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李服とおぼしき王子服が先主伝に登場
さてさて、信頼している人に裏切られたりする、という一例で出てきた名前の李服ですが、この李服がどこのどなたかさっぱり分かりません。じゃあやっぱり後出師の表は贋作なのか?……というとそうとも言い切れないのが面白い所。
実はこの李服らしき人物が、蜀の先主伝に登場するのです。その名は王子服。彼は董承たちの曹操暗殺計画に参加、しかし計画は露見して、処刑されたとあります。この王子服こそが、李服なのではないか……と言われています。
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曹操を欺くような大物ではない王子服
とは言え、王子服が李服であったとして、疑問点は数知れず。何でいきなり王子服とか出して来たんだ、知名度が低すぎませんかね、そもそも名前が違うじゃないか……ちょっと考えるだけで王子服と李服同一人物説はかなり無理があるような気がしますね。
順当に考えても、王子服と李服の同一人物説はちょっと無理やりな印象は否めません。ただ、この王子服、三国志演義で出番がアップしているのが面白い所。
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三国志演義では董承の親友になった王子服
三国志演義の王子服は何と董承の友人。彼は董承が眠っている間に、献帝からの密命(曹操討つべし)を見てしまいます。そうして起きた董承に「曹操様に密告する!」と言い放ちました。これには董承は涙目。
しかしそんな友人を見て王子服は大笑い。「冗談だ。漢王朝に忠誠を誓う私はそんなことしないぞ!」と言って、自らも曹操暗殺計画に参加するという、忠義心のある豪胆な性格となっています。
正史でも殆ど名前が出てこない王子服、どうして三国志演義ではこんなエピソードが追加されたのか……と考えると、もしかしたら後出師の表での「曹操、李服に図られる」を参考にして、この話を追加したのでは……?とか考えてみましたが、どうですかね?
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三国志ライター センのひとりごと
三国志演義の面白い所は、何から何まで正史と同じではないということです。「そりゃーエンタメだからね」と言われてしまうかもしれませんが、不思議なことに正史では殆ど知名度がない人物がいきなり出てきて活躍したりします。
筆者は個人的にこういう人物の元ネタを探すのが大好き、なので今回は序盤に出てきてそして退場する、王子服について話してみました。こういうのも三国志の楽しみ方ということで、どうぞよろしくお願いします。
どぼぼぼーん。
参考文献:蜀書先主伝 三国志演義
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