【世界版】死者同士の結婚「冥婚」は韓国・台湾・アフリカ・フランスにもあった!?

2017年8月13日


 

中国では、冥婚という古代から死者同士を結婚させるという儀式がありました。

冥婚は、中国では、冥契、冥配、幽婚、鬼婚、配骨、陰親、陰婚、等様々な呼称で呼ばれています。

中国では、葬式は遺族のみしか執り行うことができません。

また、中国の宗教間では、葬式で弔われなかった死者は、生者に災いをもたらすと考えられています。

そこで、冥婚を行い一族の祖先に加えることで、葬式を行い、死者を弔うことができます。

これは単純な結婚とは異なり、特殊な儀式と言う位置づけです。

 

関連記事:冥婚(めいこん)とは何?中国や三国志の時代に亡くなった人と結婚してた?

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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中国の制度、冥婚は世界中に存在する!?

 

日本でも、同様に冥婚で死者を弔う制度はありました。

これも通常の婚姻とは異なります。では、他国ではどのようだったのでしょうか。

今回は、世界各地の冥婚について御紹介致します。

 

韓国の冥婚

 

韓国の冥婚は、死霊祭において行われます。

死霊祭は死後数年経ってシャーマンによって司式されます。

この死霊祭において、死霊を「祖先神」というものに転換させるために

”未婚の死霊”や”不慮の事故で死亡した死霊”に対してなされる儀式として位置付けられています。

不慮の事故で亡くなった方を対象としている点に少し韓国の冥婚としての特色があります。

未婚の方が不慮の事故で亡くなった場合、死穢の観念が強くなりますので、

遺族にとって不吉なものとなります。

そのような観念を消す目的で韓国の冥婚が行われます。

韓国では、現在も冥婚が行われており、ニュースでも時折報道されているそうです。

死者の亡くなり方が事故や自殺など遺恨の残る場合を主として、

他には霊魂結婚による財産相続の問題の解消等のケースもあります。

しかし、遺族による慰霊を目的としてモノがほとんどです。

 

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アフリカの冥婚

 

アフリカでは、死霊と生きている人間が結婚するゴーストマリッジ(亡霊婚)があります。

中国や韓国での冥婚は、特別な儀礼であり、

少なくとも一般的な結婚と同列に扱われることはありません。

一方で、アフリカで諸部族の中で行われている冥婚、

亡霊婚はいくらか一般的な結婚の形態の一つとしてみなされているようです。

そうした意味では、アフリカでは冥婚は特殊性は無く、やや日常に近いものがあるかもしれません。

アフリカには、日本同様、ある種の結納の様なものがあり、

そのような物理的なやり取りの理由としても亡霊婚を用いているそうです。

 

フランスの冥婚

 

フランスでは、法律で死後の婚姻が認められています。

それは、フランスの民法171条1~3項で定められています。

これによれば、将来の夫婦の一方が死亡し、

死亡した者の承諾に疑いがないと考えられる場合かつ、それを行う重大な理由があれば、

婚姻を認めることができるものとされています。

婚姻の効力は亡くなった配偶者が死亡した前日から発生することが決められています。

しかし、遡って婚姻を認めるにもかかわらず、

財産の相続権等は生じず、婚姻関係があったとみなされるわけでもありません。

それにどんな意味があるのかと疑問に思うかもしれません。

しかし、理由はあります。婚姻をした配偶者は亡くなった配偶者との結婚が認められることで、

その子供を認知してもらうことができます。

フランスでは、未婚で相手を失った者の子供の為に、冥婚を行った事例もあるそうです。

 

関連記事:【三国志で例えるよ】初心者でも『ジャンヌ・ダルク』『百年戦争』が分かる。基礎&豆知識!

 

台湾の冥婚

 

台湾での冥婚は、少し恐ろしいものです。

紅包(アンパオ)と呼ばれる赤い封筒があり、これが冥婚に使われます。

本来紅包は御祝儀やお年玉、餞別等、お祝いや感謝を伝える用途で使われるものです。

しかし、冥婚で扱われる場合は違います。

まず、女性が未婚のまま亡くなると、遺族が紅包を道端に置きます。

紅包には現金や遺髪、死者の生前の写真等が入っています。

通行人がそれを拾うとそれを監視していた遺族が出てきて、死者との結婚を強要するというものです。

そのため、台湾で安易に赤い封筒を拾うことは危険であるという都市伝説のようなものがあります。

 

世界最古の冥婚!?中国の冥婚

 

冥婚は世界中で行われており、それは古来から行われていました。

大昔から行われていたと考えられますが、

尤も最古の記録はやはり中国の曹沖(そうちゅう)のものであると思われます。

曹操(そうそう)の子の一人、曹沖(そうちゅう)は、病で亡くなり、

それを悲しんだ曹操(そうそう)は曹沖(そうちゅう)のために冥婚を行いました。

曹操(そうそう)は、同時期に亡くなった甄氏(しんし)の娘の遺体をもらいうけて、

曹沖(そうちゅう)の妻として埋葬したという記録があります。

これが恐らく記録に残る一番最初の冥婚であると考えられます。

 

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三国志ライターFMの独り言

 

文明や考えは異なってはいても、冥婚は存在していたようです。

冥婚があった国は、主に中国と日本に加え、韓国や台湾、アフリカ、フランス等の国になります。

アジアに多いという印象ですが、地理的に遠い国にも存在していたことからも、

記録に無いだけでこれらの国以外にも冥婚はあった可能性があります。

その中でも、記録に残る最古の冥婚は曹操(そうそう)の執り行った者であると考えられます。

曹操(そうそう)はこういうことでは世界に先駆けていますね。

 

櫻井 義秀 著、死者の結婚:祖先崇拝とシャーマニズム、北海道大学出版会(2010)

 

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—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 

 

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三国志は、大昔の出来事ですが、物語をいろいろな視点や切り口で見ていくと、新しくて面白い発見があるのが好きです。 人物像や対人関係、出来事、時代背景、逸話等々、古い話とはいえ、学ぶべきところはたくさんあります。 埃をかぶせておくにはもったいない、賢人たちの誇りがあります。

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