最近、キングダムで取り上げられるなどで、注目が集まっている藺相如(りんそうじょ)あのレジェンド武将、廉頗(れんぱ)と親友だったと言われる人物は実際には、どのような人物だったのでしょうか?
今回は中国史上最強の度胸の持ち主、藺相如を紹介します。
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この記事の目次
秦王のジャイアニズムに趙は困惑する
藺相如が活躍した時代は、現在の趙王の2代前の恵文王の時代でした。キングダムでは、秦が弱小で趙が強いような描かれかたですが、実際には、この頃から秦は強大な上に横暴な振る舞いが多く、周辺国は泣かされる事が多かったのです。そんな秦から、趙に対して、趙の宝物である玉で造った和氏の壁と、秦の十五城を交換しようと言う話が持ちかけられます。幾ら宝物とはいえ、玉は玉、血を流さずに十五の城と交換できるならお得な買い物ですが、相手は秦です、壁だけを取り上げて城は渡さない恐れもありました。
だからといって断れば、「こんな好条件を無視するとは我が国をバカにしている」と秦がジャイアニズムを発揮して趙を攻める可能性もあり、恵文王は悩み、群臣からは意見が百出しますが、誰もが秦王を恐れて、結論を出す事が出来ませんでした。その時に、たった一人で、手を挙げて使者をかって出たのが、中国史上最強の度胸を持つ男、藺相如です。
秦王、てめえ!約束を破ると壁を叩き割るぞゴルァ!
和氏の壁を受け取った藺相如は意気揚々と秦に向かい、秦の昭襄王(しょうじょうおう)に面会します。案の定、壁を受け取った秦王は、それを群臣に見せびらかし、一向に城の話をしません。騙されたと思った藺相如は「王よ、実は和氏の壁には細かい傷がありますその場所をお教えしましょうぞ」と言って、秦王に近づき、すばやく壁を奪い取ると敵に包囲されないように柱を背にして立ち、壁を高々と掲げました。
「趙では、秦が壁を騙し取るから取引に応じるなという意見が多かったぢゃが、ワイは庶民ですら人を騙すのは良しとしないから、まさか大国の秦が壁を騙し取るなどするわけおまへんと趙王を説得して、遥々、ここまで来たんや!それが、こんなザマかい!もうワイ、王様に会わせる顔があらへん、このまま、壁を叩き割り、ワイも柱に頭をぶつけて死ぬわィ!」
藺相如は全ての髪を逆立て、まなじりが裂けて、鬼のような形相、
(あかん、顔がオーガや、こいつはヤル、本当にヤル男や・・)
秦王は、壁を叩き割られては、たまらないとガクブル状態、渋々、地図を持ちだして、譲渡する十五城の話を開始しました。しかし、秦王が城を渡すまいと見た藺相如は密かに使者に壁を持たして趙に帰還させ、見事に趙の名誉を守ったのです。
リターンマッチ、趙と秦の交流会パーティー
紀元前279年、今度は秦から黽池(べんち)で秦と趙、両国の友好を祝おうというパーティーの招待状が届きました。ですが、黽池は秦の領地内で、仮に何かあっても、趙から援軍を送って間に会う場所ではありません。恵文王は恐れて、「私は行きたくない、恥をかかされる」と渋ります。ところが、重臣の廉頗が「行かなければ、秦の勢いを恐れたと吹聴され周辺国からもバカにされる事になりましょう、行くべきです」と
余計な事を言い
再び、藺相如がボディーガードとして恵文王を守り、僅かな兵士と共に、黽池に向かったのです。この時、恵文王は、もし秦に向かい、30日間音信がないなら、ただちに皇太子が即位して仇討ちの軍を起こせと命じています。それくらいに悲壮で必死の覚悟なのでした。
藺相如(りんそうじょ) 秦王を脅して瓶を叩かせ趙の名誉を守る
パーティーでは、またしても、秦王は横暴で上から目線でした。恵文王が弦楽器の名手だと聞くと秦王は、「ワイの為に一曲弾いてェな、ええやろ恵ちゃん?」とお願いします。恵文王は愛想笑いをしながら、「とても人様に聞かせられるような腕では・・」と断りますが、秦王は執拗に頼む事、三度に及んだので、とうとう、趙王は断れず渋々、一曲を披露しました。
すると、秦王は秦の記録官に
「今の、趙王が秦王の為に演奏したと書け!」と命じました。
それを見た藺相如はムカムカしてきました。(秦王は我が王を楽団員扱いにしておる、どうするか見ておれ)こうして、藺相如は和やかに秦王に近づくと、お酒の入った瓶を手に
「秦では、酒宴では酒瓶を叩いて歌うとか、どうか秦王、両国の友好の為に、瓶をチャリーンと鳴らして頂きたい」
確かに秦では、瓶を鳴らして歌う風習がありましたが、当時の中華では、それは下品な行いでした。
「バカな、、趙の臣下の癖に、ワシに田舎者の真似をしろと命ずるか!」
昭襄王が顔色を変えて叱ると、藺相如は薄ら笑いを浮かべて言いました。
「あんさんとワイの距離は僅か五歩、瓶を鳴らさないなら、ここで、ワイの首を刎ねて、あんさんの酒杯にワイの血を混ぜてもええんやで・・」
秦の護衛が駆け付けると、藺相如は、再び鬼の形相で睨みつけたので誰も動けません。(あかん、、またオーガや、、ワイ、殺されてまう・・)秦王はガクブルになってしまい、仕方なく酒瓶をチャリーンと鳴らします。すかさず藺相如は、趙の記録官に
「秦王、趙王の為に瓶を叩くと書け」と命じたのです。
秦王の為に十五城を渡せと言われて・・
藺相如に言いように秦王を凹まされ、秦の群臣は面白くありません。そこで、「秦王の長寿の祝いに趙の十五城を下され」と酔いに任せて言うと藺相如は賛同し「では、趙王の長寿の祝いに咸陽を下され」と言い返しました。形としては十五対1ですが、まさか秦の都を与えるわけにもいかず、秦の臣は沈黙してしまったそうです。このように、藺相如はたった一人の勇気と機転で、中華最強の秦王と渡り合い二度も凹ましたのです。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
以上、キングダムで人気急上昇の藺相如について書いてみました。彼は、実際に兵を率いて戦う人ではありませんが、死をも恐れぬ度胸は、中国史上でも随一ではないかと思いますね。
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