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目立たないからって影響力がないとは限らない
映画やドラマでは、黒幕というのは目立つ存在として描かれがちですが、実際には地味で目立たないのに、隠然たる影響力がある趙儼のような黒幕の方が多いのです。
例えば趙儼は、河東太守の頃、曹操が全国の県令や太守に、未亡人のリストを提出させて兵戸の花嫁として強制的に結婚させようとした時、未亡人だけでなく、夫がいる既婚者までリストに書き込んで強引に別れさせ、曹操に点数稼ぎをするという不正をしました。
その後、杜畿が曹丕に趙儼は夫がいる妻まで強引に別れさせていると正直に告げると、曹丕も群臣も青い顔をするだけで趙儼を罰したりはしなかったのです。同じような事をしている県令や太守は大勢いたそうですが、告発されても趙儼の処罰に踏み切れない曹丕を見ていると、黒幕という2文字が浮かんできます。
三国志ライターkawausoの独り言
曹操は、唯才令を出すくらいの人なので、趙儼がちょこちょこ悪事を働いているのは承知の上で、損と益を秤にかけて趙儼を活かす方を選んだのでしょう。
趙儼にしても、見逃せない悪事はあるにはありますが、国家転覆を図るような悪でもなく、何万人を虐殺するような巨悪を為したわけでもなく、人より欲深い程度の悪事で済んだので天寿を全うしたのかも知れませんね。
参考文献:正史三国志 魏略
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