三国志や曹操を分かりやすく紹介|はじめての三国志

menu

はじめての変

かわいそうな阿斗(あと)の壮絶な人生

劉禅
この記事の所要時間: 349

劉禅

 

阿斗(あと)、劉備の息子劉禅(りゅうぜん)の幼名です。

 

中国語辞典でこれを引くと、

「阿斗A Dou」→「ばか者、あほう、ろくでなし」と出ます。

 

劉禅は、

有能な諸葛孔明の補佐を受けながらも、

うまく立ち回ることができず、

しまいには蜀漢を滅ぼしたということで、

後世の人々から、残念すぎる男という烙印が押されてしまいました。

 

蜀漢の皇帝にもなった人なのに……!

諱(いみな)でも、字(あざな)でもなく、

幼名で呼ばれてしまうという屈辱的な扱いの上、

ばかを示す慣用句にもなってしまったかわいそうな阿斗。

 

この涙なしには語れない、阿斗の受けた数々の災難を

まとめてみました。

 

 

 

本来の阿斗の意味

劉備と4人の妻

母親の甘(かん)夫人は妊娠中、

北斗七星をのみこむ夢を見ました。

 

そこでおなかの子供は北斗七星の加護を受けた

輝かしい男児に違いないと確信し、

阿斗と名付けました。

 

「阿」は「~ちゃん」という意味ですので、

「北斗ちゃん」という雰囲気の幼名になります。

 

この当時にまだ道教は確立しておらず、その原型となる

太平道、五斗米道などが発生したばかりの頃ですが、

道教において北斗七星というのは、重要な神です。

当時すでに北斗七星を神格化する考え方が広まりつつあったと

考えてもよいでしょう。

 

阿斗は、ともすれば神の申し子では!?

という期待のもとに生まれた子供だったのです。

 

ところが実際は……。

 

関連記事:妻子を人質に取られすぎな劉備

関連記事:三国志の劉備が愛した4人の妻を紹介

 

生まれてすぐ、戦火の中におきざり

逃げる劉備追う曹操

 

208年、荊州に滞在していた劉備(りゅうび)のもとへ、

曹操(そうそう)が攻めてきます。

劉備は必死に逃げますが、曹操の精鋭部隊に追いつかれてしまい

混戦状態となります。

 

劉備は、大将が死ぬわけにはいかないということで、

いち早く逃げます。

 

このとき阿斗は、

劉備の正室である糜(び)夫人と行動を共にしていました。

生母の甘夫人は側室でしたので、阿斗は正室の糜夫人に嫡男として

育てられていたのかもしれません。

 

関連記事:曹操の迅速な機動力VS劉備の逃げ足の速さ

関連記事:曹操、孔明の実力を確認すべく劉備討伐の兵を挙げる 

 

戦場で、命に係わる恐怖の体験

 

生まれたばかりの乳児だった阿斗は、

糜夫人に抱かれ、戦場を逃げまどいました。

 

この際に糜夫人は致命傷を負います。

車から転がり落ちるとか、兵士に刺されながらも命からがら逃げるとか、

そういう目に遭ったと考えられます。

阿斗も一緒に、本当に怖い思いをしたに違いありません。

 

 

目の前で、育ての母が自殺

超雲 阿斗 守る ゆるい

このとき、趙雲(ちょううん)が単騎で駆け戻ってきました。

阿斗と夫人らを救出に来たのです。

 

糜夫人は阿斗を趙雲に託します。

ですが、致命傷を負っていたために、足手まといになることを怖れ、

井戸に身投げして自殺してしまいます。

 

阿斗は目の前で、養母を失ってしまうのです。

 

父は喜ぶどころか、阿斗を投げ捨てる

趙雲 長坂の戦い

戦場におきざりにされた阿斗は、

助けに来た趙雲(ちょううん)の胸に抱かれて陣中へ戻ります。

 

劉備は、ここで幼い息子を抱きしめて涙を流して喜ぶ……、

ということはせず、

再会を喜ぶどころか、

な、なんと、阿斗を地面にたたきつけます。

 

……死にますっ! 死にますって、アニキ!!

