残念ながら、劉備はどこか「戦争には弱い」イメージ。
諸葛亮に出会ってからは連戦連勝が始まりますが、それ以前の時代の彼には、とにかく逃げてばかりという印象です。負けて逃げて、しかしいつも、どういうわけか生き延びている人という感じ。
袁紹も袁術も呂布も続々と倒れていく『三国志』前半の展開の中で、こんなに負けているのに命だけは奪られずに済んでいる劉備は、なんだか不思議な経歴の人です。そのためか、劉備にはラッキーマンなイメージもつきまとっています。
それを象徴するのが、彼の「福耳」。『正史』にも記述があることなのですが、劉備は「耳が非常に大きく自分の耳を見ることができるほどだった」とか!
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この記事の目次
劉備の福耳がどれだけ凄かったのかみんなで実験してみましょう!
それって、どんだけ大きいのか?
実験することが可能です。
・自分の耳たぶに、ガムテープを貼り付けてぶらさげてみてください
・そして適当な長さで切ります
・そのガムテーブに手を添えて、前方に「びろん」と持ち上げてみて、「自分の目で見える」ところにマークをつけます
・そのマークの部分でガムテープを切り、鏡の前に立ちましょう!
・そのガムテープの長さが、劉備の耳たぶに関する記述、「自分で見ることができる耳」の大きさとなります
どうでしょう?
かなり長いですよね?
率直に、ちょっと気持ち悪いくらいじゃないでしょうか?
これだけの福耳ならば的盧の不吉すら相殺できたハズ!
いったい「福耳」というものにおいて、「耳の長さと福の大きさが比例するのか」はわかりませんが、あえて仮説として、「劉備の異常な福耳は、劉備の異常な幸運の源泉になっていた」としてみましょう。
だとすると、前半生における「負けても死なない」強運についても、なんだか説明ができそうです。
負けても負けても「どういうわけだか毎回、俺って無事に済んじゃうんだよねー」と平然としている大将というのは、それはそれで部下には多大な安心を与えたのではないでしょうか?
「うちの大将についていると、戦では負けるけど、一緒に逃げ回っていると必ず生き残ることができる。そんなら、ヘタに曹操軍とかに雇われて恐怖政治の下で辛い思いをするより、ここにいたほうがいいや!」と、居心地の良さを覚えてしまう兵士もたくさんいたのではないでしょうか?
もうひとつ、思い出すことができるエピソードがあります。劉表のところに身を寄せていた際に、「不吉」とされる馬、的盧を贈られた話ですね。
周囲が「的盧というのは不吉な馬だから乗るのはやめなさい」と助言したのに、「ダイジョウブだよ!」と意に介さなかった劉備。
実際に的盧はむしろ劉備を暗殺の危機から救い出してくれるのですが、これもひょっとしたら劉備の異常な福耳の「幸運度」パワーが、的盧の「不吉度」を相殺して、むしろ余りがあったということではないでしょうか?
「他の人を乗せると不幸な目にばかり合わせてしまうオイラだけど、劉備様を載せるとどういうわけかラッキーが重なって、オイラでも名馬として活躍できちゃう!」と、劉備を載せていた的盧も大喜びだったのではないでしょうか?
まとめ:ひょっとしたら「運」こそが乱世の最高のリーダーの資質かもしれない
こうして整理してみると、劉備の異常な幸運は、バカにしたものではありません。不吉の象徴とされる馬に乗ってもなおラッキーを繰り出せるほどの幸運度は、じゅうぶんにひとつの才能と言えるのではないでしょうか?
マジメに考察してみても、近現代の「名将」と言われるような人たちは、本人の能力だけでなく、「幸運の星がついていた」としか言いようのない偶然に助けられていたりします。有名な経営者にも、そういうタイプの人がいますよね。
「細かく見ると実は失敗続きの経歴なのに、なぜか最後にはすべてがうまく行ってしまうリーダー」という人が。
古代の戦乱の時代には、なおさら、「あの殿様はとにかくツイている人らしい」というウワサは民衆や一般兵卒には尊ばれたことでしょう。
「武勇に優れている」とか「策略に長けている」とかいう評判よりも、「どういうわけだかいつもツイている」という評判のほうが、戦乱に疲れた人々にとっては好ましいリーダー資質とみられていたことでしょう。
三国志ライター YASHIROの独り言
そうだとすると、一般の劉備の武器であったとされる「人徳」すらも、実は劉備の幸運度に支えられてこそのことだったかもしれません。
「あの人は人柄がいいから」というよりも、「あの人は人柄がいい上に、そもそも異常に運がいいから」と評判の君主のほうが、部下や兵士たちは寄ってきますしね。
劉備の「異常な福耳」こそが、彼を蜀の皇帝にまで押し上げてくれた功労者だったのでは、などとすら思ってしまいます。
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