こちらは2ページ目になります。1ページ目から読む場合は、以下の緑ボタンからお願いします。
この記事の目次
戦国日本に公武対立はなかった
イエズス会は、天皇を本来の国王と称しましたが、これは日本は武家の単独政権であるわけではなく、朝廷と言う本来の政治機構があるという事、そして、朝廷こそが本来の政治機構である事を説明する為でした。
それが秀吉であれ、家康であれ、従来の政権である朝廷を破壊する事なく、むしろ、古くからの称号である関白や征夷大将軍の称号を受けて、旧来の統治機構と力を合わせる事で権力を維持しているのであり、これは公武対立どころか公武合作、公武並存だとイエズス会が見抜いていた事実を示しています。
庶民の天皇崇敬
権力者については、むしろ本来の王である天皇の権威にすがる事で権力を維持したと理解したイエズス会ですが、庶民の天皇崇敬には、どのような判断を下したのでしょうか?
イエズス会は、天皇は地面に足をつけてはいけないという伝承や、あまたの偶像が天皇を警護するために内裏に配置されているという噂。
それに、天皇が足を洗ったとされるタライを、聖遺物のように頭にかぶる人物の記録を残しており、ここから、天皇とは偶像崇拝の象徴であり、呪術的風習や神秘的行為による権威を有するがゆえに、庶民に敬われたと分析します。
天皇が庶民の崇敬を集めたのは神秘性もあるでしょうが、権力を持たないがゆえ堕落せず常に清貧な生活を送り、庶民の境遇に常に心を寄せ、祈りを捧げるという点が大きいとkawausoは思いますが、この辺りは外国人であるカトリックの宣教師に取って伺い知る事は難しかったようですね。
戦国時代ライターkawausoの独り言
日本の真の支配者は天皇であるというイエズス会の認識は、300年の後、黒船来航により徳川幕府の無力が示されると顕著になり大政奉還、王政復古の大号令を経て権威と権力は名目上、天皇の下に戻る事になりました。
この事実を見ると、日本の支配者は天皇であり時の権力者は、天皇の権威を借り権力を維持するというイエズス会の認識は、かなり的中していたと言えますね。
参考文献:イエズス会が見た「日本国王」天皇・将軍・信長・秀吉
関連記事:イエズス会って何?戦国武闘派キリスト教団を分かりやすく解説
関連記事:天皇とは何?そもそも何で偉いの?