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第15話:袁術くん「セルフコンパッション」を魯粛から学ぶ

2019年1月28日


 

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袁術

 

「ついつい虚勢を張ってしまう」、「他人からのネガティブなフィードバックを受け入れられない」など、成功を求めて自尊心を保とうと無理をしていると、他人への嫉妬や孤立感が強まり、精神面で追い込まれていきます。

 

この記事を読み終わる頃には、あなたは人生をポジティブに歩むことができる方法をひとつ手に入れています!

 

※このお話は、三国志に登場する袁術(えんじゅつ)公路(こうろ))が、21世紀のビジネスシーンで支持されている様々な「自己啓発」のやり方を学び、実践していく物語になっています。やや、21世紀風のセリフ回しになっている部分はご了承ください。

 

関連記事:第1話:袁術くん、ポジティブになるために「リフレ―ミング」を学ぶ

関連記事: 第2話:袁術くん、将来に希望を持つために「自己肯定感」を高める

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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袁術くん、匡亭の大敗後に魯粛に励まされる

袁術を励ます魯粛

 

袁術くんは、四世に渡り三公を輩出したという超超名門である汝南袁氏に生まれました。

父の袁逢は三公の中の司空に就いたことがありましたが、すでに病没し、この世を去っています。

 

董卓を討ち取り放浪する呂布が南陽を訪れた数日後、今度は朝廷から金尚がやってきて袁術くんに援助を申し出てきました。金尚は、黄巾の残党に侵攻されて戦死した兗州刺史・劉岱の代わりに刺史に任命されたのです。ただし兵力を有しておらず、兗州の黄巾の残党を撃退することができません。

 

そこで袁術くんは金尚を助けるため、自らも出陣し、兗州の陳留郡へと大軍を進ませました。この大軍を見れば、黄巾の残党も勝算が見込めず逃げ出すと考えたのです。

 

しかし、意外にも兗州で袁術軍を待ち受けていたのは、兗州の牧を自称する曹操だったのです。黄巾の残党は曹操に敗れ、精鋭は青州兵として曹操軍に組み込まれていました。

 

袁術軍の先鋒を務める劉詳は、匡亭という場所で曹操の奇襲を受けて壊滅。しかも背後からは曹操と手を結んだ荊州の劉表が迫っていました。

 

袁術くんは、慌てて兗州の襄邑まで南下しますが、曹操の追撃は執拗で、袁術くんは豫州の寧陵に逃れ、さらに大きく南進して揚州の九江郡まで落ち延びました。これまでの拠点であった南陽は捨てざるを得ない状態になってしまったのです。

 

恥じるべき大失態でした。袁紹曹操・劉表の計略に見事にはめられ、袁術くんは住処を追い出されてしまったわけです。

 

足取りの重い袁術くん。そんな中、九江郡の寿春までの道案内を務めてくれたのが、徐州の下邳国出身の若者、魯粛でした。まんまるとした体格で、いつもニコニコしており、憎めない性格をしています。

 

「ハア、僕はなんという愚か者だろう。もはや袁氏を名乗ることも許されないような失敗をしてしまった。天下の人々は僕を見て皆笑っていることだろう……」

 

袁術くんがそう肩を落としていると、魯粛が近づいてきて声をかけてきました。

 

「後将軍様(袁術)、そう自分を責めることはありませんよ。もっと、肩の力を抜いて、セルフコンパッションを高く持つことです」

 

「セルフコンパッション? いったい何の話だい? ぜひ聞かせてほしいものだ」

 

 

 

セルフコンパッションとは?

