キングダム
官渡の戦い




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

【史記】には解説書が3つ三家注って何?




陳寿

 

陳寿(ちんじゅ)が著した『三国志』の内容は

簡潔というかあまりにも簡素ですから、

陳寿の記した文字だけを追って

三国時代を理解するのは

現代の私たちにとっては難しいものです。

 

そんな私たちを助けてくれるのが

東晋時代に裴松之(はいしょうし)が付した『三国志』の注。

裴松之

 

この注が『三国志』だけではなく、

『史記』や『漢書』、そして『後漢書』にも

後世の学者によって付けられています。

 

その中でも特筆すべきは、

『史記』には3種類の注が付けられているということです。

 

この『史記』に付された3種類の注は

総称して「三家注(さんかちゅう)」と呼ばれています。

 

今回は、この『史記』三家注とは何なのかを

簡単に解説していきたいと思います。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:誇りを失ってもなお『史記』を書いた司馬遷の執念

関連記事:【戦国四君物語】史記から見てみた魏の信陵君ってどんな人

 

 

『史記』に最初に付された注

司馬遷

 

司馬遷(しばせん)によって編まれた

神話時代から前漢武帝(ぶてい)までを描いた歴史書『史記』は、

司馬遷による歴史的人物の褒貶(ほうへん)が織り交ぜられており、

その内容は時の権力者の怒りを買いかねない内容でした。

 

そのため、司馬遷は死後、

『史記』を娘に託して人の目に触れないようにしました。

 

ところが、司馬遷の孫にあたる楊惲(ようき)

これを埋もれさせては惜しいと

前漢の宣帝の時代に世に出したのです。

 

その後、『史記』はたくさんの人に読まれ、

歴史を学ぶ人々の一助となりました。

 

後漢の班固(はんこ)は『史記』の内容の不備を正すべく、

『漢書』を著していますが、

その体裁は『史記』に従っているところも少なくありません。

 

その後、西晋時代には陳寿によって『三国志』が編まれ、

そして南朝宋の時代には范曄によって『後漢書』が整理されるなど、

漢民族の歴史を補完しようという動きが活発になります。

 

そうした中で、

経書だけではなく、

歴史書にも注をつけようという動きが起こります。

 

まず、その注を付されたのは

内容があまりにも簡素すぎると言われていた『三国志』。

そして、『三国志』に注を付した裴松之の息子である

南朝宋の裴駰(はいいん)も『史記』に注を付します。

 

『史記』は『三国志』のように言葉足らずというよりも

時代が下って理解できない事柄が増えてきたことと、

その内容が煩雑であるために注釈を必要とすると

裴駰は考えたようですね。

 

こうして著された『史記集解(しきしっかい)』は

後に三家注の一端を担うことになります。

 

裴駰は経書や地方史、そして経書の注などと

『史記』の本文を照らし合わせ、

更にほぼ同時代に活躍した学者・徐広の『史記音義』を参考にしながら

そのわかりづらい言葉の意味を明らかにしようとしたのでした。

 

 

唐代に編まれた2つの『史記』注

レポート300ページ

 

裴駰が集解を編んでから

さらに時代は下って乱世が終わり、

中国大陸が再び統一されて唐代に入ると、

再び歴史書に注を付けることが

学者の間でブームになります。

 

その中でも有名なのは、

顔師古(がんしこ)による『漢書』注、

章懐太子(しょうかいたいし)李賢(りけん)による『後漢書』注、

そして、司馬貞(しばてい)による『史記索隠(しきさくいん)』と

張守節(ちょうしゅせつ)による『史記正義』あたりでしょうか。

 

初唐の司馬貞の『史記索隠』はその名の通り、

『史記』に隠された真実を模索するために

編まれた注釈書であり、

文字の発音や意味、地理や人物を

(つまび)らかにしようとして編まれたものです。

 

そして、少し時代が下った頃、

唐の絶頂期を生きた張守節によって編まれた『史記正義』もまた、

文字の音や込められた意味を明らかにし、

『史記』の真理に近づこうとする内容になっています。

 

ますます『史記』の時代から遠のき、

さらには裴駰の『史記集解』の時代までもが遠い昔になってしまったため、

司馬貞も張守節もよりわかりやすい注が必要だと考えて筆を振るったのでしょう。

 

リアリズムと悪の教科書
君主論

 

3つの注釈書が合体!

