キングダム646話ネタバレ考察「李牧は幽繆王を受け入れるのか?」

2020年7月1日


 

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紂王

 

キングダム645話では、悼襄(とうじょうおう)の末っ子公子遷(こうしせん)が遺言による後継者として登場していました。しかし乗っけから全裸にした男女を家畜のように率いて、その背中に座るというサイバーBLUEの元老ガザのような登場シーンから、すでに狂気と退廃の臭い以外はしません。李牧(りぼく)公子嘉(こうしか)は、こんなバカ王を受け入れるのでしょうか?

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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キングダムネタバレ考察「李牧は全て受け入れる」

ガマンする李牧

 

誰がどう見ても、ろくな政治をしそうにない公子遷ですが、kawausoの予想では、それでも李牧も公子嘉も受け入れるしかないと思います。大きな理由は、それが悼襄王の遺言だからで遺言に叛く事はそのまま反逆になってしまうからです。

 

李牧は、王個人に仕えているのではなく、趙という国に仕えているのであって、王がバカだからとか気に入らないからという理由でそれを排除しようとする事はありません。李牧は忠臣であり、部下が悼襄王をクソだのバカだの言う事は止めなくても、自身はそんな事を口にした事はありませんでした。

 

そして、これは公子嘉も同じであり、耳を食いちぎるような父王でも王である限り、逆らったり倒したりしようとは考えていません。だからこそ、悼襄王が死んだ後に、瞬く間に混乱を収拾する才能がありながら、長い期間父王の暴政に黙って耐えていたのです。

 



キングダムネタバレ考察「徳化という儒教思想」

内容に納得がいかないkawauso様

 

李牧も公子嘉も、ひとまずは幽繆王の即位を受け入れて、そこから人間としてあまりにアレな幽繆王の性格を諫言する事で直していこうと考えるでしょう。つまり、公子遷はまだ歳若く、賢臣が教え導く事で軌道修正(きどうしゅうせい)できる筈だし、それが出来てこそ賢臣と呼べるのではないかという事です。

 

大の大人の男女を全裸にして家畜のように四つん這いで歩かせ、その背中にのって悦に浸るような遷には、もう全て手遅れのように感じるんですが、これも中国古来の徳化という儒教思想に関係しているのです。

 

キングダムネタバレ考察

 

キングダムネタバレ考察「理想的な天子舜の人生」

 

実は、徳化という事については古代からテンプレ化した理想の帝王が存在します。それが五帝の1人である堯帝から帝位を禅譲された舜という人物でした。

 

舜は神話上の人物で、早くに母を亡くし継母とその連れ子と実父と暮らしていました。しかし、この実父というのが悪どい男で、財産を連れ子に相続する為に舜を邪険にし、隙あらば瞬を殺そうと常々狙っていたのです。

 

普通なら、こんな頭オカシイ父と同居しようとはしない筈で、どこかに逃げてしまっても非難はされないでしょう。ところが、舜は寛大にも自分を殺そうとする父に対しても親孝行を尽くしました。もちろん、継母にも連れ子に対しても実の母、実の兄弟のように接したので、世間は天晴な孝行息子として舜を讃えます。

 

この評判が当時の帝である堯にも届き、堯は舜の人格を見極めようと、娥皇(がこう)女英(じょえい)という娘を舜に(めとら)らせました。すると、二人の娘も舜に徳化されて非常に篤実な性格になり、また舜の周りには自然と人が集まり3年で都会になるほどでした。

賈詡

 

にもかかわらず、舜の父と継母と連れ子は相変わらず舜を殺そうとします。ある時は、舜に屋根の修理をさせて下で火を焚いて焼き殺そうとしますが、舜は二つの傘を使いメリーポピンズのように逃れました。

 

また、ある時には井戸掘りをさせられている時に、上から土を被せられ生き埋めにされそうになりますが、横穴を掘って逃げています。明らかに、己に殺意を見せる身内ですが、それでも舜は少しも疎まず、親孝行や兄弟孝行を尽くしたそうです。

 

明らかに度が過ぎている寛容さですが、結局、堯帝は瞬に帝王の位を譲りました。それは、舜に悪党を改心させる徳の力があると考えたからです。

 

キングダムネタバレ考察「幽繆王が改心しないのは家臣のせい」

孔子と儒教

 

徳の力というのは儒教の教えの柱であり、最初に自分の人格を磨いて立派な人間になる事が出来れば、その良い影響を周囲に及ぼしていけると説いています。古めかしい言葉で言うと修身(しゅうしん)と言い、戦後には道徳という言葉で知られました。

 

この方向で行くと、幽繆王をバカだからという理由で強引に隠居させるのは論外で、周囲の群臣が立派な行いをする事で、幽繆王に良い影響を及ぼして名君にしていくのが儒教のスタンダードという事になります。

 

幕末 魏呉蜀 書物

 

逆に言うと、いつまでも幽繆王の素行が改まらないのは、それを教え導く群臣が無能だからという事にもなるのです。王であっても法には従わないといけない秦とは根本的な部分が違うんですね。

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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