三国志平話
潼関の戦い特集




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

『三国志演義』の諸葛亮像は明代の英雄を模してつくられた!?

悪い顔をしている諸葛亮孔明
この記事の所要時間: 345




諸葛亮

 

三国志演義』でその類まれな才覚を発揮して蜀を勝利に導く天才軍師・諸葛亮(しょかつりょう)

その多才さに憧れを抱く人も少なくないでしょう。

 

しかし、『三国志演義』の諸葛亮は正史『三国志』と比べると

盛りに盛られていることに気づきます

 

勿論正史でも天才ぶりを発揮していますが、

『三国志演義』の諸葛亮の奇才ぶりは既に人というより神に近いですよね…。

 

実は『三国志演義』では元々の諸葛亮像にある人物のエッセンスが加えられて

オリジナルの諸葛亮像が創り出されたのだとか。

今回はその「ある人物」に焦点を当ててみたいと思います。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:【諸葛亮のノアの方舟計画】長坂での別行動は劉備軍温存?

関連記事:もう見てられない!王朗と諸葛亮の舌戦が学芸会レベル

 

 

『三国志演義』の諸葛亮のモデルは明建国の立役者

劉基

(画像:劉基Wikipedia)

 

今から700年近く前、漢民族がモンゴル人によって支配されていた時代がありました。

それは、元です。

野蛮な異民族に中華の覇権を奪われたということで漢民族にとって屈辱の時代でした。

 

そんな時代に終止符を打つ人物が貧しい農家の家に生まれます。

後の明王朝初代皇帝となる朱元璋(しゅげんしょう)です。

 

しかし彼はとても不幸でした。

飢饉は起こるわ凶作は続くわで家族は全員餓死。

朱元璋は皇覚寺に身を寄せるものの、

乞食のような身なりで長いこと彷徨い歩くことになったのでした。

 

不幸すぎる朱元璋でしたが、占いによってその当時元に対する反乱を起こしていた

紅巾軍に加わることを決めて郭子興(かくしこう)の配下となってからは大活躍。

そんな朱元璋の名声を聞いて各地から名望家が集結。

その中には「ある人物」の姿がありました。

 

浙東の四先生・青田の劉基(りゅうき)です。

朱元璋の臣下となった劉基は、軍師として華々しい活躍を見せ、

漢民族に中華と誇りを取り戻したのでした。

 

 

あの戦いでの諸葛亮の智謀は劉基のものだった!?

黒船

 

再び中華に返り咲いた漢民族は朱元璋はもちろんその功臣たちを称えました。

その中でも特に人気が高かったのは劉基です。

 

劉基の軍師としての才覚はもちろん、その公正な性格も人々に愛されました

人々は劉基を口々に称え、ついに劉基は小説デビュー。

『英烈伝』では主役であるはずの朱元璋を食う勢いの活躍ぶりを見せています。

 

その中でも特に目を引くのは鄱陽湖の戦い。

元紅巾賊で、湖北・江西を抑えて陳漢皇帝を名乗った英傑・陳友諒(ちんゆうりょう)

数百隻の軍船を率いて鄱陽湖に押し寄せます。

 

これを南京を抑える朱元璋軍が迎え撃つ形になりました。

陳友諒軍の兵は60万、それに対して朱元璋軍は20万。

数の上では陳友諒が優勢でしたが、朱元璋軍は軍師・劉基の智謀によって

約三か月もの間互角に戦って見せたのでした。

 

しかし、この長い膠着状態は敵だけではなく味方も弱らせます。

劉基は一気にかたをつけるべく大きな軍船を繋いで水上に大要塞を築く陳友諒軍に対して

爆薬を使って応戦しますが、思うように相手にダメージを与えることができないでいました。

 

両者の根競べはまだ続くかに思われましたが、気まぐれな勝利の女神が朱元璋軍に微笑みます。

突然強風が吹き荒れたかと思うと、真っ赤な炎と黒い煙がみるみるうちに

陳友諒軍の大船団をのみこんでいったのです。

これにより陳友諒軍は大打撃を受け、戦は朱元璋軍の大勝利に終わったのでした。

 

…あれ?

なんか似たような話知ってるような気がする…。

はい、あなたの勘は正しいです。

 

そうです。

赤壁の戦いにそっくりなのです

赤壁の戦い

 

実は、この鄱陽湖の戦いが『三国志演義』における赤壁の戦いのモデルであり、

そのとき軍師として活躍した劉基の智謀が

『三国志演義』における諸葛亮の智謀のモデルとされたのでした。

 

赤壁の戦いを斬る!赤壁の戦いの真実
赤壁の戦い

 

諸葛亮に投影されたのはその智謀だけではない?