 

そして

「こんな子供のために、趙雲みたいな有能な部下をなくすところだった!」

と叫ぶのです。

完全に八つ当たりです。

 

劉備の言葉に感激する趙雲の横で

地面に転がり泣きじゃくる阿斗……、かわいそうですね。

 

関連記事:迫りくる曹操軍50万、絶望的な退却戦 長坂の戦い

関連記事:捨てる神あれば、拾う神、劉備、趙雲と再会

 

生母とも死別

photo credit: Mohnblume via photopin (license)

photo credit: Mohnblume via photopin (license)

 

無事に命を繋いだあとも、

そう簡単に平穏な日々は訪れませんでした。

 

生母の甘夫人が、病で亡くなってしまったのです。

養母、生母ともに、亡くしてしまった阿斗はひとりぼっちです。

 

もちろん忙しい父親が、かまってくれるはずもないでしょう。

心に抱えた空虚な想いは、膨れ上がるばかりでした。

 

 

まもなくやってきた義母は武器マニア

孫尚香

 

甘夫人の死後まもなく、劉備のもとには孫権の妹が嫁いできます。

孫尚香(そんしょうこう)という名で知られた女性です。

ここでは、孫夫人と記します。

 

孫夫人は、少し変わった趣味を持っていて、

武器が大好きで、部屋をものものしい武器で飾り立て、

侍女たちをいつも武装させていたといいます。

 

彼女の部屋を訪れるとき、

劉備はいつもびくびくしていたといいますから、

幼い阿斗は言わずもがな、おそろしくてたまらなかったでしょう。

 

「ぼく、逆らったら殺される……!」

 

そんな危機感さえ、抱いていたかもしれません。

 

関連記事:孫尚香ってどんな人|孔明に曹操、孫権と並び評された人物

関連記事:荊州争奪戦、荊州がどうしても欲しいんです

関連記事:蜀を得た事で呉と荊州の支配問題が再燃する

 

呉に拉致される寸前

孫権 劉備 対立
それでも、孫夫人と阿斗はだんだんと親しくなっていきました。

生まれてすぐに母を失った阿斗にとっては、

孫夫人の存在は大きなものだったに違いありません。

 

しかし2年後、劉備と孫権(そんけん)の関係にひびが入ります。

当時劉備は、入蜀のために戦に出ていて、

孫夫人と阿斗は、拠点に残されたままでした。

 

そこへ孫権から妹へ、

呉へ戻ってくるようにとの手紙が来ます。

 

孫夫人はこのとき、阿斗を一緒に連れて行こうとします。

 

孫権への手土産に、劉備の嫡男を人質に連れて行こうと思ったのかも

しれませんし、

阿斗がたいへん孫夫人に懐いていたために、

ちょっと旅行に連れて行こう、すぐに戻ってくるし、

という気持ちだったのかもわかりません。

 

しかし、劉備の家臣たちからすると、

嫡男誘拐ということで、大事件です。

 

張飛と趙雲が追いかけ、孫夫人から力づくで阿斗を奪い返しました。

以上、幼い阿斗の身に起こった様々な事件でした。

 

 

こちらの記事もよく読まれています

劉禅

 

よく読まれてる記事:蜀滅亡・劉禅は本当に暗君だったの?

 

劉禅 韓非子

 

よく読まれてる記事:劉禅が読んだ韓非子ってどんな本?

 

13人の妻達(曹操)

 

よく読まれてる記事:三国志の覇者・曹操の妻13人を紹介!

