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諸葛亮にまつわる様々な伝説…ちょっと待って!司馬懿は逃げてないよ!

2019年7月10日


 

孔明と司馬懿

 

「死せる孔明生ける仲達を走らす」、という言葉は皆さんご存知でしょうか。死んでなお戦局に影響を与える孔明(こうめい)と、まだ生きている人間であるにも関わらずその死者の孔明によって退却に追い込まれる司馬懿の姿は、三国志演義(さんごくしえんぎ)を代表する孔明スゲーエピソードの一つです。

 

孔明

 

しかしここで声を大にして言いましょう、司馬懿(しばい)は逃げていません!今回はこの故事からちょっと臆病なイメージがついてしまっている司馬懿のフォローをしてみたいと思います。

 

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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「死せる孔明生ける仲達を走らす」

周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志

 

 

「死せる孔明生ける仲達を走らす」について、まずは三国志演義から述べていきましょう。

 

夜の五丈原で悲しそうにしている孔明

 

 

五丈原の戦い(ごじょうげんのたたかい)の最中、諸葛亮は自分の死期がついに来たことを悟ります。しかしまだまだ死ねないと思った諸葛亮は、延命の術というとんでもない儀式を行い始めます。ですが儀式も終了間近に魏延が乱入してきたことによって儀式は失敗、諸葛亮は亡くなりました。

 

 

魏延と孔明

 

 

ちょっとここで「諸葛亮って何者?」「魏延悪人に書かれ過ぎじゃない?」という別の疑問点もたくさん浮かびますが、本日のメインはこれから走らされる司馬懿です。司馬懿は大きな星が落ちたことから諸葛亮の死を悟って蜀軍に攻め込みますが、諸葛亮はこんなこともあろうかと自分そっくりの木像を用意していたのでした。

 

 

司馬懿

 

 

諸葛亮は死んでいたと思っていた司馬懿は驚いて退散したといいます。このことを人々は「死せる孔明生ける仲達を走らす」と言ったのでした。これが演義の「死せる孔明生ける仲達を走らす」になります。

 

 

 

しかし晋書ではなんと……!

孔明と司馬懿

 

 

ここで晋書の宣帝紀の記述を見ていきましょう。こちらでは諸葛亮と司馬懿は五丈原で対峙します。100日も日が過ぎた頃、諸葛亮は死去。これによって蜀軍は退却をします。

 

司馬懿

 

 

ここで司馬懿は深追いはしないようにしよう、と考えます。しかし数日後に司馬懿は蜀軍の陣後を調査、そこから大量の文章、兵糧を発見します。ここで諸葛亮の死を確信、他の武将に疑われますが「大事な機密文章や兵糧を捨てていったのだ。諸葛亮が生きているはずがない。すぐに追撃をするぞ」と言ったとされます。

 

司馬懿

 

 

そう、実は司馬懿は調査の後にはすぐさま追撃をかけようとするのです。これは演義では描かれることがなかったポイントですね。またこのシーンから司馬懿は慎重ながらも行動する時は行動するという人物であることが読み取れます。

 

 

実はここで出てくる、「死せる孔明生ける仲達を走らす」

流星を見た司馬懿

 

 

司馬懿を追撃を続け、後に諸葛亮が死んでいることの詳細を知ることになります。当時の人々は「死せる孔明生ける仲達を走らす」と口々に言いました。しかし司馬懿はこれを聞くと大笑い。

 

「私は生きている人間であれば策にかけられる。しかし相手が死んでいるのではどうしようもない」と言ったと言います。

 

この件の記述はここまでなので、どの辺りが「死せる孔明生ける仲達を走らす」なのかは残念ながら分かりません。ですが司馬懿が慎重ながら動く時はきっぱりと動くこと、そして笑って返す豪胆さなどが伝わってきますよね。

 

 

孔明と司馬懿

 

 

司馬懿は決して、演義で書かれているように死んでしまった諸葛亮に怯えて翻弄されるようなだけでは人物ではないのです。行動力、決断力、そして慎重さも併せ持った稀に見る天才と言っても良いでしょう。

 

司馬懿

 

 

「司馬懿は優秀かもしれないけど五丈原で諸葛亮に~」と思っている人はぜひ、ここで司馬懿の評価をちょっと改めてあげて下さい。

実は結構な豪胆者なんですよ!

 

 

ちょっと細かいポイント解説

水滸伝って何? 書類や本

 

 

さてではここでちょっと知ってても知らなくても良いけれど、知ってるとちょっとお得かもしれない細かいポイントを一つ。

 

孔明

 

現代では「死せる孔明生ける仲達を走らす」として有名になってしまっている故事ですが、実際には『死諸葛走生仲達(死せる諸葛、生ける仲達を走らす)』だと言われています。

 

この二つを口に出して読んでみると分かりますが、諸葛と仲達で韻を踏んでいるので何となくこちらの方が流れ良く、言いやすいのです。さあこの故事を読んでみて下さい。

 

「死せる孔明、生ける仲達を走らす」

「死せる諸葛、生ける仲達を走らす」

 

どうでしょう?響き的にどちらが良いと思いましたか?

 

 

三国志ライター センの独り言

三国志ライター セン

 

 

実は豪胆な一面もあった司馬懿、それがあの故事と一緒に書かれてるのは意外ですよね。

 

しかしそれも三国志の楽しみ、そしてより深く知るチャンスです。三国志からの故事もいくつかあるので、そちらからも三国志を読み解いていくと面白いですよ。

 

参考記事:晉書/卷001

 

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両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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