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三国志演義では、若き孫策(そんさく)に殺された事を恨み、祟りまくって
最期には孫策の命を奪った仙人、于吉(うきつ)。
それは、捜神記(そうしんき)などの民間伝承で脚色された伝説であると思いきや、
于吉という道士は江表伝(こうひょうでん)と言う書物に記録され存在していたのです。
史実でも孫策に殺されてしまう于吉ですが、それはどのような理由なのでしょう?
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この記事の目次
孔明と同じ琅邪郡出身の于吉(うきつ)
于吉は、諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい)と同じ、徐州琅邪郡の出身、
それから東方に移住し、戦乱の時代に呉の会稽(かいけい)郡にやってきて
精舎(しょうじゃ:道教の建物)を建てて、黄老の書を読み、焼香して符水を制作して
病気に苦しむ人に飲ませ病を癒しました。
はい、ここで于吉がどうして、孫策に嫌がられたか、その一端が見えます。
黄老の書を読み、焼香して符水を造って病人に飲ませて治療する・・
つまり、やってる事が、まんま太平道の教祖、張角なのです。
孫策に忠誠を誓う武将の3分の2が于吉に挨拶に向かう
もっとも、これだけであれば、孫策に殺される事は無かったのですが、
于吉には、気の毒な事に運がありませんでした。
たまたま、孫策が楼閣に諸将や賓客を集めて宴会を開いている時に、
盛装した于吉が、足早に楼閣の下をくぐってしまったのです。
それをたまたま、宴会に参加していた孫策の配下の一人が見つけます。
「あ!于吉先生がお出かけになる」
それを聞いた武将や賓客は、孫策を放り出し、進行役が押し留めるのも聞かずに、
外に出て行き、通り過ぎる于吉に争って挨拶をしたのです。
孫策は、恥をかかされると同時に戦慄しました。
ようやく王朗を追い出して会稽を支配したと思えば、会稽の人々の心をガッチリ
わしづかみにした于吉がいたからです。
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孫策は、生母や諸将が止めるのも聞かず于吉を処刑する
孫策は立腹して、すぐに部下に命じて于吉を捕えさせます。
すると、孫策の生母の呉夫人が于吉の助命を願ってきました。
「あの方は、貧しい人々の病を癒し、味方につければ軍も連戦連勝します
殺してしまってはいけません」
孫策は親孝行な男で、生母の諫言はよく聞く人物です。
しかし、孫策にとっては、今はそんな事が問題なのではありませんでした。
「あの男は、医者でもなく聖人でもなく、人を欺く妖術師です。
ご覧なさい、あやつは、礼儀も弁えず私の宴会をぶち壊し、諸将は、
この策を棄てて于吉に対して礼を尽くし、私に恥をかかせたのです
このような礼に反する輩を許すわけにはいきませぬ!」
呉夫人が引きさがると、今度は、国中の役人が、于吉を助命するように
山のような嘆願書を出してきます。
孫策はますます恐怖し、激しく機嫌を損ねる事になりました。
「諸君は、荊州の張羨(ちょうせん)が古来からの聖教を捨て去り邪教を信仰して
これで国を守ると言いながら、結局外夷に滅ぼされた故事を知らぬか?
君達は、于吉の妖術に騙されていて、それを悟れないのだ!!
これ以上、嘆願書は書くな!紙の浪費である」
孫策は、ただちに獄吏に命じて于吉の首を刎ねさせて、
その首を見せしめに城門に掛けてさらしました。
ところが于吉信仰とは、恐ろしいもので、それでも呉の人々は于吉の死を信じず
仙人となって昇天したのだと噂したそうです。
ほどなく孫策が死んだ事で、于吉仙人説が誕生した
江表伝では、于吉の話はこれだけの事で、もちろん祟りによって孫策が死んだ
というような記述はありません。
史実では孫策は許貢(きょこう)の食客に襲われ、頬を貫いた矢傷が悪化して死にました。
しかし、その死の時期と于吉を殺した時期が近かった為に、やがて・・
孫策は于吉の呪いで寿命を縮めたのだ、于吉は本当に仙人であったという噂が広まり
それを捜神記が収録して、三国志演義が援用して、于吉仙人説が、
広く定番化していったという事なのです。
于吉を斬った孫策は横暴だったのか?
于吉を巡る話では、孫策の無理難題が目立ち、于吉可哀想目線が多いのですが、
それは当時の江東の状況を考えないと公正ではありません。
最初に書いた通り、于吉のやっていた事は、あの張角と変わらず、支配者である
孫策を上回る人望も集めていました。
実在した仙人?史実でも孫策に殺されてしまう于吉(うきつ)
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