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誇りを失ってもなお『史記』を書いた司馬遷の執念

この記事の所要時間: 334




曹操 耳で聞いて覚える三国志

 

『三国志』は、『二十四史』と呼ばれる中国の正史(主に王朝が編さんする歴史書)のひとつに数えられています。

 

読まれたことのある方であればご存知かと思いますが、正史『三国志』は人物毎に情報をまとめて記述する、いわゆる紀伝体(きでんたい)で書かれています。

しかし、中国で歴史書が書かれるようになった当初、一般的に用いられていたのは編年体(へんねんたい)と呼ばれる、年代順にできごとを記す書式でした。

 

『三国志』が紀伝体で書かれたきっかけとなったとされる正史、それが『史記』です。

『史記』を書いた司馬遷とは、一体どのような人物だったのでしょうか?




父の遺志を継いで歴史書の編さんを志す

司馬イ仲達

 

三国志関係で“司馬”の姓のつく人物と言えば、多くの方はまず司馬懿を思い出すかと思います。

“司馬”とは本来、軍事を司る官職の名前であり、その官職についていた家系が“司馬”の姓を名乗ったと考えられます。

そのことから、大本をたどってけば二人の間に血の繋がりがあるのかもしれませんが、直接的な血縁ではないことは確かです。

 

司馬遷の父、司馬談の遺言によれば、彼の家系は古くから歴史や天文を司る一族であったと言います。

古くは堯(ぎょう)や舜(しゅん)といった中国の神話上の存在とされる王に仕え、始皇帝の時代には鉄鋼を管理する役職にあったと言います。

 

司馬談は歴史書編さんを志していましたが、その夢を果たすことなく病没、司馬遷は父の遺志を引き継いて、自ら歴史書の執筆を志すことになります。

 

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友人の罪に連座させられ死刑を迫られるが……。

あざな 三国志 習字

 

父の遺志を継いで歴史書の執筆にとりかかった司馬遷でしたが、思わぬ災難に見舞われることになります。

 

当時、漢王朝にとって西域の異民族対策は重要な課題となっていました。

司馬遷の友人であった将軍の李陵は当時の皇帝である武帝に願い出て、自ら異民族の匈奴を討伐する任に就きます。

当初は善戦した李陵でしたが、自軍の五倍の敵に包囲され、やむなく降伏します。

 

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友人の李陵を弁護した司馬遷

漢王朝 腐敗

 

李陵降伏の報は武帝を激怒させ、臣下たちもこれに迎合しましたが、ただ一人、司馬遷は李陵の勇戦を主張し、彼を弁護しました。

しかし、そのことが武帝の逆鱗に触れてしまい、司馬遷は投獄されます。

さらに、寝返った李陵が匈奴の兵に軍事訓練を行っているという報告が届くに至り、武帝は李陵の一族ことごとくを処刑し、司馬遷にも死刑を命じます。

 

しかしこの時、司馬遷にひとつの選択肢が与えられます。

それは、死罪を免れたければ金を払うか、それとも宮刑(きゅうけい)を選べというものでした。

【次のページに続きます】

 

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