編集長日記
北伐

はじめての三国志

menu

三国志の雑学

三国志時代は拓本だらけでまるでスタンプラリー状態だった?石碑乱立の秘密

この記事の所要時間: 240




曹丕

 

中国においては、あちらこちらで、事蹟を書いた石碑が出土します。

石碑ばかりではなく、青銅に記した金石文も、かなりの数に上ります。

では、それらは、どうして造られる事になったのでしょう?

え?造ったヤツの自己顕示欲?実は、そればかりではないのです。




石碑があちこちに立てられた意外な理由は?

曹丕

 

三国志の時代に限っても、例えば曹丕(そうひ)が文学論である

「典論」を石碑に刻んで、太学の中に設置したりしています。

それは、確かに自分の事蹟を後世に残して自慢したいという事もあるのですが、

同時にこれらの刻まれた文字は、その時代の書家の手によるものが殆どで

つまり、文字としても一流なのです。

 

鍾会

 

例えば、鐘会(しょうかい)の父として知られる鐘繇(しょうよう)は、

書家として知られていて、彼が手がけた文は石碑に金石文として刻まれました。

それらは、書家を目指す人の手本になるもので、文人はこぞって

石碑のある場所に行き、金石文を紙に墨で写し取って手本としたのです。




間違えると、ただではすまない拓本の仕方

墨 f

 

しかし、写し取ると言っても、石碑に墨をぶっかけて、

そこに紙を貼り付けるような乱暴な事は出来ません。

そんな事をしては、墨が溜まって文字が浅くなりますし、

第一、墨が乾くまでに上手く写す事が出来ないでしょう。

 

一般には、石碑の金石文を写すには、石碑のサイズにあう、

薄い紙か絹を用意して、ぴったりと張り付け、

つぎにその上から墨を含ませたタンポという器具で紙をなぞります。

これを上墨といいますが、こうすると石碑の凸は黒く凹は白くなって

現れ、文字が紙に綺麗に写し取られるのです。

 

このような方法で写し取った書を拓本(たくほん)と言います。

あの魚を釣った時に造る魚拓(ぎょたく)と大体同じ要領です。

 

ちなみにタンポとは、刀の手入れに使う、

あの綿毛のお化けのような器具の事です。

 

皇帝が書いた書は、持っている事がステータスだった

李世民 wiki

 

また、時代が下ると、名君で知られる唐の太祖、

李世民(りせいみん)が記した文を石碑に起こしたものなども出てきます。

例えば、晋祠銘(しんしめい)は、李世民が書いたもので

山東省の太原にある唐叔虞を祀った廟にあります。

 

李世民は名君として知られた人物で、書も玄人裸足という腕前です。

この金石文を写し取るのは、一種のスターのサインのような

人気があったようです。

 

 

 

時代が下ると、石碑も増え、スタンプラリーのような状態に

 

このような石碑は、戦乱で失われたり、長い間風雨にさらされて、

表面が磨滅するなどで次第に失われていきますが、

時代と共に、数が増える傾向にあり、そのような名筆家や、

偉大な帝王にあやかろうと、多くの文人が拓本を造っていきます。

 

転勤を繰り返す中央のキャリア官僚は、転勤の先々で、

石碑の拓本を取っていた筈で、さながら時間を掛けた

スタンプラリーのような状態になっていた事でしょう。

 

拓本を取った人々のお陰で現存する文もある

ビル・ゲイツ

 

彼等、拓本マニアは、歴史を保存する上で重要な役割を果たします。

中国は戦乱の連続で石碑も多くは破壊されて、残っていない場合が多いですが、

拓本マニアが、細かく収集して写し取っていたお陰で拓本は残っています。

これによって、失われた石碑の文字は、拓本という形で保存され、

現代にまで残されているのです。

 

もしかしたら、石碑が残っている頃は、何度も訪れる拓本マニアで、

所有者は嫌な思いもしたかもしれませんが、今となっては、

そのマニアが失われた石碑の実在の証拠を残しているから複雑です。

 

