ログイン | 無料ユーザー登録


朝の仕度ならながら三国志
Youtube


はじめての三国志

menu

列子

【列子】愚公山を移す 中国語の教科書にも載っているいわくつきの説話

毛沢東(もうたくとう)


はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

袁紹

 

愚公山(ぐこうやま)を移す」ということわざがあります。

どんなに困難なことでもコツコツと努力していけばいずれは成就させることができるという意味です。

この言葉の出典は道教(どうきょう)の思想書『列子(れっし)』です。

おじいさんが邪魔っけな山を一生懸命どかせようとするといういい話っぽい感じなのですが、最後のまとめの部分がなんとなくがっかりな感じになってしまっております。

また、どうも政治的(?)にもいわくつき(?)のことわざであるようで……。

 

関連記事:【キングダムを更に楽しむ】六国で秦を倒せるような国はあったの?

関連記事:【キングダムで話題】戦国七雄の神武将7人を紹介

 

 

とほうもない計画を持ち出す愚公

 

まずは『列子』に載っている愚公移山のあらすじをみてみましょう。

 

太行(たいこう)山と王屋(おうおく)山という二つの大きな山があった。

愚公という九十近い老人が、山の目の前に住んでいた。

出入りが山に阻まれており、いつも遠回りしなければならなかった。

そこで家族を集めてこう言った。

「みんなで協力して山をくずし、道を作ろうじゃないか」

みんな賛成したが、愚公の妻だけがこう言った。

「あんたの力じゃ ちっぽけな山でも崩せやしないわよ。

太行、王屋みたいな山をどうするつもりさ。

それに、山を削った土や石をどこへやるつもりだい」

 

中国古典に時々でてくる「無理解な女」みたいな登場人物、大好き。

リアリストで辛辣な女性キャラが好きなんですよ。

閑話休題、続きを読みましょう。

 


 

コツコツと作業を進め、人からバカにされる

祁山、街亭

 

おばあさんが指摘した残土処分の問題は、遠くの人跡まれな土地に捨てればよいということになりました。

さて、一族はえっちらおっちらと作業を開始しました。

 

愚公は息子や孫たちと作業を始めたが、荷を運ぶことができるのはたった三人。

それでも石を叩き土を崩し、遠くまで残土を捨てに行くという作業をくりかえした。

隣人の寡婦に前歯が生え替わるくらいのチビっ子がいたが、その子も一生懸命手伝った。

智叟(ちそう)という人は彼らのことを笑って、こう言った。

「ひでえもんだな。バカすぎる。老いぼれの残りかすパワーでは山に生えている草一本も抜けねえだろう。土や石に歯が立つわけがねえ」

愚公はため息をついて言った。

「あんたの石頭こそ始末におえないよ。寡婦やチビっ子にも及ばない奴だ。

私が死んでも子が残り、子は孫を産み、孫もまた子をもうける。

その子にも子ができ、子はまた孫を産む。子々孫々続いていくんだよ。

一方、山は大きくなっていくものではない。平らにできないことがあろうか」

智叟は反論できなかった。

 

智叟と愚公。かしこい人とおろかな人というネーミングですね。

で、愚かだけれどもコツコツやる人に、かしこい人が一本とられたという絵です。

山が噴火や隆起で大きくなることはありえない話ではありませんが、この説話の中ではその可能性は排除するということで。

なんか、いい話っぽいですよね。

ところが、この話には私がちょっとがっかりしてしまったオチがついております。


 

けっきょくは神頼み! ズコーッ!

 

小さな力でもコツコツやっていけば、いずれはすごいことが達成できるんだよ、っていう話なら、ちょっと勇気が沸くいい話ですよね。

ところが、この話のオチは、小さな力で達成したというのとは違うことになってしまっています。

 

山の神は愚山たちが本当にいずれ山をどかしてしまうのではないかと心配し、上帝(天帝)に訴えた。

すると上帝は愚公たちのひたむきさに感動し、夸蛾(こが)氏の二人の息子たちに命じて二つの山を背負って行かせ、一つを朔東(さくとう)に、一つを雍南(ようなん)に置いた。

 

人力で成し遂げたんじゃないんかーい! ズコーッ!

