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この記事の目次
観客全員野宿!過酷なオリュンピア!
4年に1度のオリンピックは無料で見られましたが、代わりに、エリスの人々は、競技場と神殿の整備はしても、7万人の観客を動員する施設の整備を一切しませんでした。ホテルも足りず上水も下水もないのです。
考えてみると当たり前でした、ここには4年に1度しか人が来ないのですから・・
オリュンピアの唯一の宿泊施設、レオニダインは中庭に噴水を持つ豪華なホテルでしたが、使節と関係者のみしか使用できず、それ以外の観客は老いも若きも貴族も庶民も、花見の場所を取るように、寝床を確保してキャンプを開きました。
上水道も下水道もなくトイレは夏場に枯れる川で垂れ流し、会場の衛生環境はたちまち悪化し、悪臭と蠅が飛び回ります。競技場と神殿の間では、炊事の煙が無数に上がり、商魂たくましい商人がブドウ酒や食事を高値で売りつけ、芸術家は、屋外に作品を並べて観客に売り込み、売春婦は、一年の稼ぎをここで売り上げたそうです。
人々はオリンピックが始まる一カ月も前からオリュンピアに陣取り、酒を飲み、芸術を論議し、喧嘩し、熱射病で倒れたり、感染症で死んだりしました。カオスという言葉は古代ギリシャから生まれますが、オリュンピアこそカオスで、そしてウッドストックでした。そして、こんな目に遭おうとスポーツの熱狂を見たいバカ観客は、一人も帰らないのですww
kawausoの独り言
いかがでしたか?古代オリンピックの壮絶な面白さとでたらめ加減が伝わったでしょうか?因みに当時の陸上競技場はスタディオンと言いましたが、これは立って見ると言う意味で、当時はベンチも椅子もスタディオンにはありませんでした。
観客は競技が終わるまで、座る事を許されず、時には日没まで立ち続けました。熱射病で人がバタバタ倒れても、競技は止まらず継続され、それが我慢できない者はオリンピックを見る資格がないと考えられたのです。
次回の古代オリンピック2回目は、いよいよ古代オリンピックの選手たちと、特に人気のあった競技について解説します。お楽しみに
参考文献:古代オリンピック全裸の祭典 河出文庫