これは酷い!曹操の花嫁募集が強引すぎる


はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

 

進軍する兵士a(モブ用)

 

三国志の時代、魏では戸籍が民戸(みんこ)兵戸(へいこ)に別れていました。この中で兵戸は戦争に従軍する義務をもっていて、それは子々孫々、永代(えいだい)続くとされていたのです。

 

王族ボンビーから一転セレブ02 董太后(女性)

 

また、兵戸に生まれた女性は、兵戸以外の男性と結婚できなかったので、多くの女性は兵戸の男性と結婚するのを嫌がりました。しかし、それでは魏は兵力を維持できないので、曹操(そうそう)は強引な花嫁募集を開始します。

 

今回は、そんな怖くも悲しい曹操の花嫁募集の話です。


魏の兵戸は気が荒い連中ばかり

黒山賊

 

曹操の軍勢の中核を為したのは、いわずと知れた青州兵(せいしゅうへい)で元々は黄巾賊だった連中です。また、後に張燕(ちょうえん)の黒山賊も投降して曹操軍に組み込まれました。つまり、言い方は悪いですが、元犯罪者とカルトの信者が魏軍の中核だったのです。

于禁、曹操、青州兵

 

曹操は、自分に逆らわない限り黄巾賊の信仰の自由を認めていて、もちろん青州兵は独特で異様なカルチャーを持つ異分子で、戦場で味方からも略奪を働き、于禁と衝突したりしています。

 

張角は歴史の表舞台に登場

 

普通に考えて、太平道の信者ではない女性が兵戸に嫁に来るのはあまり考えられません。

 

呉と蜀を倒しに南下する曹操軍

 

しかし、曹操は生産力を維持する為に、他の戸籍から兵力を抜こうとはしませんでした。必然的に兵戸は嫁不足になり兵力は伸び悩む事になります。そこで、曹操は悪魔的な閃きをします。

 

「そうじゃ!亭主に死に別れた未亡人を全国でリストアップして兵戸と結婚させよう。そうすれば経済的に困窮する未亡人を助ける事にもなるし、次世代の兵士も生まれて一石二鳥」

 

曹操

 

このように、未亡人の意志を一切無視した形で、曹操は全国に未亡人をリストアップするように命じるのです。


未亡人だけをリストアップする筈が・・

兵糧を運ぶ兵士

 

さて、曹操の命令を受けて、全国の県と郡で未亡人の調査が開始されます。いくら独り身が寂しくても、未亡人にだって相手を選ぶ権利はありますから、兵戸の犯罪者や黄巾賊の男性と結婚させられるなんて嫌に決まっています。

 

未亡人たちは、泣き叫び、暴れて抵抗しますが、相手は絶対権力者の曹操ですから全ての抵抗は空しいもので、次々と捕らえられて中央へと連れ去られていきました。

計画通りになった周魴(しゅうほう)

 

しかも、ヒドイ事に実際にリストアップされたのは未亡人だけではありません。全国の太守、県令の中には曹操の点数を稼ごうと実際には亭主がいる既婚女性までリストアップして、強引に連れ去った悪いヤツらもいたのです。

 

【古代中国の暮らしぶりがよくわかる】

古代中国の暮らし図鑑


曹丕を顔面蒼白にした杜畿の告発

 

その事が分る史料が正史三国志十六杜畿伝(ときでん)に引く魏略に出てきます。

 

杜畿は河東郡に居た頃、命令書を受けて寡婦(かふ)を記載し都へ送った。この時、他の郡では嫁に入った娘でも命令書をたてに全部記録して奪い取ったので、道路は泣き声に満ちた。杜畿はただ寡婦だけを取ったので送ったものは少なかった。

 

やがて、杜畿が中央に召され趙儼(ちょうげん)が河東郡に送られると送られる寡婦が増えた。文帝はそれを不思議に思い

 

「先に君が送ってきた時は少なく、今は増えているのはどうした事だね?」と杜畿に聞いた。

 

すると杜畿は

「ああ、それは私の時は、すべて死者の妻だけを記録したものですが、趙儼は生きている人間の妻までを記録しているからですよ」

 

曹丕

 

文帝は側近と顔を見合わせて青ざめた。杜畿という人は、非常な硬骨漢で、ダメなモノはダメを貫く人だったので、文帝の下問に応えて趙儼が権力を使い不正をしていると堂々と言ったのでしょう。


人さらいは曹叡だけではなかった

朝まで三国志 kawausoと曹操

 

これを見て、kawausoは思い出しました。曹叡の晩年の悪行として知られる、すでに兵士以外と結婚している女性をむりやり離婚させて、兵士と再婚させるというあの悪行の事です。

 

曹叡

 

曹叡は、部下に止めるように色々言われても結局原則を曲げず、

①妻を召し上げる際には奴隷を身代わりに出してもOK

②召し上げた既婚者のうち容姿の良い者については後宮に入れるyoウヒョ!