孔明

 

また、劉基には未来を見通す不思議な力があったとされています。

ある日、朱元璋が焼餅(シャオビン)という

今でいうハンバーガーのバンズみたいなものを食べていたとき、

劉基が朱元璋の元を訪れます。

 

このとき朱元璋は食べかけの焼餅をお椀の中に隠して

「私が食べていたものは何でしょう?」

とおもむろにクイズを出しました。

 

すると劉基は占いをしはじめ、

まるで歌うように次のように答えたのでした。

 

「半ば日のよう、月のよう。

かつて金龍に一噛みされて欠けている。

それは食べ物ですね。」

 

朱元璋は劉基の占いが当たったことに大層驚き、明国の将来についても占ってほしいと頼みます。

頼みを受けた劉基は明の未来を暗示する詩を詠ってみせたのでした。

 

三国志ライターchopsticksの独り言

三国志ライターchopsticksの独り言

 

こんな逸話の残る劉基でしたから、きっと先を見通す超能力を持っているのだと人々は妄想。

その妄想は諸葛亮にまで飛び火し、

『三国志演義』で妖術さえも操るスーパー軍師・諸葛亮が誕生したのです。

 

そしてどうやらその謹厳実直な諸葛亮の性格まで劉基のキャラクターを模したものなのだとか

諸葛亮を当時の漢民族にとって身近な英雄である劉基の姿になぞらえたからこそ、

『三国志演義』は当時の人々に受け入れられ、かつ愛されたのでしょうね。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:【新事実】三国志演義の孔明!実は絶大な人気を誇った天才軍師をモデルとしていた!?

関連記事:そうなの!劉備と孔明は故郷について真逆のスタンスだった

 

覇を競う乱世に新たな秩序を打ち立てた曹操の生涯
曹操孟徳

 

chopsticks

chopsticks

投稿者の記事一覧

清朝考証学を勉強中。
銭大昕の史学考証が専門。
片田舎で隠者さながらの晴耕雨読の日々を満喫中。

好きな歴史人物:
諸葛亮、陶淵明、銭大昕

何か一言:
皆さんのお役に立てるような情報を発信できればと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

  1. 【コワいモノ比較】アメリカ人は悪魔、フランス人は狼、中国人は○○…
  2. 千数百年経っても面白い!?三国時代笑い話
  3. 若き日の曹操の優れた危機察知能力と後漢王朝への忠義心
  4. ギャップに驚き!禰衡だけでは無かった!Mr.天然、曹植の裸踊り
  5. 【正史三国志から見る】謀反人にされてしまった魏延は本当に反逆する…
  6. 三国時代の意識の高い役人たちが持ち歩いた七つ道具とは
  7. 曹操敗れる|幾重にも張り巡らされる孔明の罠
  8. 曹操を好きになってはいけない6つの理由

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 兗州人がパッとしない理由は地元群雄が壊滅したからだった
  2. 三国志時代の字体とは?現代でも通じるの?
  3. 遊牧民の衝撃の髪型 辮髪(べんぱつ)って何?
  4. 趙雲の妻、孫夫人がお茶目すぎる!ほんのいたずらが夫を殺す羽目に!
  5. 【西郷どん】日米修好通商条約って何が問題だったの?
  6. 【三国志とお金】五銖銭が鋳造された本当の理由 まだ漢王朝で消耗しているの? お金と札

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. はじめての三国志編集長 kawauso
  2. 残忍な曹丕

おすすめ記事

呂布の配下、八健将(はちけんしょう)とはどんな人たち? 【架空戦記】時空を超えた最強対決!人中の鬼人・呂布VS楚の覇王・項羽 はじめての三国志チャンネル 第1回目 – 三国志に興味を持ったきっかけ 【002】 劉勲(りゅうくん)とはどんな人?袁術病死の後継者は「泣く子を救う」なのか!? 【大三国志 攻略9】ついに天下乱舞にも春が来た!念願のあれをついに経験しました! 史上最強の交渉術を備えた縦横家ってどんな人? 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース38記事【3/6〜3/12】 三国志時代のセキュリティはどうなっていたの?何でもかんでも機密保持じゃい!

おすすめ記事

  1. 第4話:袁術くん、時間の使い方を上手くなるため「タイムマネジメント」を学ぶ
  2. 【if三国志】赤壁の戦い前に呉が魏に降伏していたらどうなったの? 呉の孫権
  3. 王烈(おうれつ)を知っていたら三国志マニア?名声をもっていながら民衆として生きた名士
  4. 空城の計って何?門を開けて敵軍をお出迎え?
  5. 堀田正睦vs孝明天皇、地味な老中首座の実力とは?
  6. 東方明珠のへなちょこ洛陽旅行記 その1
  7. 【センゴク】なんで西の覇者・毛利家は織田信長と敵対し続けたの?
  8. 橋本左内の本「啓発録」をサクッと解説!西郷隆盛も認めた天才の名言とは?

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“西遊記"

“三国志人物事典"

PAGE TOP