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キングダム615話ネタバレ予想vol3「領民に金を貸していた孟嘗君」
趙と同じく、中央集権が不徹底だった国には斉があります。
キングダムでも史実でも、戦国時代末期には天下取りから脱落して日和見を決め込み、最後には無血開城をしてしまう斉ですが、
ここでは、王の兄弟が王族として領地を得て直接に統治していました。
特に有名なのは、戦国四君で有名な孟嘗君でしょう。
彼の父は、靖郭君田嬰と言い、斉の威王の末子で威王と宣王の時代に宰相として仕えた手柄で薛という領地をもらいました。
彼は、この薛を守る為に高い城壁を造ろうとしますが、おりしも宣王と仲が悪い時期で、この行動は斉からの独立を計る行為だとして
強い警戒心を受けています。
また、田嬰の子であった孟嘗君田文は薛の住民に高利で金を貸していて強い恨みを買っていた事があります。
ある時、馮煖という食客が孟嘗君に薛の借金を回収する事を命じられついでに、その回収した資金で、
我が家に足りない物を買ってくるように言われると馮煖は、薛の債務者を全員集めて借金を記した券を全て焼き捨てて帳消しにしました。
孟嘗君に問い詰められると馮煖は「あなたに一番足りない義を買ってきました」と答えたと言います。
ここから見ると、斉の王族とは自分の領地を完全に自分の判断で運営し鄴の趙李伯と同じだった事が分かります。
実際、孟嘗君が斉王と喧嘩して都を追われ、食客も大半がいなくなり薛に逃げるように帰還すると、かつて借金を帳消しにされた住民が
大挙して孟嘗君を出迎えたという逸話もあります。
キングダム615話ネタバレ予想vol3「日本の戦国時代にも似た事があった」
中国ばかりではなく、古代を除いては明治維新まで封建体制だった日本でも似たような事はありました。
特に戦国時代は、それぞれの戦国大名が分国法を定めて領民を統治するようになり排他的に領民に対する支配力を強化しました。
その見返りとして、戦国大名は領民を大事にしていて、戦争の度に領民を城内に受け入れて敵の侵略から守るようにしたのです。
ただ、日本の城は中国のそれとは違い規模が小さいので小田原城のような巨大な城でない限りは、
包囲されると一気に食糧が欠乏し住環境も悪化するなど、デメリットも大きかったのです。
豊臣秀吉の鳥取城の渇え殺しなど、住民が城に逃げ込んだために起きた悲惨な状態も起きました。
鄴城にしても、食料が燃やされてしまった以上、そのまま降伏しなければ鳥取城の渇え殺しの二の舞になるでしょうね。
キングダム615話ネタバレ予想vol3「王翦の策は史実に裏打ちされている」
こうしてみると、王翦の計略は漫画的な発想ばかりではなく、当時の趙の封建制を一応踏襲したものであるとも言えます。
趙季伯は、慈悲から避難民を受け入れただけではなく、そうしなければ、自身が領民から見捨てられるので、受け入れざる得ない。
王翦はそこまで見越して九城の住民を追いやったとすれば、無数にいる住民を盾にして自己の計略に無駄なく活かすという意味で
なかなかの策士であると言えるでしょう。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
いかがだったでしょうか?
鄴城が避難民を受け入れたのは、ただ趙季伯がヒューマニストだからではなく住民が趙季伯にとって金の卵であり、
見捨てる事で徴税や徴兵に悪影響がでるその事を恐れている部分もあったのです。
王翦は、秦の中央集権制と趙の封建制の制度の違いを巧みに利用して、鄴を追い詰めて兵糧攻めに持ち込んだ策士と言えるでしょう。
もっとも、決定的な勝因は、避難民に秦兵を紛れこませておいて兵糧を焼いた事というのが微妙と言えば微妙ですが。。
参考文献:始皇帝中華統一の思惑 キングダムで解く中国大陸の謎
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