『列子』でわかる!三国志の左慈が物理法則を超えられる理由


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生姜を買ってくる左慈と曹操

 

三国志(さんごくし)にでてくる方術士の左慈(さじ)

後漢書(ごかんしょ)』には、曹操(そうそう)の追っ手から逃れる左慈のアンビリーバボウな逃走方法が記されています。

 

・曹操に殺されそうになり、壁の中に入って消える

・市場で追っ手に見つかると、市場にいた人々を自分とおんなじ見た目に変えてまぎれる

・羊の群(むれ)に逃げ込んだ時、追っ手から「もう殺そうとしません。あなたの術を試したかっただけです」と言われると、たくさんの羊たちに二本足で立ち上がらせて「どうして急にそんなことを?」と言わせ、まどわせる

 

どうして左慈にはこんなことができたのでしょうか。

道教の思想書『列子』の中に、その説明になりそうな部分を見つけました。

 

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列禦寇(れつぎよこう)先生の疑問

 

その部分は『列子』黄帝篇にあります。

まずは列子こと列禦寇(れつぎよこう)先生が関尹子という人にこう質問します。

 

「道」を体得した至〔徳の〕人は、水中にもぐっても息がつまらず、火中に入っても焼けどもせず、万物をはるかに見おろす高見(高い所)を歩いてもびくともしないとのことですが、いったいどうすれば、このような境地にまでなれるのでしょうか。

 

もっともな疑問です。私もそれを知りたいです。

関尹子の答えをみてみましょう。

 

それは人間が本来もっている純粋の気を失わずにもちつづけているからであって、決して知恵や才覚・勇気や決断などのたぐいのもので到達できるのではない。まあ坐るがよい。お前に少し話してあげよう。

 

はい。ぜひうかがいたいです。

 


 

我々がふだん知覚できるものは、真の実在ではない

 

左慈みたいなことは知恵、才覚、勇気、決断のたぐいでできることではないとのこと。

じゃあ一体どんな努力をすればいいのでしょうか。教えてチョ、関尹子。

 

およそ姿(貌)や形(像)・声や色などを持っているものは、すべて物と呼ばれる現象なのである。

それ故、現象である物と他の物とでは、〔たとえば人間と他の禽獣草木のように〕互いにひとしく物であって、みな現象の世界に属しているのだから、大した違いはないのだ。

だから、この現象界に属している物が、どうして天地万物の根源である「道」の世界に到達することなどできようか。

これら物はあくまでも色(しき)すなわち単なる現象にすぎぬ存在であって、真の実在ではないのだ。

 

なるほどー、我々がふだん知覚できるものは、真の実在ではないということですか。


 

「道」は物質世界とは異次元のもの

 

続きをうかがってみましょう。

 

真の実在である「道」は、形なき世界に有形の万物を創造(ルビ:つくりな)して、〔それに姿や形・声や色などを与え、〕おのれ自身は生成変化することのない絶対の境地にひっそりと静まりかえっている存在なのである。

いったいこの「道」を体得して究めつくしたほどの人物ともなると、〔もはや現象としての単なる存在(物)ではない、だから、〕何ものでも彼をばこの現象の俗界にひき止めておくことなどはとてもできないのである。

 

なるほどー、真の実在が「道」なんですね。

で、「道」は物や現象を生み出す根本、ってことでしょうか。

そして、「道」を体得して究めつくした人物なら物や現象を生み出す根本が分かっているから、物理法則を超越できるってことなんですね?


  

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンさん

 

左慈が物理法則を超越したようなことができたのは、きっと「道」を体得しているからなのでしょう。

どうやって「道」を体得するのか、「道」とはどういうものなのか、よく分かりませんが……。

最後に関尹子が「道」を体得した人の様子について説明している部分を引用します。

 

このような「道」の体得者である至人(しじん)は、自然にそむかぬ正しい節度の中に身をおき、始め終わりのけじめのない無窮の真理に身をひそめ、万物がそこから生じてまたそこに帰ってくる根源の世界に悠々自適し、おのれの本性を専一に保ち、おのれの純〔粋の〕気をよく養い、そうして得た徳を深く内にたくわえて外に現わさず、かくして万物をつくり成す造化の絶妙な世界にも自由に往来(ゆきき)しうるほどなのである。

 

もはや人間じゃないみたいな感じですね。

左慈もこういう存在だったのかな、と想像してみると、あらためて、恐ろしい人物だなぁという気がいたします。

 

参考文献: 小林勝人訳注 『列子』 岩波文庫 1987年1月29日

※記事の中で引用した文章はこの本によりました。

 

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春秋戦国時代

 

 

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