日本の幕末。日本は革命派と幕府を盛り立てていこうとする派閥に分かれて、戦国乱世のような雰囲気が漂ってきます。日本は長らく鎖国をしていたため、優秀な兵器はあまりありませんでした。そんな中、日本で最新鋭と言われるガトリング砲が出現。
回すだけで敵を数百人規模でなぎ倒すことができるこのガトリング砲ですが、幕末の日本にはたったの3丁しかありませんでした。この内の2丁は越後の小国である長岡藩が保有することになります。そして残りの一丁が九州の佐賀藩が保有します。
この佐賀藩の当主である鍋島関叟(なべじまかんそう)と言われる人物は、非常に時勢に鋭い目を持ち、西洋技術をいち早く取り入れて海軍を創設したり、人材育成に非常に熱心な人物でした。
この関叟の鋭い時勢感に感服した家臣たちは、彼のことを佐賀藩の初代当主である鍋島直茂の再来だともてはやしたそうです。さて今回紹介するのはこの佐賀藩初代当主である鍋島直茂(なべじまなおしげ)をご紹介したいと思います。
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主君がハンターに刈り取られる
鍋島直茂は龍造寺家の当主である龍造寺隆信(りゅうぞうじたかのぶ)の信頼を勝ち取り、右腕として活躍していきます。しかし彼の運命は大きく変化する事件が発生します。それは島津軍との決戦である沖田畷の戦いにおいてでした。
この戦いにおいてヒューマンハンターである島津家久(しまづいえひさ)の率いる島津軍に龍造寺軍は敗北してしまいます。さらに龍造寺四天王と言われる勇将達だけでなく、当主隆信も討ち死にしてしまいます。この事を知った直茂はショックを受けて自害しようと考えますが、家臣や龍造寺家の家老としての責務を考えなんとか思いとどまり、島津家と和睦をして龍造寺家立て直しを図ります。
時勢を見抜く鋭い目
直茂は龍造寺家の本拠地である佐賀城へ帰還すると豊臣秀吉に対して手紙を送ります。その手紙の内容は「島津家を早く討伐してくだされ」というものでした。この手紙を受け取った秀吉は直茂の意見を聞き届け、島津討伐へ向かいます。
当時九州地方で豊臣秀吉に目をつけたのは大友宗麟とこの直茂だけでした。直茂は秀吉が大軍を率いて九州へ来ることを知ると島津家と縁を切って豊臣軍に加勢します。秀吉は直茂がいち早く豊臣家に味方したことを喜び彼に龍造寺家を取り仕切るように命じます。この命令に従って直茂は龍造寺家を取り仕切ることになります。
家康の天下統一を見抜く
その後も直茂が龍造寺家を取り仕切っていき、龍造寺家の家臣や隆信の弟達からも非常に信頼されていきます。こうして龍造寺家は名前だけの存在となっていきます。そして秀吉が亡くなると豊臣家と徳川家が天下の覇権を賭けて戦うことになります。九州地方では豊臣方へ味方に付く大名が多い中、直茂は徳川家康が天下統一をするであろうと予想を立てます。
彼はこの予想に自信を持っておりましたが、万が一外れた場合のことを考えて嫡男・勝茂(かつしげ)に軍勢を与えて、西軍に参加させます。そして彼は家康に手紙を送るとともに、尾張地方のコメを買い占めておきます。直茂はなぜ尾張周辺のコメを買い占めたのでしょうか。それは家康に兵糧を献上するためです。
彼は尾張周辺で西軍と徳川軍の決戦が行われるであろうと考えます。そして彼は徳川軍が上杉討伐から尾張平野にきた際に兵糧が少ないであろうことを見越して、兵糧をあらかじめ買い占め、家康率いる東軍がやってきた際に兵糧を差し出すことによって、東軍に協力姿勢を見せようと考えたためです。
この作戦は見事に当たり、徳川家康は直茂に感謝の書状を送っております。そして直茂の予想は見事に当たり、徳川家康が三成率いる西軍を打ち破り、天下の覇権を握ることになるのです。直茂は家康に手を貸したことによって所領は安堵されて明治時代まで生き残ることになるのです。
戦国史ライター黒田廉の独り言
さて直茂が龍造寺家を主導していき、関ヶ原の戦い以降は直茂が龍造寺家もとい佐賀藩の当主となっておりました。では龍造寺家はどうなったのでしょうか。直茂が家康から領土を安堵された後、龍造寺家の投手であった龍造寺高房(りゅうぞうじたかふさ)は直茂が龍造寺家の実権を持っている状態に怒りを覚えて、自分の奥さんである直茂の養女を殺害して自分も自害しようと企み実行に移します。
しかし自害に失敗した高房は死にきれずに生き延びてしまいます。また直茂の養女もすんでのところで助かります。この事件を知った直茂は激怒し高房へ「文句があるなら言いに来いや!!」と江戸城にいる高房へ手紙を送りつけます。
この手紙を見た高房はビビってしまい二度と佐賀へ帰国することはありませんでした。そして佐賀藩は名実ともに直茂が当主として君臨することになるのです。
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