袁術

 

「セルフコンパッションとは、自己への慈しみのことです」

 

「自己への慈しみ? 自分で自分を慰めろとでも言うのかな」

 

「その通りです。他人に接するように、自分に対しても思いやりをもって、優しく接することです」

 

「こんな大失態をしてしまった自分に優しくなれと?」

 

「もちろんです。失敗なんて誰だってしますからね。失敗せずに成功を掴める人間なんていませんよ。失敗から学んで成長し、成功できるのですから」

 

「それはそうかもしれないが、さすがに今回の件は重大な失敗すぎるよ。部下たちは家族を南陽に置いてきている。住む場所も、家族も同時に失ってしまったんだ。しかもこの先もどうなるかわからないしね。そんな自分に優しくするなんて」

 

「自分に優しく接することと、甘やかすことはまったく別です。優しく接することで、ありのままの自分を受け入れ、励ますことができます。後将軍様は名門・袁氏という看板を背負っているだけに、周囲の目を気にして自分に対して厳しくなっているのでしょうが、そのような自尊心は病の源です」

 

「そうは言っても、さすがに自分自身が心底嫌になったよ」

 

「そうやって自己否定しても自分を追いつめるだけです」

 

魯粛、キミにはわからないだろうね。僕は完全に本初(袁紹の)に騙されて、馬鹿にされたんだ。それは僕の考え方が甘すぎたからだろう」

 

「セルフコンパッションが低い人は、オブザーバーのネガティブなフィードバックに対して防衛的になることがわかっています。ポジティブな評価に依存しており、自己への評価が歪んでいるのです」

 

「僕が歪んでいるって言うのかい?」

 

「失礼ながら、そうですね。だからこそ、セルフコンパッションを高める必要があります」

 

 

 

ネガティブ思考の受け入れ方

袁術

 

「どうしたら、セルフコンパッションを高めることができるんだい?」

 

「まずはコンフォートカードを持ち歩いてください」

 

「コンフォートカード? なんだいそれは?」

 

「今回の失敗を紙に書き出します。そして裏面はカラフルにして、その失敗に対する励ましのメッセージを書くのです。3週間ほど持ち歩いていただき、失敗を思い出してネガティブな気持になった際には、そのコンフォートカードを見て、セルフコンパッションを高めるのです」

 

「なるほど。他にも高める方法はある?」

 

「自分の心の中に、とても優しくて励ましてくれるキャラを創造するのも効果的です」

 

「想像じゃなくて、作り上げるってこと?」

 

「そうです。そうすると切り替えが楽にできるんです。後将軍様の心の中で、ネガティブな気持が湧き上がってきたとします。それを優しいキャラがまず、素直に受け止めてくれるんです。そして理由や原因を考えてくれて、最後に優しく励ましてくれます」

 

「客観的に自分を見つめられる別の人格を作り上げる感じなのか……」

 

「キャラに名前なんてつけてあげると、よりキャラが強く根付きますよ」

 

「名前? なんでもいいのかな」

 

「ええ。何か元気を与えてくれるようなイメージのある名前がいいですね」

 

「じゃあ、ハチミツにするよ」

 

「さすが後将軍様、面白い発想ですね。ハチミツは、後将軍様の感情をそのまま受け入れます。そして励まし、少しだけ打開策を提案してくれます」

 

「ハチミツか…… よろしく頼むぞ」

 

   

 

まとめ

魯粛

 

「ハチミツのおかげで少し気持ちが楽になってきたよ」

 

「セルフコンパッションが高まると、自尊心に感情が左右されることがなくなります。失敗してもそれを受け入れ、自己批判をすることなく、冷静に改善策を考えることができるのです」

 

「よし。もう一度、この揚州の地で頑張ってみよう。隣の州には陶謙殿もいる。陶謙殿は公孫瓚殿とも手を結んでいるようだから、僕もこの輪に入れてもらうことにしよう。今回は孟徳くん(曹操)に後れをとったけど、僕には僕の志がある! よし、自分の志を遂げるために、ここからリスタートだ!」

 

 

結論

 

・セルフコンパッションとは

  • 自分に対して思いやりをもって優しく接すること
  • セルフコンパッションが高いと、失敗を怖れず挑戦できるようになり、失敗しても、受け入れ、成長に繋げることができる

 

・セルフコンパッションの高め方

  • コンフォートカードを持ち歩き、ネガティブな感情になったら読み返す。
  • 自分を優しく受け入れ、励ましてくれるキャラを心の中に創造する。

 

袁術くんの成長日記

 

 

 

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