みんな大好き王騎の副官・騰将軍の仕事は意外に激務だった!

2016年7月7日


 

7-3_騰将軍

 

漫画キングダムでは、龐煖(ほうけん)の刃に倒れた王騎(おうき)の軍勢を引き継ぎ、秦を支える将軍として随所で活躍する騰(とう)将軍。一見、ポーカーフェイスで、何も悩みが無さそうな彼ですが、彼の仕事である内史(ないし)は、結構な激務だったのです。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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騰が務めた内史とは、結構ハードな仕事だった。

 

騰は、字も名も伝わっておらず、ただ、内史騰とのみ伝わっています。内史とは、職名であり、名前ではないので、今風に言えば、騰営業部長のような肩書で記録された事になります。なお、最近出土した、秦の時代の法律を記した木簡、雲夢睡虎地秦簡では「語書」に南郡の郡守として騰の名が見えます。騰は、武官として韓を滅ぼしたりしているので、文武二足のわらじを履いて勤務していた事になるのです。もっとも、当時は文官と武官が明確に分かれていないので、特に珍しい事ではなく、蒙恬(もうてん)も内史でありながら斉討伐時の将軍として戦っています。

 

 



官営の倉庫の把握、牛の管理、部下の給与請求、忙しい内史

 

騰が受け持っていたのは、治粟(ちぞく)内史という職業です。その仕事の行政上の位置づけは、図で確認して欲しいのですが、おおよそ、5種類に分けられます。

 

1官の蔵に入れられた穀物、馬草、わらの数量を丞相府に報告する。

2官で飼育している牛の飼育状況を丞相府に報告する。

3廃棄処分する公的製品の報告と輸送

4官吏の給料を請求する為の、人員と費用を丞相府に報告する。

5囚人の衣服の支給とその管理作業

 

これらの仕事の最終チエックを内史は配下の大倉(だいそう)と大内(だいない)を使って行っていたわけですね。

 

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官営の倉の出納はかなり頻繁だった。

 

 

秦は、商鞅の変法で、六国に先駆けて郡県制を採用していました。県で上った収獲は、官営の倉に納められ、軍隊はこの倉の食料で、動く事になっていました。ですので、実際の倉の中の穀物と帳簿が合わないと、実際の作戦行動に支障をきたすので、倉の出納は毎回チェックされ帳簿に記録されて、内史にあげられました。つまり、収穫時や軍を動かしている時は、頻繁に倉から、物資が出入するので、内史の帳簿チェックは膨大な量に登った事でしょう。

 

 

牛が死んだら連帯責任、厳しい秦の法律

許チョ

 

睡虎地秦簡には、実際に官が飼育する牛を死なせてしまった場合の罰則についての記録が残っています。

 

今課県、都官公服牛各一課、卒歳、十牛以上而三分一死、不〔盈〕十牛以下、及受服牛者卒歳死牛三以上、吏主者、徒食牛者及令・丞皆有罪。内史課県、大(太)倉課都官及受服者

 

この意味は、平たくすると、一定年齢に達した官牛を十頭以上飼育するもので、その中の3分の1の牛を死なせた者十頭以下の牛を飼うもので、三頭以上の牛を死なせた者は、その牛の持ち主、牛に餌をあげている人間、県令、丞(県令の副官)これを皆、有罪とする。県令と丞は、内史のチェックを受け、それ以外は大倉のチェックを受けるという意味になります。牛が死ぬと、所有者はもちろん、餌をあげる人、県令や丞まで、有罪で処罰されるという規定で、かなり厳しいと言えます。

 

 

不手際が続くと、内史だって安泰ではなかった・・

 

もちろん、内史とはいえ、チェック漏れや大倉、大内に不手際があれば、監督不行き届きとして、連帯刑罰が下されます。仕事についている間は、緊張の連続で、史実の騰は、ファルファル言っている暇は無かったのではないでしょうか?いや、むしろ逆に、仕事が厳しいので、戦場では緊張が解けて、ファルファル言いたくなったのかも知れません。

 

 

キングダムライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

このように、騰のついていた仕事である内史を調べてみると、戦場以外での騰の意外な姿が浮かび上がってきます。実際の騰は、戦陣の傍ら、送られてくる書類に目を通し、所轄の県令や丞を監督して回る、多忙な人だったのです。

 

 

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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