戦乱の時代だからって、笑いがないという事はありません。
それは、100年の戦乱が続いた三国志の時代でも同じです。
では、当時の人々は、どんな話題で笑ったのでしょうか?
大昔の笑い話を集めた笑林という本から、いくつか抜粋しましょう。
長い竹竿が城門を通らないよ~
photo credit: 竹と光 Bambous et Lumière via photopin (license)
長い竹竿を持って魯の国の城門をくぐろうとする人がいた。
しかし、竹竿が長すぎて、縦にしても横にしても通れない。
その人が困っていると、街の長老が出てきて言った。
「あーー、ワシは、別に聖人という程に機智も徳もないが、
長く社会を見てきたので、多少はモノを知っておるつもりじゃが、、
あんたは、どうして竹竿を鋸で半分から切らないのかね?」
ボケ、突っ込みであるように見せて社会風刺
とぼけた会話の中に、杓子定規で、縦のモノを横にもしない
停滞した社会を風刺する意味が込められています。
今でいうと、爆笑問題の漫才に近いかも知れません。
一体、誰が得をしたの?鳳凰(ほうおう)の偽物
photo credit: Pheasant head via photopin (license)
楚の人で、雉(きじ)を担いでいる人がいた。
その近くを通りかかった男が、「その鳥は何と言う鳥ですか?」と聴いた。
楚人は「これは鳳凰という鳥ですよ」と嘘をついた。
近くを通りかかった男は、
「それは珍しい、楚王に献上したいので私に売って下さい」
と千金を支払った。
楚人は、これはいい金ズルだと思って、もったいぶった。
そこで男は、さらに千金を支払い、ようやく雉を買い取った。
ところが、雉は買い取った翌日に死んでしまった。
男は、お金の事ではなく、楚王に献上しようと思った鳳凰が死んだ
という事を嘆き悲しんで毎日泣いた。
それは、楚の人々の同情を引く事になり、ついには楚王に届いた
楚王は、大金を散じて自身の為に鳳凰を買った男の心に感激し
男を探しだして、大金を与えた。
その大金は、男が楚人に支払った金額の10倍を越えたという
物事の本質がズレてゆく不思議
photo credit: Seagull and Mt Stephens via photopin (license)
元々は、鳳凰でもなく、ありふれた雉という鳥が
楚人の嘘から鳳凰に化け、その後死んでしまい、
最終的には美談として、だまし取られたお金の10倍以上
というお金に化けてしまうという不思議な話。
ここでは、雉が鳳凰になりおおせ、
雉と鳳凰の区別もつかない人が善人になり、
そこに人々の温かい同情と大金が与えられるという、
何だかズレた事になっていきます。
なんだか、ぞわぞわしてきませんか?
話をシンプルにすると、雉を鳳凰と騙されて、
大金を支払い買った男が、雉に死なれて泣く話
という身も蓋もない話も成立するのです。
今、話題になっている、某元プロ野球選手の覚せい剤逮捕や
賄賂を受け取った、某TPP担当大臣の辞任問題も、
「麻薬や賄賂はいけない、刑事罰を受けるべき」という
シンプルな話から、どんどん話がズレて、雉が鳳凰に
化けている感じがします・・
【次のページに続きます】
この記事へのコメントはありません。