 

 

この記事を書いた人:東方明珠

東方明珠 三国志

■自己紹介:

はじめての三国志、

通称「はじさん」のはじっこライター東方明珠です。

普段は恋愛系のノベルやシナリオを書いています。

関連記事

  1. 頴娃 おとぼけ 【真田丸】三谷幸喜ならやりかねない?実は生きていた真田信繁!!頴…
  2. 孔明 出師 【悲報】孔明の発明品で戦死した人物が実在した。鎧を過信した南朝宋…
  3. 岳飛 【神になった名将対決】劉備三兄弟の一人関羽VS救国の英雄・岳飛 …
  4. 連幹の計 呂布 貂蝉 【三国志の疑問】女性を巡る男の戦いはどこまで真実なの?史実と演義…
  5. 吉川英治様表紙リスペクト 日本人にとっての『三国志』の原点……吉川英治『三国志』
  6. 蒼天航路 【ネオ三国志】第1話:蒼天航路の主人公・曹操立つ
  7. 曹操 詩 曹操の魅力とは?武将アンケート同立2位
  8. 劉備 結婚 劉備暗殺計画|甘露寺の婚儀と錦嚢の計 その2

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 関興と張苞
  2. 張飛サムネイル
  3. 張飛の最後
  4. 袁紹の妃06 袁尚、袁譚
  5. 泣いて馬謖を斬る
  6. キングダム
  7. 真田丸 武田信玄
  8. 竹 f
  9. 魏延、姜維、王平、楊儀
  10. かなえ 鼎

おすすめ記事

  1. 激務をちょっと忘れられるホッと一息の「ユルめ記事」2016年総集編 激務をちょっと忘れられる三国志まとめ
  2. かわいそうな阿斗(あと)の壮絶な人生 劉禅
  3. 130話:孔明無言の帰還と魏延の最後 魏延、姜維、王平、楊儀
  4. 将軍ハンニバルとはどんな人?韓信と同時代にローマを震撼させた漫画みたいなスゴイ奴 ハンニバル
  5. 三国志演義と正史で大違い?劉備の恩人、公孫瓚 公孫攅と劉備
  6. 【呂布の心に響いた名言】その肉を飽かしむべし。飽かざれば人を咬まんとす 朝まで三国志 呂布 劉備

三國志雑学

  1. 朝まで三国志 呂布
  2. 袁紹モグラ作戦
  3. 孔明
  4. 若かりし劉備 チャライ★
  5. 帰宅は5日に1度(泣) 三国志の武将

ピックアップ記事

  1. 赤兎馬
  2. 董卓
  3. 甲 f
  4. 李典
  5. 信 キングダム
  6. 司馬懿と公孫淵
  7. 週間三国志
  8. 表情 董卓04

おすすめ記事

旅馬 三国志 東方明珠のへなちょこ長安旅行記 その4 photo credit: Wisdom - Seeds of Light via photopin (license) 田横(でんおう)ってどんな人?不撓不屈の精神で正義を模索した王の生涯 廖化 四龍将 廖化(りょうか)ってどんな人?蜀漢成立~滅亡まで戦い続けた蜀の将軍 朝まで三国志 朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ(笑) 第8部 楽進 【俺たちだって五虎将だ!】魏の五虎将たち~楽進・于禁篇~ 夏侯惇 夏候惇と言えば独眼竜? photo credit: SEALDs demonstration via photopin (license) 【よくわかる】SEALDsは後漢時代にも存在した?党錮の禁とSEALDsの共通点 夏侯惇 夏侯 惇(かこうとん)ってどんな人?| 曹操に最も近い男

おすすめ記事

  1. 「はじめての三国志」のロゴが完成しました はじめての三国志
  2. 「楚」ってどんな国?キングダム戦国七雄を徹底紹介 photo credit: Blue and Green via photopin (license)
  3. 東方明珠のへなちょこ黄河旅行記 その2 旅 三国志
  4. 86話:張松という男が劉備の運命を左右する  張松
  5. 曹操が呟いた「鶏肋(けいろく)」って何?楊修とばっちり 曹操 鶏肋
  6. 史上最高の天才将軍 韓信(かんしん)は性格にかなり問題あり? 韓信 股くぐり
  7. 諸葛瑾(しょかつきん)ってどんな人?偉大な孔明の兄はどうやって乱世を生き抜いたの? 諸葛瑾2
  8. 【光武帝の伝説の戦い】劉秀の評判がこんなにも高い秘密はここにあった! 光武帝

はじさん企画

袁術祭り
特別企画
異民族
諸子百家
春秋戦国時代
日常生活
はじめての三国志TV
PAGE TOP