「自分の考えを正確に伝えるのが苦手」、「コミュニケーションがうまくできない」という面で悩んでいるのでいるのであれば、ミスコミュニケーションが発生している可能性があります。
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※このお話は、三国志に登場する袁術(公路)が、21世紀のビジネスシーンで支持されている様々な「自己啓発」のやり方を学び、実践していく物語になっています。やや、21世紀風のセリフ回しになっている部分はご了承ください。
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袁術くん、劉表から荊州について相談を受ける
袁術くんは、四世に渡り三公を輩出したという超超名門である汝南袁氏に生まれました。
父の袁逢は三公の中の司空に就いたことがありましたが、すでに病没し、この世を去っています。
現在は混乱の時期を迎えています。朝廷を牛耳った董卓を倒すべく各地の群雄が立ち上がり、連合を組んで董卓と正面から対立を続けていました。袁術くんもそんな連合軍に参加しています。
今日は、そんな最中に荊州の牧である劉表が、袁術くんのもとに訪問していました。
劉表、字は景升。兗州山陽郡の出身で、前漢景帝の血筋を受け継いでいる皇族のひとりです。
「これは荊州牧様、本日はよくお越しになりました。なにかありましたか?」
「後将軍様にはお忙しいところ、お時間をいただき、ありがとうございます」
「いえいえ、後将軍の官位は董卓が勝手に任命したものですよ。僕はそのようなお役目にあるとは考えていません」
「それをおっしゃるのであれば、私も董卓から荊州牧に任じられた身ですが」
「そ、そうでしたね。しかし、荊州牧様の統治によって、荊州はかなりまとまってきております。以前のような不穏な動きをする豪族は減ってきていますね」
「実は、その荊州についてご相談に来ました」
「ええ。私もこうして荊州の南陽郡を地盤にしておりますので、なにかご協力ができることがありましたら、なんなりと」
「後将軍様に仕えている、孫堅のことです」
「孫堅殿? 孫堅殿は、僕の家臣というわけではありません。良き理解者、良き協力者といった関係ですね」
「しかし世間はそうは見ておりませんな。孫堅が、後将軍様の先鋒を務めているというのは明らか。
しかも、その孫堅、荊州刺史や南陽太守を董卓に与したと決めつけ、殺害しております。これは後将軍様のご指示では?」
「と、とんでもない。そのような指示などしていません」
「後将軍様は、さらに董卓軍との戦いで功績のあった孫堅を、朝廷の許可なく豫州刺史に命じたとの噂もありますが」
「そのような権限は僕にはありませんよ」
「孫堅自身はそう約束されたと公言しているとか。はたして後将軍様は、この荊州の治安を乱すおつもりなのか、否か」
「治安を乱すつもりなどありませんよ。実は孫堅殿と話はできているのですが、うまくかみ合わず、それで誤解が生じているのかもしれません」
「なるほど、ミスコミュニケーションというわけですか」
「ミスコミュニケーション? 何でしょうか。ぜひお話をうかがいたい」
ミスコミュニケーションとは何か?
「ミスコミュニケーションとは、伝える側と受け取る側の認識の齟齬のことです。伝える側の問題としては、言ったつもりになっているということが考えられます。
一方で、受け取る側の問題としては、別の意味で受け取っていたということが考えられるでしょう」
「なるほど。言ったつもりになっていることや、別の意味で受け取っていることでお互いに異なる認識になっている状態なのですね」
「いかにも。どちらが悪いということはありません。
伝えたいことが伝わっているのか、伝えたいことを理解できているのか、互いに相手の立場に立って考える思いやりが必要でしょう」
「孫堅殿とは、生まれも育ちも違うので、意図がうまく伝わっていなかったかもしれません。だとすると、僕の責任ですね」
「ミスコミュニケーションは、トラブルの芽ですからな。それが原因で、河北では、袁紹殿と公孫瓚殿が揉めているとか。私としては、荊州にいる主だった方々としっかりとコミュニケーションを取り、この地に秩序と平穏を取り戻したいのです」
「もちろん僕も荊州牧様の意見に賛成です。どのような点に注意すると、ミスコミュニケーションを防ぐことができるのでしょうか?ご指南いただけると、助かります」
ミスコミュニケーション対策
「ミスコミュニケーションが発生すると、思い込みによってトラブルに発展していきます。
この思い込みを解決し、正しく整理できている状態に導くには、本当にその理解が正しいのか自問自答する必要があるでしょう」
「自問自答ですか」
「思い込みは大きく三つに分けられます。それに対処する方法ですな。思い込みのひとつは一般化による思い込み。数少ない経験がすべてに反映されると思い込んでいるものです。すべてに当てはまるのか、という自問自答が必要です。
孫堅にそれができないのであれば、後将軍様がその可能性について配慮されなければなりません。孫堅は董卓配下の猛将・華雄を討ったという武功があります。刺史に任じられるのも当然だという思いがあるでしょう」
「武功をあげたから、相応の刺史の官位を貰えるものだという思い込みがあると」
「孫堅とはそのような男です。歪曲による思い込みの可能性もあります。袁紹殿が勝手に任命した豫州刺史の軍勢と、孫堅は小競り合いをしていますからな。自分が後将軍様に豫州刺史に任命されているから攻められたと思ったかもしれません」
「それはこちらを攪乱するための董卓による誘導もあったようですが……
とりあえず僕がはっきりと孫堅殿に、豫州刺史に任命した覚えはないと伝えるべきですね」
「思い込みの最後は省略です。具体的に伝えなくても、それぐらいは伝わるだろうと省略して伝えることで、お互いの齟齬が生まれるのです。後将軍様は名門袁氏の代表ですが、刺史を任命する権利はない。それを伝えねば、孫堅は後将軍様の下、武功さえあげれば、力で何でも叶うと勘違いしているかもしれません」
「一般化、歪曲、省略の三点の思い込みを解消していく必要があるのですね」
「できればそれを自問自答できるように孫堅を育てていただきたいものですな。
でなければ、あの男、この先何をしでかすかわかりませぬ。私が後将軍様をそそのかしたと思い込み、襄陽に攻め込んでくるかもしれませんからな」
「まさか、さすがにそのような……」
「ありえますぞ、なにせ江東の虎の異名を持っている男。腹を空かせれば平然と人を喰うでしょう」
まとめ
「僕の方から改めて孫堅殿とじっくりと話をする機会を設けます。そして、荊州牧様の懸念されているようなミスコミュニケーションが起こっているのであれば、すぐに改善していきます」
「それがよろしいかと思います。私は荊州牧の任を董卓から命じられたとは考えておりません。あくまでも帝の下知。荊州を鎮めるためであれば、ためらわずに孫堅を倒さねばなりませんからな」
「わかりました。そのような事態を避けられるよう、尽力します」
「それでは、くれぐれもよろしく頼みますぞ、後将軍様」
結論
・ミスコミュニケーションとは
- 伝える側と受け取る側の齟齬が原因である。
- 異なった意図が伝わることで、思い込みからトラブルが発生する。
・ミスコミュニケーションを防ぐためには
- 相手の立場に立って、思いやりのある丁寧なコミュニケーションを心がけること。
- 理解した内容が本当に相手の伝えたい内容なのか、自問自答すること。