大人気春秋戦国時代漫画キングダム、待望の614話は9月19日までお預けです。
そこで、今回もキングダムの雑学を紹介します。
今回は強大な軍事力を持つ秦で、どうしてクーデターが成功しなかったのか、その意外な事実について考えてみます。
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この記事の目次
キングダム614話ネタバレ予想vol5「軍事力の中央集権化」
秦は25代の孝公の時代に、魏から亡命してきた商鞅を招いて、法家思想に基づく中央集権的な政治改革を強力に推し進めました。
商鞅の推し進めた政策とは、それまで王族や各地のローカル権力に分散して1つにまとまっていなかった国力を王に一本化する事です。
具体的になにをやったのかと言うと、
①什伍の制:それまで血縁や地域でまとまっていた秦の人民を分解しそれぞれ、別々の人民同士と組ませた。
これにより、それまでの氏族と血縁で結びついた人民を引き離し、新しく赴任させた県令、県丞の支配下に服させる。
②県制の施行:それまで、ローカル実力者に任せていた地方統治を王が直接派遣した官僚に担わせる。
③信賞必罰の徹底:身分に関わらず法を遵守した者を褒賞し、法を破った者には相応の刑罰を加える。
※什伍は相互に監視する役割と戦争時には伍を組んで戦う義務を負う
商鞅の政治は王以外の王族や、地方の既得権益者の利益を侵害するものであり激烈な反発が起きますが、
孝公はどこまでも商鞅に味方して改革を断行させますが、孝公の死後、後ろ盾を失った商鞅は無実の罪を着せられて誅殺されました。
ですが、孝公の後継者達は実績を挙げた商鞅の法を廃止しなかったので、秦の中央集権化は進み、国力は王に一本化され秦は強国になります。
キングダム614話ネタバレ予想vol5「厳格な軍を動かすルール」
秦では15歳以上の男子に兵役の義務を課し、普段から軍事訓練を施していたのでその常備兵力は100万人に到達したと言われています。
しかし、これだけの軍勢がいれば有力な将軍によって兵力を奪われ、咸陽が危機的な状態になるという事は無かったのでしょうか?
実は秦では、それも厳格な軍を動かすルールにより規制されていました。
①割符を用意し一つは王が常時管理する事で兵権の濫用を防ぐ
②五十人規模で兵の移動を監視し、大軍の集結を阻止する
秦では将軍は、兵を統括するだけで行軍の権利を与えられていません。
軍を動かすには、虎符という虎を象った銅製の割符が必要でした。
虎符とは、一つの虎の像を半分から割ったものであり、一つは将軍が持ち、もう一つは常に王が持っています。
そして、将軍が軍を動かす時には咸陽に伝令を飛ばして、咸陽からの使者に虎符を持って来てもらう必要があるのです。
使者の虎符と将軍の虎符がピッタリ一致し、将軍の行動に不審がない事を確認してから使者は咸陽に帰り
ようやく行軍が許可されるという面倒なセキュリティでした。
しかも、虎符が必要な行軍の規模は50名からであり、将軍は巧妙に王を騙して軍隊を動かすというのが難しくなっていたのです。
キングダム614話ネタバレ予想vol5「嫪毐も虎符セキュリティに敗れた」
キングダムで太后と結託して毐国を建国し、秦王政に反旗を翻した巨根の偽宦官、嫪毐。
彼には、千人の食客と数千人の召使いがいたそうですが、兵を興す虎符がないので、太后の印璽を使い挙兵したと史記にはあります。
しかし、それで集まるのは正規兵ではないので士気は低いモノでした。
やがて、秦王政が派遣した昌平君と昌文君の兵士が到着し毐国軍は勝てずに敗走、嫪毐は追撃されて好畤という土地で斬り殺されました。
すでに虎符により、軍事が王に握られているので、絶大な権勢を振るった嫪毐でも、秦の精兵を利用できず成す術もなく敗れてしまったのです。
キングダム614話ネタバレ予想vol5「統一後は厳格なルールが仇に」
ところが厳格な軍隊の管理は、秦が六国を滅ぼすまでは機能しましたが始皇帝の死後に、各地で反乱が起きると仇になりました。
秦は、全国を三十六郡に分けて各地に郡守と県令を置き、それぞれに兵を置いていましたが軍隊の管理はそのままだったのです。
中国各地で暴動が起きても、県令や郡守は自分の判断で兵を動かせず虎符を求めて咸陽に使者を送るわけですが、
使者が返ってくる頃には血祭りに挙げられている事がほとんどでした。
これでは軍を動かす許可を待つより、自分が反乱軍に加わる方が早いと、住民に嫌われていない郡守や県令は秦に反旗を翻す事になります。
秦がクーデターを防ぐために厳格にした行軍のルールは、始皇帝の死後に各地で頻発した暴動には逆効果だったわけです。
キングダム614話ネタバレ予想vol5「会稽郡守殷通の不思議」
史記項羽本紀によれば、項梁と項羽が兵を挙げた会稽郡では、郡太守の殷通が秦を見限り、土地の顔役だった項梁を呼び寄せ
桓楚という男を将軍に立て自ら反秦連合軍に加わろうとし、項羽に斬られて絶命しています。
この後、項羽は100名あまりの秦兵を殺して強さを見せつけた後に降伏した会稽郡の秦兵を吸収して、江南から兵力を募集し
精兵八千を得て秦打倒の義兵を興す事になるのです。
この史記のやり取りを見る限り、殷通には兵力があったのに動かしている様子がありません。
陳勝と呉広の軍勢が多すぎて、会稽郡の守備兵では対抗できないと考えた可能性もありますが自軍の兵力ではなく、
会稽の顔役の項梁を頼った辺りに割符のルールがあった事を垣間見る事が出来ると思います。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
秦は、中央集権を実現させ、成り上がり将軍の野心を防ぐために、厳格な行軍のルールを決めて、
虎符によって七面倒な確認を取る事で、将軍が軍勢を勝手に動かす事を阻止しました。
ところが、七面倒くさいルールは、始皇帝の死後に頻発した暴動には逆効果になり、虎符が届く前に自分が暴徒に殺される事を恐れた
郡守や県令が続々と寝返る切っ掛けになってしまうのです。
参考文献:始皇帝中華統一の思想 キングダムで解く中国大陸の謎
史記:項羽本紀
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