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【投げたらあかん!】阿斗を趙雲がキャッチする三国志ドラマがある

2018年4月12日


 

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劉備と曹操

 

三国志演義(さんごくしえんぎ)で、曹操(そうそう)軍の追撃を受けた劉備(りゅうび)が、自分を(した)ってついてきた民も

妻子もかえりみずスタコラサッサと逃走した長坂(ちょうはん)の戦い。

劉備の頼れるお守り刀武将である趙雲(ちょううん)が乱戦の中から劉備の長男・阿斗(あと)

助け出してくると、劉備は「ガキのために一人の大将を失うところであった」と言って、

まだ赤ん坊だった阿斗を地べたに放り投げました。

このシーン、2010年の中国ドラマ「三国志 Three Kingdoms」と

1994年の中国ドラマ「三国演義」とで演出が異なっております。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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二つの中国ドラマ

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【三国志Three Kingdoms】

2010年に中国で放送された連続テレビドラマです。

制作期間6年、制作費25億円、エキストラ15万人以上。

1994年のドラマ「三国演義」と比較され、「新版」や「新三国」などと呼ばれています。

 

【三国演義】

1994年に中国で放送された連続テレビドラマです。

制作期間3年、制作費100億円超、エキストラ10万人以上。

2010年のドラマ「三国志Three Kingdoms」が「新版」「新三国」と呼ばれているのに対し、

こちらは「老版」や「94版」などと呼ばれています。

 

新版「三国志 Three Kingdoms」で劉備が阿斗を投げるシーン

キレる劉備

 

新版の演出は、三国志演義のイメージそのままです。

聶遠(ニエユエンさんが演じるイケメンの趙雲が長い髪を振り乱しながら阿斗を抱えて

劉備の前にやって来ると、阿斗の無事を確認して嬉しそうに劉備に差し出します。

劉備は万感迫ったような表情(当惑げにも見える)で、阿斗を受け取るとも受け取らないとも

つかないようなロボットダンスのような手つきで阿斗を持つと、抱きよせることなくそのまま

腕を横に振って「エイッ」のかけ声とともに阿斗を自分の右手2mほどの地点に投げました。

 

ストロークが水平方向なので、飛行機の胴体着陸のようなイメージで

なるべく怪我させないように投げたのではないでしょうか。

阿斗を受け取った時の劉備の持ち方は、抱かないようにこらえていたようにも見えます。

子供は大事だが趙雲はもっと大事だと言いたげなこの感じ。

三国志的にはいい感じのシーンに仕上がっているのではないでしょうか。

 

古代中国・超科学の世界に挑戦する HMR

HMR  

老版「三国演義」で劉備が阿斗を投げるシーン

京劇の趙雲

 

老版の演出は、趙雲が阿斗を差し出すところまでは雰囲気があるのですが、

そこから先は三国志演義のイメージで眺めていると「あれっ?」という感じです。

張山(チャン・シャン)さんが演じる男前の趙雲が血まみれで左右非対称の表情

(激戦のストレスのためでしょうか)になりながら阿斗を懐から取り出すと、

阿斗の母親の甘夫人(かんふじん)が奪うようにして阿斗を抱きます。

三国志演義ではここで甘夫人は出てきませんが、母親の情が表れている演出として、

まあいいんじゃないでしょうか。問題はこの後です。

 

甘夫人から阿斗を受け取った劉備は大事そうに阿斗を抱き、阿斗をじっと眺めた後、

趙雲の血まみれの顔を見やります。

そして独り言風に「ガキのために一人の大将を失うところであった」と言うと、

意を決したように半泣き顔で「エイッ」と阿斗を投げますが、わずかな力で

斜め上方向にふんわりとトスしただけです。

そしてすぐそばにいた趙雲がキャッチ。

阿斗は地面に落ちていません。とってもマイルドな演出です。

劉備さん、趙雲がどこにいるか目視で確認してからそっとパスしただけなのでは……。

 

マイルド演出の背景を想像してみる

 

老版ドラマには「三国志演義」よりも古い三国志物語の本である「三国志平話(さんごくしへいわ)」のネタも

出てくるので、「三国志平話」では阿斗を投げないことになっているのかなと思って

調べてみましたが、「三国志平話」にもしっかり「擲于地上(地上になげうつ)」と

書いてあります。とするとパス&キャッチはドラマのオリジナル演出でしょう。

 

劉備は優しい人だから赤ちゃんを地面に投げたりするわけない、という解釈に基づく

演出でしょうか。あるいは、人権を重視する現代において幼児虐待(ようじぎゃくたい)のような描写を

することをはばかったのでしょうか。想像は尽きません。

ちなみに、演出の蔡暁晴(ツァイ・シャオチン)さんは女性です。

女性だから赤ちゃんに優しいとはいちがいに言えませんが。(個人差ありますよね、きっと)

   

三国志ライター よかミカンの独り言

よかミカン

 

私は老版の演出を初めて見た時、一瞬「ワオ、マイルド!」と面食らいましたが、

めいっぱい投げたつもりでもふんわりになってしまう劉備さんに対して

じわじわ好感がわいてきました。

三国志的にキレのある新版の演出と、マイルドすぎて劉備の意図が不明確に

なってしまっている老版の演出。みなさんはどちらがお好きでしょうか?

ぜひお友達と語らってみて下さい!

 

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三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。 個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。 三国志小説『ショッケンひにほゆ』 【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】 何か一言: 皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。 妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。 読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

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