【キングダムを更に楽しむ】六国で秦を倒せるような国はあったの?

2017年12月30日


 

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大人気春秋戦国時代漫画キングダム、漫画の上では、

強力な趙の李牧(りぼく)の前に、苦戦を余儀なくされている秦ですが、

史実では、李牧と楚の項燕(こうえん)に一度ずつ負けただけで、

瞬く間に天下統一を成し遂げています。

では、冷静に考えて、秦以外の六国で秦を倒せる国などあったのでしょうか?

話のタネにちょっと検証してみましょう。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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長平の戦いでボロボロになり回復してない趙

 

六国の国力を考えてみると領土だけ見れば、それなりにやれそうでも、

実質は、ボロボロという国が相当に多い事が分かります。

 

例えば、趙は紀元前260年には、長平の戦いで40万もの兵力を、

秦の白起(はくき)に撃破され、穴埋めされて失う大敗北を喫し、

さらに都の邯鄲を両三年包囲され、春申君と信陵君の援軍で

ようやく滅亡を免れた状態。

 

李牧は紛れもない名将でしたが、彼は守りの名人であり、

史実では、秦の存続を脅かした事はありません。

 



思わせぶりなだけ・・国の維持で精一杯の斉

 

キングダムでは隠然たる勢力を持つように見える斉は、暴君の湣(びん)王が

燕の楽毅(がくき)の率いる五カ国合従軍の侵略を受けて敗北、

70以上あった都市を次々と落され、僅かに即墨と莒だけが残るまでに

追いつめられ滅亡の淵に立ちます。

ここで、斉には英雄、田単(でんたん)が登場し、策略をもって楽毅を更迭させ、

ついには、火牛の計を用いて燕軍を撃破し、奪われた70余の城を

すべて取り戻すという大逆転劇を演じます。

 

しかし、一度失われた国力は回復せず、代々の斉王は、どの国とも

同盟を結ばず事態を静観し、最期は戦いもせずに秦に降伏しました。

斉王健は、漫画では、なかなか思わせぶりな曲者ですが、

真実は自国を守るので精一杯で、滅ぼされる他国に援軍も出せません。

とても秦を倒すどころではなかったのです。

 

能天気、、趙が滅んでから慌て出すド田舎 燕

 

じゃあ、斉を一度は滅亡寸前まで追い込んだ燕はどうかというと、

楽毅を起用した昭王の死後は、名君が出ませんでした。

さらに、あまりに辺境で秦と国境を接していないので

滅ぼされるかも知れないという危機意識が薄い国であり、

むしろ趙が仮想敵で、秦と組んでいた時期さえあります。

 

紀元前228年、盾になっていた趙が滅んでから慌て出す始末で

兵を繰り出す力もなく、暗殺者荊軻(けいか)を送りこむも失敗し、

逆に秦に攻められる口実を与えてしまう体たらくです。

この能天気さこそが、燕を滅亡させた原因だと言えるでしょう。

 

半分は滅んだようなモノ 秦の属国 韓

 

韓の不幸は、三晋(趙・・韓)の中では最も弱小な上に、

西で秦と国境をガッチリと接している事でした。

なので早くから、秦の侵略に晒され続けますが、

弱国なので、面と向かって軍を出す力もなく技術者の鄭国(ていこく)を送りこんで

大灌漑事業を起こさせて国力を削ごうとしますが、陰謀が発覚!

