました。

ところが、鄭玄(じょうげん)はそれを聞くとさらに立腹し、

ついには彼女を泥の中に引き落としました。

 

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下女達の問答

 

引きずり落とされ全身泥まみれとなった下女は、

そのままの状態で晒されていました。

まもなく別の下女が通りかかり、彼女を発見しました。

泥まみれになった彼女を見た別の下女は彼女に尋ねました。

別の下女「泥の中で一体何をしているの?」

泥下女「失敗したので、弁解をしたら、ご主人様に叱られてしまったのよ。」

 

この物語のポイントは?

 

このエピソードでは、最後の下女の問答がポイントとなっています。

後から来た別の下女は実は、『詩経(毛詩)』邶風「式微」の詩句を引用しています。

その詩句は、亡命のために他国に足を踏み入れる君主に随行した家臣は、

「あなたのためでなければ、どうして泥の中(亡命国)に行くものですか」

と伝えたというものでした。

 

また、泥の中に引き据えられた下女はこれに返答する際に、

邶風「柏舟」の詩句を引用します。その詩句は、不遇な官吏が

「不平不満を兄弟のところに訴えたところ、叱られた」と述べたとの詩句です。

実はこの話は、前提としてこれらの詩句がポイントとなっています。

 

見えてくる彼女達の意図

 

こうしてみると、前述の会話内容も違って見えます。後から来た下女は、

「どんな理由で以って泥の中にいるのですか(邶風「式微」を引用させて頂きます。

亡命するほどの大きな問題でもありましたか)?」

これを受けて泥の中の下女は

「弁解したら御主人に叱られてしまったの

(同じように邶風の詩句を引用させて貰います。

御主人に失敗の弁解をしたところ、余計怒られましたわ)。」と返答します。

一見すると日常会話なのですが、このようにして見ると、

なんだか高学歴同士の会話のようですね。

 

三国志ライターFMの独り言

 

この物語の要点は、鄭玄(じょうげん)は勉学に常に極めていた、ということに尽きます。

その域は、自身のみではなく、召使ですら書を読んでいたということで

どれほど勉学に明るい人物かを示しています。

 

大学者の鄭玄(じょうげん)は、召使にも学問があった、とか、

飼っている牛ですら角で壁に文字を書いた、とも言われており、

話に尾ひれが付いたように噂話が数多く存在していたようです。

今回のエピソードは、その逸話の一つであると考えられます。

 

こうした会話は、背景が分からなければ解釈が難しいですが、分かると面白いですね。

また、一見高度な会話ですが、こうしたなんとなく暗に意図を込めるような深みのある会話は

皆さんも日常生活の中で行っていることと思います。

映画や小説のセリフをそのまま或はパロディで持ち出すようなイメージです。

彼女達のように日常会話を楽しめると良いかもしれませんね。

 

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三国志は、大昔の出来事ですが、物語をいろいろな視点や切り口で見ていくと、新しくて面白い発見があるのが好きです。 人物像や対人関係、出来事、時代背景、逸話等々、古い話とはいえ、学ぶべきところはたくさんあります。 埃をかぶせておくにはもったいない、賢人たちの誇りがあります。

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