中国の思想というと、ぱっと思いつくのは「道教」や「儒教」だと思います。そしてその源流や根本的な考え方の基礎になっているのが「天道思想」です。
天道思想とは?
天道思想とは、この世のすべての理を「天命」といい、それを天地の支配者である「天帝」が定め、人はそれに従うものであるとする考え方です。そもそも「天道」とは太陽が空を通過する道のことを指します。
太陽をはじめとする天体や星の動きは自然の摂理に則った規則性に基づいたものであり、人の手では変えることのできないものであると考えられていました。これらの「天道」、「天命」、「天帝」というキーワードが結びついて「天道思想」を形成しています。
天道思想と道教との関わり
漢民族の伝統的な宗教である「道教」には、宇宙と人生の根源的な不滅の真理と捉えられている「道」という概念が中心にあります。道について詳しく説明すると、道という漢字は「辶(しんにょう)」と「首」の2つから構成されています。
「辶」はものごとの終わりを意味し、「首」はものごとのはじまりを意味する字です。「道」の意味するものは、はじまりと終わりが同じ字の中にある「太極」、つまり「この世には必ずはじまりと終わりが存在する」という理を表していると言えます。
道教が最終的に目指すものは、この「」と一体になること、つまり「自身が理そのものになる=不滅」ということです。それを具体的に表したものが、仙人となって不老不死(もしくは不老長寿)を得ることです。これを「神仙」といいます。
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神仙思想に深く傾倒した始皇帝
この神仙思想に深く傾倒していったのが、秦王朝を建てた始皇帝です。
始皇帝は徐福という道士(道教の修行を行っている人)から不老不死の秘薬が東方に存在するという進言を受け、その探索を命じました。それには3千人という人手と、莫大な食料と財宝を投じたとされていることから、始皇帝がどれほど自身の寿命を重要視していたかがわかります。
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