人間の努力が天を感動させて結果オーライって、文字の勉強を始めたばかりのチビっ子向けの教材にありがちな安易な儒教説話のパターンですよ。

なんでこんなもんが道教の思想書に載っているんだか。

『列子』は長い年月にわたっていろんな人の手が加えられたらしく、内容に統一性がない本です。


 

あの人の演説に引用されている

毛沢東(もうたくとう)

 

さて、この「愚公移山」の説話。

実は、毛沢東語録(もうたくとうごろく)で使われています。

毛沢東(もうたくとう)は愚公移山の話を紹介したあと、このように言っています。

「現在においても中国人民の頭上を圧する二つの大きな山がある。

一つは帝国主義、もう一つは封建主義である。

中国共産党はもはや決意している、この二つの山を撤去することを。

我々は堅持し続けなければならない、我々は不断の労働をしなければならない、上帝を感動させることができるように。

この上帝とは他でもない、全中国の人民大衆である。

全国の人民大衆が一斉に立ち上がり、我々と一緒にこの二つの山を削っていくならば、撤去できないものなどあろうか」

中国共産党の色が付いていることわざとなると、ノンポリの私にはとっつきづらいことわざです。

 

関連記事:毛沢東(もうたくとう)とはどんな人?中国の赤い星の生涯


  

 

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンさん

 

以前、日本の政治家の方が「愚公山を移す」ということわざを使っているのを聞いたことがありますが、その方は上のような経緯をご存知だったのでしょうかね……。

知らないまんま、コツコツがんばろうみたいないい話として使っただけかもしれません。

私が中国留学中に学校で配られた閲読の教科書には愚公移山の話が載っていました。

外国人向けの語学の教科書にも少しずつ党の色を入れてあるんでしょうかね。

ずっとノンポリのままでいたかったら幅広い知識が必要なのかもしれないなぁと思いました。

 

関連記事:キングダムでついに韓非子の名が!韓非子ってなに?

関連記事:これであなたも知ったかぶり!春秋時代をザックリ紹介!

 

—熱き『キングダム』の原点がココに—

春秋戦国時代

 

 

よかミカン

よかミカン

投稿者の記事一覧

三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。

個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。

三国志小説『ショッケンひにほゆ』

【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】

何か一言:
皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。

妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。

読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

関連記事

  1. 袁術 「杞憂」の出典は『列子』意外に長くてちょっぴり哲学
  2. 幕末 魏呉蜀 書物 『列子』はどんな本?永嘉の乱を生き残った奇書
  3. 朝三暮四の出典は「荘子」と「列子」でも意味は微妙に違う
  4. 生姜を買ってくる左慈と曹操 『列子』でわかる!三国志の左慈が物理法則を超えられる理由
  5. 劉備を警戒する王粲 「男尊女卑」と「疑心暗鬼」の出典は『列子』?
  6. 石亭の戦いで曹休が反応してドキッとする周魴(しゅうほう) 【列子】どうしてオバチャンはいつも幸せそうなのか?恥も自意識もな…
  7. 程普 【列子】信念があればなんでもできる?火に飛び込んでも無傷な人の話…
  8. 道具を輸送する民人 【列子】道教の「道」とは?道に身をゆだねれば安らぐかもしれない話…

google検索フォーム

過去記事を検索できます


“ながら三国志音声コンテンツ開始" “読者の声" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム" “はじめての三国志コメント機能"
“はじめての三国志読者の声"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 姜維
  2. 烏桓族
  3. 魏延からの提案を却下する孔明
  4. 徳川慶喜(幕末)
  5. キングダム 始皇帝
  6. 孫権の髭
  7. 晋の陳寿
  8. 伊藤博文
“夜のひとときながら三国志ver3"

おすすめ記事

司馬徽 司馬徽(しばき)はどんな人?なんでも善きかな、生涯誰にも仕えなかった偉人 三国夢幻演義バナー 龍の少年 三国夢幻演義 龍の少年 第9話「江南動乱」配信日が決定しました 王烈(おうれつ)を知っていたら三国志マニア?名声をもっていながら民衆として生きた名士 黄忠の様子を見に行く趙雲 黄忠や厳顔のような老兵は実際に戦争では最前線に立っていたの? 徳川家を守った篤姫 幾島vs本寿院勝敗を決めたのは徳川斉昭のスケベだった 孔子と儒教 諸子百家って何?春秋戦国時代に花開いた思想の数々をご紹介 京劇コスチューム趙雲 【あわれ趙雲】桃園義兄弟に入れないやむを得ない事情とは? kawauso 祝二周年記念!はじ三運営陣に色々聴いてみよう!

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “はじめての三国志企画特集" “つながるはじめての三国志" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
“歯痛の歴史"
“三国志読み放題サービス"
まだ漢王朝で消耗してるの?
君主論
ビジネス三国志
ながら三国志音声コンテンツ
春秋戦国時代
架空戦記
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム はじめての三国志コメント機能
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

“つながるはじめての三国志

“はじめての三国志Youtubeチャンネル"

“ながら三国志音声コンテンツver2"
PAGE TOP