戦国時代の革命児・織田信長が畏怖し、安土城を建城したと伝わる戦国最強の上杉謙信。三国志の英雄・曹操に立ち向かい、遷都させる寸前まで追い込んだ関羽。共に素晴らしい武将ですが、この二人にはどうやら共通点がありそうです。
上杉謙信の義
二人の共通点といえば、やはり「義に篤い」という点でしょう。血で血を洗うような戦国乱世にあっても、二人の義には敵・味方の隔たりがありません。上杉謙信は私利私欲のための侵略はしなかったといいます。さらに他国が、大義名分のない侵攻を受け、その援軍を乞われた際には、上杉謙信は出陣しています。
宿敵である武田信玄が、駿河の今川から塩止めを受けた際には、今川の卑怯なやり方に憤り、勝敗は戦でつけるとして武田に塩を送りました。これぞ「敵に塩を送る」の語源ですね。
関羽の義
関羽の義は、主君であり三国志演義の主役でもある劉備の仁すら超越したものでした。赤壁の戦いの際、敗走する曹操を追撃する任を受けた関羽は、命令に背かないという誓紙を諸葛孔明に渡します。しかし、華容道で曹操に遭遇した関羽は、かつての恩を返すために曹操を見逃しました。
例え自分の命を犠牲にしてでも義を貫くという関羽の姿勢は、高い評価を受けています。これぞ究極の義です。だからこそ関羽が亡くなるシーンを空白にしたものや、塗りつぶしたもの、直接的な死の表現を避けるといった作品が多かったわけです。
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この二人がぶつかり合ったら
上杉謙信、関羽、この二人の義に優劣はつけられないでしょう。戦場では無類の強さを誇りながら、義に篤い上杉謙信と関羽は、多くの武将のリスクペクトを受けています。では戦ったらどうなるのでしょうか。裏表のない二人です。そして自分の武に絶対の自信を持っています。この二人が戦場で激突するシーンは見ごたえ充分ですね。軍略にも長けていますから、ただやみくもに猪突猛進していくわけではありません。敵の布陣や環境を考慮し、効果的に攻撃を仕掛けます。
第4次川中島の戦いでは、上杉謙信は自らを囮とし、妻女山に陣を置き、武田信玄を野戦に引きずり出しました。樊城の戦いでは関羽は水攻めを行い、敵将の于禁、龐徳を捕らえています。二人の戦い方は単純な力攻めだけではないのです。
軍神対決はどっちが勝つ?
白黒はっきりさせるべきかもしれませんが、こればっかりはどっちが勝つと言えないですね。「互角」というのが私の見解です。(それありかい!って怒られそうですが)でも互角ってかなりレアなケースなんです。
例えば、本多忠勝と張飛が戦ったら、本多忠勝が勝つなって判定しますし、織田信長と曹操が戦ったら、曹操が勝つなって判定します。
(私の勝手な見解ですが)
ただ、こと上杉謙信と関羽に限っては勝敗がつけられない。イメージ的には死力を尽くしてぶつかり合って、それでも互いに一歩も退かない。そして互いに好敵手と認め合うみたいな感じですね。その後も50回戦って、50回引き分けみたいな。
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三国志ライターろひもと理穂の独り言
正直なところ上杉謙信と関羽の敗戦シーンは見たくないという思いがあります。うーん、難しいテーマですねー。皆さんはどっちが勝つと思いますか?場所がどこなのか、季節がいつなのか、兵力がどれほどなのか、味方は誰なのかによって話は変わってくると思いますが、優劣つけられるんでしょうか。
仮に優劣がつけられるとしたら、それは戦をする理由にあるかもしれません。どちらに義があるのか、より強い義が感じられる方が勝つと思いますね。そして負けた方も納得づくで首を討たれるのではないでしょうか。いろいろ考えてみると、一番戦ってほしくない対戦カードが「上杉謙信VS関羽」だということに気づきました。