三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

石碑は、歴史上の事実を記録する事、そして、記録を記した名筆家の

腕前を現代に伝え、さらには、拓本を通じて失われた石碑の文字を

現代まで伝えているという一粒で三度美味しい状態にあります。

こういう、貴重なモノを何らかの形で記録しておこうという

人間のマニア癖というのは、時代を超えても変わらないものですね。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:まったく安心できない三国志の全裸男、禰衡(でいこう)

関連記事:ギャップに驚き!禰衡だけでは無かった!Mr.天然、曹植の裸踊り

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

 

よく読まれている記事

 

曹操01

よく読まれている記事:曹操を好きになってはいけない6つの理由

朝まで三国志

 

 

よく読まれている記事:朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ(笑) 第1部

 

kawauso 投壺

関連記事:三国時代の娯楽にはどのようなものがあったの?タイムスリップして当時の人に取材してみた

袁紹 曹操

 

 

よく読まれてる記事:【三国志if】もし袁紹が官渡の戦いで曹操に勝ってたらどうなってたの?

 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 【意外と知らない?】孫子の兵法を読んだ偉人達!曹操やビルゲイツも…
  2. 呂伯奢一家殺害事件 曹操:「俺を裏切ることは許さない!」
  3. 【衝撃の事実】孫策の○○で孫呉が滅びる原因となった!
  4. 蒋琬(しょうえん)ってどんな人?孔明の後継者として蜀の安定を図っ…
  5. 曹彰(そうしょう)とはどんな人?勉強嫌いだが、武を磨いて将来を期…
  6. 諸葛孔明の影に隠れる劉備
  7. 何で曹操はあれだけ関羽を愛していたのに配下から逃がしたの?
  8. 裴松之(はいしょうし)の神編集!異論反論ブチ込みまくりで三国志が…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 小覇王・孫策のお母さん「呉夫人」は偉大すぎた
  2. 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース12記事【4/3〜4/10】
  3. 62話:徐庶を手に入れたい曹操、程昱の鬼畜な計略を採用し劉備から徐庶を奪うの巻
  4. 魏延(ぎえん)ってどんな人?|裏切り者?それとも忠義の士?
  5. 【軍師連盟】諸葛孔明の北伐は司馬仲達がいなければ成功していたの?
  6. 興収10億円突破!映画『関ヶ原』岡田准一の見どころと辛口批評するよ!

三國志雑学

“広告募集"

はじめての三国志の書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

島津家久(しまづいえひさ)とはどんな人?最大の戦果を挙げ続けた島津四兄弟の闘将 【おんな城主・井伊直虎を見逃した方へ】第36話「井伊家最後の日」の見どころ紹介 69話:迫りくる曹操軍50万、絶望的な退却戦 長坂の戦い 【日中清廉潔白対決】北条泰時VS諸葛亮孔明 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース18記事【3/6〜3/13】 なんと○○を食べていた!三国志の驚異の食生活 魏の夏侯惇・許褚・龐徳の息子達は優秀だった?気になる将軍たちの息子事情 鄧禹(とうう)とはどんな人?光武帝の親友だが戦争にべらぼう弱い雲台二十八将の1人

おすすめ記事

  1. 潘璋(はんしょう)とはどんな人?素行や勤務態度は悪いけど呉の最強武将
  2. 山県昌景(やまがたまさかげ)とはどんな人?武田家四名臣の一人・赤備えを率いた戦国武将
  3. 舜水樹(しゅんすいじゅ)は実在したの?李牧の右腕は史実通りなのか?
  4. 天地を喰らうという漫画があまりにもカオス!裏三国志入門書 Part 2
  5. 武神と恐れられていた関羽は結婚していたの?
  6. 【李傕・郭汜祭り 4日目】献帝帰還の功労者の惨めな最期 張済(ちょうさい)
  7. まだ漢王朝で消耗してるの?第2話:早すぎた改革者 袁術
  8. これは意外!最初は漢王朝を庇っていた袁術

はじさん企画

李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
PAGE TOP