秦の始皇帝を父親が趙の国で人質になっていた所を助け出し、
秦王につけるために奔走した大商人・呂不韋(りょふい)。
キングダムが出てから彼の名前は一気に知名度が増し、
今やキングダムの読者で知らない人はいないであろう有名人となりました。
そんな彼は秦の丞相となってから大人数の食客たちを使って、
20万言を収めた一冊の本を完成させます。
この本の名前を「呂氏春秋(りょししゅんじゅう)」といいます。
今回はこの本を作った時に発した呂不韋の名言をご紹介します。
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丞相呂不韋は負けず嫌い
呂不韋は荘襄王(そうじょうおう)の時代に丞相として、秦の国政を握ります。
しかし荘襄王は王の位についてからたった3年で亡くなってしまいます。
その後政が王位に付きます。
呂不韋は新王・政が幼いことをいいことに色々とやりたい放題やっていきます。
秦では彼に逆らう人間はほとんどいなくなりましたが、
国外では戦国四君と言われた春申君・平原君・信陵君の三人が秦に対して、
敵意をむき出しにしており、彼ら三人は多くの有能な食客を抱えておりました。
秦の宰相である呂不韋は彼ら三人に負けないため、
金と権力に物を言わせて多くの食客を抱えその数は3000人を超え、
三公子に匹敵する食客を有することになります。
本を出版
呂不韋はこの大量の食客達に「先生方は多くの国々を回って見聞を持っていると存じます。
そこで先生方の見聞を一冊の書物に収めてくだされないでしょうか。」とお願いします。
食客達は呂不韋の提案を受け入れて、3000人の力を合わせて一冊の本を完成させます。
呂不韋はこの本を読み
「この本に古今の実績や現在の諸国を回って集めた知識を詰め合わせある大作である」
と満足げに頷き「よし!!本の名前は「呂氏春秋」にしよう」と言うことでこの本が
誕生することになります。
呂氏春秋の内容は
さて3000人の人間が一生懸命力を合わせて作った呂氏春秋の内容はどのようなものなのでしょう。
呂氏春秋は儒家(じゅか)・墨家(ぼくか)・法家などの思想を合わせた内容のいい所が、
書き記されております。
また天文学等の学術的なことも書き記されております。
しかしひとつのことに特化している本ではないため、
春秋戦国時代の雰囲気を味わうことのできる本となっています。
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市場に出して布令を出す
呂不韋は「呂氏春秋」が完成するとこの本を秦の首都である咸陽(かんよう)の市場へ
持っていきます。
そこで彼は諸国を巡っている遊説(ゆうぜつ)家や民衆、秦の大臣らに向かって
「今回、私の食客達が知恵を出し合って完成させた本を出版することにした。
この本は私も一度読んで完璧な内容となっているが、
もしこの本に一字訂正を加えることができる人物や一字削ることが出てきた人物が出てきたら、
千金を与えよう。」と言って公言します。
民衆や遊説家達はこの呂氏春秋を見て、一時を加えようと必死になりますが、
誰ひとりとしてこの本に一字を加えることができませんでした。
この呂不韋の言葉が一字千金として現在にも残る故事となるのです。
戦国春秋ライター黒田廉の独り言
呂不韋の名言は他にも存在しており、
秦の荘襄王を王位に付けるため奔走した際のことわざとして「奇貨居くべし」のことわざがあります。
春秋戦国時代には多くの人物が出現しますが、商人から宰相へ上り名言を今日まで残したのは、
彼だけではないのでしょうか。
商人から丞相へ上り詰め、秦の国政を握ることに成功した彼ですが、
最後は権力を剥奪されて、秦王・政に殺害されてしまいます。
「今回の春秋戦国時代のお話はこれでおしまいにゃ。
次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。
それじゃあまたにゃ~」
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