高柔(こうじゅう)とはどんな人?魏で起こった不可解な事件を解決へ導いた法律の番人

2017年9月12日


 

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高柔(こうじゅう)。曹操の時代に法律に携わる仕事に就いてから曹髦(そうぼう)の時代まで、仕えることになった魏の重鎮で90歳で亡くなったそうです。蜀の老将・黄忠や呉の呂岱(りょたい)に匹敵するほど長生きした人ですが、彼は法律の番人として魏国で活躍しており、どんな小さい事件でもおかしな点があればしっかりと確認する人だったそうです。そんな彼が解決した事件を今回はご紹介したいと思います。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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兵士が逃亡

 

曹叡(そうえい)の時代、ある将軍の駐屯地から兵士が逃亡してしまいます。兵士の名を董礼(とうれい)と言いました。

 

 

彼は休暇の日に外出したまま戻ってこなくなってしまい、そのまま駐屯地に帰ってきませんでした。駐屯地では大騒ぎになり、董礼の奥さんである董盈(とうえい)を捕縛して、奴隷の身分に落とすように上奏されることになります。董盈は役所へ行って「私は冤罪です」と訴えたそうですが、誰も彼女の言葉を聞いてあげなかったそうです。彼女は役所が当てにならないと知ると廷尉(ていい)へ出頭して、自らの罪は冤罪であると訴えることになります。

 

董盈へ優しく尋問する

 

高柔は董盈がやってくると知ると部下に任せることをしないで、自らこの話を聞いてやります。高柔は董盈に「君は旦那が逃亡していないと言っているそうだが、どうしてそのように断言できるのだ」と述べます。すると董盈は「旦那は若い頃から身寄りのない生活を強いられてきました。そのためか自分の子供をしっかりと可愛がっておりました。そんな旦那が軍の生活がきついという理由だけで逃亡するとは、どうしても考えられないのです。」と口にします。高柔は頷きながら再度「君の旦那は人から恨みを買うようなことをしていないか」と彼女へ尋ねます。彼女は「恨みを買うようなことはしていません」ときっぱりと断言。さらに高柔は「旦那は金を他人に貸していたことはないか」と質問します。すると彼女は「以前同じ軍営にいた蕉(しょう)という人物に金を貸していたそうです。旦那は蕉へ金を返してくれと何度も請求したのですが、一向に返してくれなかったそうです。」と述べます。高柔は彼女の言葉を聞いてピンときます。

 

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蕉が牢獄されていることを思い出す

 

高柔は蕉が事件に加わって牢獄されていることを思い出します。すると高柔は蕉が投獄されている牢屋に行き、事件の事を二、三訪ねた後董礼の事件について尋ねることにします。

 

蕉を誘導尋問する

 

高柔は蕉へ「そう言えばお前。以前人から金を借りて返していないようだな」と問いただします。すると蕉は顔色を変えて「そんなことはありません。私は身寄りがありませんから人との付き合いを大切にしています」と答えますが、明らかに表情が変化してしまいます。高柔は彼に「お前。董礼という人物から金を借りて、返していないんだろう。」と語気を強めて再度質問。蕉は高柔が董礼の事を知っていることに驚いて、しっかりと彼の言葉に対応できなくなってしまいます。彼はこいつが董礼を殺害したと考え「お前が董礼を殺害したのだろう」と叱責。蕉は彼の叱責に観念してついに董礼を殺害したことを認め、董礼を殺害して彼の死体を埋めた場所と董礼殺害の方法を聞き出します。その後蕉が言った董礼の死体が埋められている場所を掘り返すと彼の遺体を発見。こうしてこの事件は董礼の逃亡ではなく蕉の殺害事件として処理されることになり、董盈の身分は平民として復帰し、彼女の名誉は保たれることになります。

 

三国志ライター黒田レンの独り言

三国志ライター黒田レン

 

董礼の事件は今後の戒めとするため、各地へ伝えれられることになります。その後曹叡が亡くなると彼は曹芳(そうほう)の時代に三公へ登ることになり、曹髦が皇帝の位に着くと領土を大きく加増されることになり、魏国の重臣として敬われる存在となるのです。

 

参考文献 ちくま文芸文庫 正史三國志魏書4 今鷹真・井波律子著など

 

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黒田廉(くろだれん)

黒田廉(くろだれん)

三國志が大好きです。オススメのマンガは曹操を描いた蒼天航路がオススメです。三國志の小説のオススメは宮城谷昌光氏が書いた三國志です。好きな食べ物はマグロ、ぶり、アジが大好きな猫です。

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