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李信に興味を持つ韓非
ただ韓非は並みの学者ではありません。中華統一と言う韓から見れば過激な思想を吐く李信ともう少し議論を深めようとします。韓非は秦王は歪だと言います。その理由は、秦が冷徹なようでありながら、合従軍の時には蕞のような小さな城を守ろうとし、桓騎の十万人の斬首を叱責する為に現地まで行った。もしかして秦王は性善説なのではないか?
これに対し、李信が性善説のどこが悪いと言い返すと、韓非はそのような温情を持ちながら、一方では李斯や自分のような法家の官僚を登用しようとする。元々、法は人間は放置しておけばクソであるとする性悪説から誕生したのに、性善説である秦王が、法で国を治めようとするから歪さを感じるとします。そして、法と性善説を混ぜると法律が徹底せず、中途半端な温情が蔓延る最悪の政治体制が生まれるとし、そんな国には自分は行きたくないと韓非は言いました。
もう一度、李信に問う韓非
韓非は、秦王が性悪説なのか性善説なのか、李信に問います。李信はあいつの心の中なんか分からないと拒否しますが、韓非は秦王と付き合いが古い君の意見だから聞きたいとします。それは、すべて机上で思想してきた韓非が本当の戦場を知る李信の実感を聴きたいという思いもありました。
キングダムネタバレ759話「悪ってなんだ?」
李信は、韓非の質問に「悪」と答えた後で「悪ってなんだ?」と続けます。そして、全体をずっこけさせた上で桓騎は悪なのか?と続けました。李信の感想では、善か悪かは環境、人の考え方や見え方でコロコロ変わるというものでした。
桓騎だって外からは大悪党と言われていたけど、仲間からは慕われていた。逆に言えば、桓騎一家から見れば、世間は弱者を見て見ぬふりして虐待に加担する巨悪そのものだったでしょう。録嗚未は桓騎を大悪党と言いますが、録嗚未に家族を殺された敵の遺族からみれば録嗚未は桓騎以上の悪党かもしれません。
戦場では善悪を考えている余地はない
さらに李信は戦場ではお互いに正義をぶつけあって殺し合いをするから、そこには正義も悪も関係ねぇと言います。韓非は学者としては、関係ないと思いたくはないがと躊躇しますが、李信は断言して戦争に善悪は関係ないと言い切ります。戦場では誰もが無我夢中で生き残ろうとし、善悪なんかを考えている余地はないというのです。
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