結局、鄭国は助命され、工事を続けて、秦の農業力を強化した上に、

韓はシッカリ秦に恨まれ、紀元前230年には、六国に先駆けて滅びます。

ちなみに滅ぼしたのは、ファルファルおじさんの騰です。

 

商鞅に負けてからはイイトコ無し 魏

 

魏は、三晋の中では、最初に名君の文侯が出現し、呉起(ごき)や樂羊(がくよう)

李克(りこく)や西門豹(さいもんひょう)のような名臣の活躍で、

戦国時代最初の覇者になります。

しかし、文侯の次の武侯の後継者の時代からは、狭い国土を広げるのが難しくなり、

他国との戦争が多くなったので国力は苦しくなり、紀元前370年に、

馬陵の戦いで、斉の孫臏(そんびん)に敗れてから覇者の地位を失い

さらに30年後の紀元前340年には、商君の変法で強国になった

秦に敗れて、黄河より西の土地を失い、また秦に近い事を恐れて、

都の安邑(あんゆう)を東の大梁(たいりょう)に移してしまいます。

 

ここからも秦の圧迫を受けて、勢力は縮小する一方でしたが、

最期辺りに信陵(しんりょう)君が出現して、五カ国を纏めて

秦の蒙驁(もうごう)を撃破。

函谷関まで追いまくり秦に脅威を与えますが、これが最期の輝き

信陵君が秦の計略で失脚させられると滅亡へ突き進みました。

 

図体はデカイいがポンコツ化した楚

 

楚は、南方に広がる大国で、春秋時代には、度々中原に進出した強国でした。

ただ、戦国時代に入ると、他の六国が能力主義の人材登用を行い、

また郡県制を敷いて、貴族の権力を削いで王の権力を強化している時も

春秋時代さながらで、王族と貴族が各地に割拠して王の権力が弱小で、

ひたすら勢力争いを繰り返していました。

 

その後、魏を出奔してきた呉起が楚に入って、中央集権制を

楚に持ち込んだ事で、少しですが国力が回復しました。

 

中原には存在感がない楚も、長江以南では勢力を伸ばし越を併合し

領土を拡大、それは、一国で六国に匹敵する大きさでした。

もっとも、ただ領地が大きいだけで、人口が希薄であり、

それが、そのまま国力に反映するわけではありません。

 

その後も楚は、イニシアチブがなく強大化する斉と秦に挟まれ

国内が親秦派と親斉派に分離、安愚な懐王は、秦の張儀(ちょうぎ)に騙され

囚われて幽閉されたまま死ぬなど屈辱を舐めます。

 

さらに、秦の名将白起によって、都の郢を陥落させられた上に、

王族の墓を暴かれて、焼き捨てられる屈辱を受けます。

最期辺りでは、五カ国連合軍を率いた春申(しゅんしん)君や、

秦の侵略軍二十万を撃破した項燕(こうえん)が出てきますが

時すでに遅しで秦に滅ぼされます。

 

強いて可能性で考えれば、楚のポテンシャル

 

以上、六国を考えてみましたが、この中で、

秦に勝てる可能性があるのは、楚ではないかと考えられます。

それは、国内に未開の土地が多く存在し、そこを耕す事で、

さらに国力を高める事が可能だからです。

 

また、楚は、中央集権が不完全なので、豪族の連合政権であり、

個々の兵士はソルジャーではなくウォリアーです。

そこで、強力なリーダーシップを持つ将軍が統制できれば、

組織化された秦に勝るとも劣らない力が出せるでしょう。

 

やり方としては、秦と敵対せず中立を装い、秦の支配から逃れた

六国の民衆を広大な国内に収容して土地を開墾させていき

同時に秦への恨みを持つ五国の旧兵士を編成して特別部隊を編成、

斉を攻め滅ぼした辺りで、疲れ果てた秦に対して突如攻勢を仕掛け

滅ぼされた五国の王族を指揮官として祀り上げて士気を煽り、

函谷関を抜いて咸陽を焦土と化すのです。

 

できれば、紀元前210年辺りまで、一戦も交えずに秦の統一を

引き延ばせれば、項羽(こうう)が成人するので強力な軍隊になります。

 

キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言

 

以上、六国で強いて、秦に対抗できそうな国を考えてみました。

楚は秦に大敗せず、国土をあまり蹂躙されず、領土が広大で国力が伸ばせるので

他の五国と比べれば、秦と戦うタイミングさえずらせれば国力を強化して

秦を倒す可能性も出てくると思います。

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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