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この記事の目次
三国時代のお酒とは?
ここで少し三国時代のお酒についてお話をしましょう。
三国時代はまだまだ醸造方法というものは確立されておらず、今でいう濁り酒のようなものが多く、度数も低いものだったようです。大まかに言うとここから濁りを除けば清酒となりますが、濁りを取り除く工程、更に蒸留して度数を上げていく工程、これらが手間がかかることを考えると、値段も高くなるので庶民のお酒ではなく、高級なお酒と言う状態であったと思われます。
そこで曹操の「九醞春酒法」です。
「九醞春酒法」
曹操の考えたお酒の造り方である「九醞春酒法」は、簡単に説明すると九回の発酵工程を挟んだ酒の造り方で、途中で濁りかすを取り除くなど、とても丁寧な造り方をされているのが分かりますね。
この酒について曹操は「甘い」と表現していますが、これはおそらく「甘美」……つまりそれほど美味しいという表現か、もしくは酒の甘口、アルコールのこってりとした飲み口を表現したものではないかと筆者は想像しています。
しかしレシピを参考にすると当時貴重であった米、もしくはもち米を利用しているので、おそらくこれらはやはり高価なお酒で、庶民には口にできないものだったでしょう。
ちょっとひとくち
最後に「九醞春酒法」について小話を。
「九醞春酒法」という名前から九回発酵させる、発酵を繰り返すという意味とされていますが、これには別の意味もあると言われています。というのも「九」という数字はは一桁の中でも最大の数字、このため中国では数が多い象徴として「九」の数字を用いることがあります。
なので曹操の酒の造り方は九回ではなくもっと少なかった……いいや、もっともっと多い回数で、手間がかかっているのでは……とも考えられている訳ですね。流石曹操、細かいところまで気を使っています。
三国志ライター センのひとりごと
今回は曹操とお酒のお話をさせて頂きました。正直な話、曹操の作った酒が現代の日本酒と全く同じとは思いません。それでも杯に注いだそのお酒が、遥か昔にも飲まれていたものかも……と考えると、ロマンがありますね。
ぜひよろしければ皆さんも、お酒の飲める方はちょっと一杯飲みながら三国志をお楽しみ下さい。飲めない人はノンアルコール飲料で、なに、曹操もお酒ではなく楽しむことを第一に考えたと思いますから、ぜひ自分の好きな飲み物片手に三国志を楽しんで下さいね。
参考文献:魏書文帝紀 漢晋春秋 魏氏春秋
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