曹操と許褚

 

これ以後も『史記』注と呼べるものは

たくさん編まれていきますが、

『史記』を読むうえで絶対に目を通しておきたい注とされたのは

やはり裴駰による『史記集解』・司馬貞の『史記索隠』・張守節による『史記正義』、

以上の3つの注釈書でした。

 

学者たちは『史記』を読むのに、

『史記』そのものとは別に

3種類の違う注を机に並べて読んでいたといいます。

 

しかし、

もともとは別々に刊行されていたこれらの本も、

時代が下るにつれて合体させられ、

1冊の本として刊行されるようになります。

 

そうすれば、机の上もすっきりする上に

読み比べるのも楽チンになりますからね。

 

三国志ライターchopsticksの独り言

三国志ライターchopsticksの独り言

 

最終的に『史記』の本文とも合体した三家注は、

『史記』を学ぶ上で欠かせない注釈書として

現代においてもたくさんの学生たちの学習をサポートし続けています。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:裴松之(はいしょうし)の神編集!異論反論ブチ込みまくりで三国志が激アツに!

関連記事:【二人の歴史家】姜維の評価をした孫盛と裴松之が下した剣閣戦の評価

 

関羽の弔い合戦「夷陵の戦い」を分析
夷陵の戦い

 

 

chopsticks

chopsticks

投稿者の記事一覧

清朝考証学を勉強中。
銭大昕の史学考証が専門。
片田舎で隠者さながらの晴耕雨読の日々を満喫中。

好きな歴史人物:
諸葛亮、陶淵明、銭大昕

何か一言:
皆さんのお役に立てるような情報を発信できればと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

  1. 司馬昭 司馬昭ってチョー有能?それとも親の七光りだったの!?
  2. 三国志大学で勉強する劉備 【漢数字】意外と知らない?漢数字のあれこれ
  3. 関羽が殺されキレる劉備 劉備の養子・劉封(りゅうほう)はなぜ殺されねばならなかったの?
  4. そうなの?諸葛亮はいい加減に歴史を覚えていた
  5. 辮髪(べんぱつ) 遊牧民の衝撃の髪型 辮髪(べんぱつ)って何?
  6. 白狼山の戦いは曹操もちょっぴり後悔?
  7. 陶淵明が描いたユートピア「桃花源記」の世界とは?
  8. 関羽 関羽も丸暗記した春秋左氏伝はどうして人気があるの?

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 徐盛(じょせい)呉の将軍
  2. 幕末 帝国議会
  3. 株式会社三国志で働く劉備と孔明
  4. 耶律突欲
  5. 于吉と張角
  6. 平野国臣

おすすめ記事

  1. アンゴルモア 元寇合戦記ネタバレ 第29話 Part.2 高麗の栄光の為、父を裏切れ
  2. 【お知らせ】耳で聞いて覚える三国志を追加配信しました。 司馬懿
  3. 孫権の妻たちは意外と知られてない? 謝夫人 孫権の妻
  4. 【おんな城主・井伊直虎を見逃した方へ】第20話 「罪と罰」の見どころ紹介 おんな城主 直虎
  5. 城濮の戦いとはどんな戦い?晋の文公が覇者たる地位を手に入れることになった戦い
  6. 【三国志の民話】世論に逆らうな!曹操の民心掌握術

三國志雑学

  1. 魏延と孔明
  2. 「ここにいるぞ!」と言いながら魏延を切る馬岱
  3. 郭嘉
  4. はじめての三国志 画像準備中
  5. 司馬懿と魏延
“はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 陳寿(晋)
  2. 光武帝 三国志
  3. 李逵(水滸伝)
  4. 武田騎馬軍団 馬場信春
  5. 呂布と董卓の最強タッグ
  6. 官渡の戦い 曹操 勝利
  7. 陸遜

おすすめ記事

東京国立博物館の特別展「始皇帝と大兵馬俑」を楽しむ!秦の時代の武器(兵器)を徹底紹介! 郭嘉の本 朝まで三国志2017 三国志の最強軍師は誰だ! 第5部 キングダム キングダムの王翦は史実通りの最強武将だった!その理由とは? 【3分で分かる】和歌(わか)って何?ルールとかあるの? 朝まで三国志2017 三国志の最強軍師は誰だ! 第8部 【三国志のエチケット】口臭は人間関係もビジネスも台無しにする? 曹丕(そうひ)得意の詩で蜀の調理法を斬る 【お知らせ】サイト内検索(検索フォーム)を導入しました

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

PAGE TOP