 

権力を使って女性とイチャイチャする夏侯楙

 

など、余計としか思えない附則のせいで、金持ちは妻の身代わりとなる奴隷を買い漁り、貧乏人は自らの妻女を金銭で金持ちに差し出すという奴隷ビジネスに拍車を掛けてしまい世の中を大きく混乱させてしまっています。

君主論05 曹操、kawausoさん

 

最初の頃kawausoは、ははぁ、曹叡は狂ったんだな可哀想にと思っていましたが、そうか兵戸の性質上、結婚は高いハードルであり、いつも嫁不足であり、何とかしないといけない事情はあったんだなと思い直しています。

側室の女性達を励ます甄氏

 

難しいですよね、兵戸が兵役という人が嫌がる仕事を永久に請け負うから民戸や一般の庶民は兵役を免れて自由な生活を謳歌している。

 

王族ボンビーから一転セレブ10 董太后(女性)

 

だけど、兵戸だけでは、どうしても嫁が不足してしまい、兵役を課せられていない一般女性が一定数嫁として兵戸に必要となる。それが乱世である以上、兵戸に兵役を押し付けている以上、この事を全く他人事として弾劾(だんがい)できる人は、当時の魏にはいないんじゃないでしょうか?

【次のページに続きます】

次のページへ >

1

2>

関連記事

  1. 董卓
  2. 曹操と夏侯惇
  3. 戦で活躍する凌統
  4. 三国志ライター よかミカンさん
  5. 劉禅を説得する張嶷
  6. 夏侯惇

コメント

  • コメント (3)

  • トラックバックは利用できません。

    • バジル
    • 2020年 8月 24日

    編集長様

    そういえばヨーロッパでもオスマン帝国でも武将クラスはともかく、一般兵クラスは尊敬されていませんでしたね(汗)
    日本でも雑兵は尊敬の対象じゃないですし。(むしろ北斗の拳のモヒカンポジション)

    兵戸と結婚する女性の地位を上げるなど優遇するという手もあるのでは…と思ったのですが、現在でも女性に対する優遇政策が取られると「女ばっかりズルい!!!」という怒りの声(+女性への攻撃)が世界中で吹き上がるのを見るにつけ、これも紀元前では難しいなぁと頭を抱えた次第です。

    • バジル
    • 2020年 8月 23日

    国際(異民族間)結婚や一妻多夫や国民皆兵という発想がでて来なかったのが不思議だ…と一瞬思ったのですが
    国際結婚
    ・「スパイやハニトラかもしれぬ…。」という疑惑と恐怖には勝てなかったよ(汗)
    ・文化と価値観と言語の壁が厚すぎて(現在でも)難しい。
    ・男は下方婚を望むと言っても社会的地位が違いすぎると悲劇に終わる
    一妻多夫
    ・男性の嫉妬心には勝てなかったよ…(汗)
    ・家父長制が確立し、それがフツーで正義で進んだ価値観となってしまうと(未だ辺境が続けている)母系社会等、他のシステムは時代遅れのダサいもの(おぞましいもの)としか捉えられなくなる。
    国民皆兵
    ・庶民でも短期間の訓練で簡単に扱える銃がでてきて初めて可能になったシステム。
    ・庶民が武器の扱いに長けていると反乱のリスクがあって危険

    という結論に到り、よほどぶっ飛んだ人でないと無理だなという結論に至りました。

      • kawauso編集長
      • 2020年 8月 24日

      >バジルさん

      曹操は人口不足を補う為に異民族を国境近くまで引っ張ってきて
      漢化もしているのですが、それらは西晋が衰えると一斉に中原諸国に襲い掛かり、
      五胡十六国時代を招きました。
      もう一つは、中国社会に根強い文官優位の体制もあります。
      良い鉄は釘にならず、士大夫は兵にならない
      ここから兵士は当時の社会で尊敬を集める存在ではない事が分かります。
      曹操も曹操でかなり考えたとは思いますが、現実的選択として
      未亡人の強制結婚に踏み切るしかなかったのでしょう。




はじめての三国志企画集

“はじめての三国志企画特集"

“はじめての三国志公式LINEアカウント"

“光武帝

“三国志データベース"

“三国志人物事典

鍾会の乱

八王の乱

3冊同時発売




PAGE TOP