中国と言えばアッと驚くパフォーマンスが魅力の中国雑技団が有名ですよね。中国では今、体操の早期英才教育をするのが流行っているということも度々テレビなどで取り上げられているのを目にすることも多いと思います。彼らはオリンピックの選手として活躍するのでしょうが、きっとそのうちの何人かは中国雑技団の一員として活躍する道を選ぶんだろうな…などとテレビに映る彼らを見ながら考える人も少なくないでしょう。
身体がやわらかくて軽やかなイメージが強い中国人ですが、そのイメージを形成した中国雑技はいつ生まれたのでしょうか?
この記事の目次
何千年も前から培われてきた伝統の技
実は雑技の萌芽といえるものは、新石器時代には芽吹いていたと言われています。中国における新石器時代というのは紀元前7500年頃から紀元前1500年頃までのことを指しますから、中国雑技の歴史は中国四千年といわれる歴史よりもずっとずっと長そうです…。しかし、この雑技というのは、最初から娯楽のために生み出されたものではありません。
遠くで作業をしている仲間に物を投げ渡したり、対岸にかけ渡した縄を伝って歩いて川を渡ったりという日常の動作をする中で磨かれていった技が、周囲の人々に驚かれるレベルに達するようになって1つの芸として人前で演じられるようになったのです。
宮廷御用達の宴会芸に
人々を驚かせる技を磨いた曲芸師は時代が下って春秋戦国時代になるとますます重宝されるようになります。独自の技を磨き上げた人々はそれぞれ諸侯や王に仕えてその技を活かして戦場で活躍したり宴会で披露して主君を喜ばせたりしたそうです。そして三国時代になっても雑技を極めた人々は度々宴会に招かれてその技芸を披露したのだとか。曹操や劉備、孫権たちも楽しんだという大道芸の一部をご紹介しましょう。
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皿の上を自由に飛び回る軽業
地面に伏せた数枚のお皿の上を踊るように跳ねまわるアクロバティックな技芸。お皿以外に着地してしまったら当然失敗ですが、お皿が割れてしまっても失敗というこの芸には、高度なバランス感覚が要求されます。うまいことお皿の高台に手や足をのせながら瞬時に次の皿に移らなければなりませんから、判断力の鋭敏さが試される技でもありますね。
諸刃の剣ジャグリング
複数本の諸刃の剣を空中で自在に操るジャグリングは、見ていてハラハラドキドキの演目です。大きな剣が勢いよくビュンビュン回る様子に思わず目が釘付けになってしまいます。上半身が裸なのはおそらく剣が服に引っかかってしまうという不安を取り除くためでもあるとは思いますが、人々は曲芸師の覚悟を感じたことでしょう。ちなみに、剣のみならずお手玉のようなものも一緒にジャグリングしてみせる猛者もいたようです。
秋田の竿灯よりもヤバい!人間竿灯
秋田の竿灯祭りも顔負けの人間竿灯ともいえる技が中国にはあるのです。ちょうどキリストの十字架のように十字に組んだ竿を額の上に載せてバランスをとる技なのですが、竿の先には子どもが3人!十字の左右では子ども2人がこうもりのようにぶら下がり、竿の頂点ではお腹の一点に全体重をかけ、両手両足でバランスをとっている1人の子どもが…。自分1人のバランスをとるのも大変だというのに、この人間竿灯は4人全員でバランスをとらなければならないというまさに至難の業です。こちらも思わず息を止めてしまうほど気が張ってしまう技芸ですね。
古今東西これは外せない!馬の曲芸
サーカスの花形といえばやっぱり馬。馬を使った曲芸というのは実は中国でも大昔から行われていたようです。馬をぐるぐると円を描くように走らせ、その上であらゆる技を披露する曲芸師の姿に落馬してしまうのではとハラハラさせられてしまいます。
皿や車輪を器用に回す
現代でもおなじみの皿回しは三国時代にも宴会芸として親しまれていたようですね。細い棒の先で皿を器用に回し、その皿をまた別の棒の先に移す…。ちょっと地味ですが、心臓に優しい技ということで愛されています。また、車輪をクルクル回してまるで生きているかのように体中を巡らせるという技もあったのだとか。こちらも心臓に優しい技ですね。
■古代中国の暮らしぶりがよくわかる■
落絶体絶命の綱渡り
しかし、まさに命がけともいえる技も。地面にリアル剣山を作ってその上に縄を渡し、縄の上を子どもに渡らせるという恐ろしい技芸です。バランスをとるための棒を両手で持った子どもが軽やかに綱を渡っていくのですが、それでも落ちてしまったら絶体絶命ということで固唾を飲んで見守らざるを得ない技ですね。お酒を飲む手も止まってしまいそうです。しかし、中には綱を逆立ちで渡っていく者も…。
三国志ライターchopsticksの独り言
気軽に楽しめるものからヒヤヒヤしてしまう技まであらゆる演目で人々を喜ばせた中国の曲芸師たち。彼らの技はこれからも人々に普段は味わえない感動を世界中の人々に与えていくことでしょう。
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