光ある所には必ず闇あり、特に強烈な光を放つ人物の裏には、
正視できないようなダーティーな部分が存在するのは、
曹操(そうそう)にしても董卓(とうたく)にしても同じ事です。
現在、実行する政治家として人気急上昇中の政治家、故田中角栄にも
同じ事が言えます。彼の闇とは、現在も収束する様子がない、
あの原発利権の闇だったのです。
この記事の目次
3・11で大被害を引き起こした原発事故の遠因も角栄?
2011年の3月11日、東日本大震災で、福島第一原発が事故を起こし、
大量の放射線を吐きだして環境汚染を引き起こしたのは記憶に新しいです。
実は、日本には、福島第一原発以外にも、53基という原子力発電所があり
その数は世界第3位なのです。
そこまで大きな国土が存在するわけでもない日本に、どうして
大量の原発が存在するのか?そこには、補助金という利権が絡んでいました。
そして、ダーティーな角栄も、そこに絡んでいたのです。
オイルショック以後、急速に注目を集めた原子力発電
日本の電力は1960年代まで火力発電が主力でした。
しかし、1970年代、相次ぐ中東戦争で石油の輸入が制限されると
オイルショックが発生、すべてを石油に頼っていた日本経済は
物不足と物価高騰に苦しみます。
その反省から、エネルギー政策の分散化が計画され、
目をつけられたのが原子力発電所の建設でした。
ですが、電気というのは貯めておく事が出来ないので、
日夜、絶えず発電しつづける必要があります。
同時に、原子力発電所は、総工費5000億円にもなり、
巨大な敷地も必要なので、電気が必要な都心部には
建設できないというデメリットが存在しました。
田中角栄、電源三法を成立、原発補助金が生まれる
しかし、原発を誘致される地方には、ただ原発を造ると言っても、
メリットがなく、同時に放射能汚染に反発して反対運動が巻き起こります。
ですが、地元政治家にとっては一基5000億という莫大な事業である原発は、
地元企業を潤す莫大なマネーでしたし、一度誘致に成功すれば、
以後も組織票で選挙に勝ち続ける事が可能になります。
そこで田中角栄は、策を考え総理時代に、電源三法を成立させます。
電源三法とは、簡単に言えば、原発誘致を受け入れた地域に、
100億単位の補助金を出すという制度です。
元々、原発が誘致されるような土地は、産業にとぼしく、過疎が進む
地域が多いので、補助金で反対運動を切り崩して原発を建てるという
事が何度も繰り返される事になります。
その中で元々は上手く行っていた集落が原発賛成と反対でいがみあい
共同体が崩壊するという悲劇も沢山発生しました。
そして、一度原発を受け入れた地域は、産業を生み出すよりも、
補助金に頼るようになり、自活する力を失っていきます。
険しい地形に頼り切り、外からの勢力に備える力が不十分だったのを
思い起こしますね。
田中角栄を継いだ後輩代議士も、原発マネーに群がる・・
田中角栄も、地元の柏崎刈羽原発を誘致する際に、同様の手法を使い、
土地取引で4億円の収益を得たと言われています。
こうする事で、彼は地元建築業者の支持を繋ぎ止め、連続当選記録を伸ばしたのです。
まさに札束で人の顔をひっぱたくという余りにも下品な手法でした。
そして、一度開発された原発マネーの活用法は、角栄一人にとどまりません。
電力三法を利用して、彼の後輩政治家も、電力に関係していれば、
野党の政治家も、一斉に原発開発に狂奔しました。
結果、日本国中に原発が次々と建設され、その分だけ、
地方において、共同体の崩壊、補助金依存体質が生まれました。
また、原発は安いと言われていますが、それは発電までの話であり、
核燃料棒の処理費用19兆円などを含めると、火力発電などを上回り、
その費用は、秘密裏に電気料金に加算されているようです。
つまり、消費者は原発マネーで造られた高い電気を買わされている
という話になるのです。
まるで、売官に走って、私財を貯め込んだ霊帝や宦官、外戚をよそに、
庶民が搾取されて苦しむような状態が生まれたのです。
光の部分を凌駕する角栄の闇の部分
こうして、考えると、地震列島である日本で、ここまで原発が増える
仕組みを作り上げた角栄の罪は決して小さくないと言えるでしょう。
角栄自身が「原発安全神話」を信じていたかどうか分りませんが、
地元への利益誘導が建築業者の組織票を産み、自派閥の当選に繋がるという
利権の構造は、日本社会に取り返しのつかない負の遺産を残しました。
それは批判されてしかるべきだと思います。
三国志ライターkawausoの独り言
剛腕で決定できる政治家として、今、もてはやされる田中角栄ですが、
やもすると、光の面だけが宣伝されて、原発マネーの闇の部分は
スルーされる傾向があるように思われます。
古代の人物ではない、現在の人ですから、過剰な美化に踊らされず、
功罪をしっかり見極めたいものです。
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