五丈原の戦いは緊張感に乏しい戦だった?


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蜀が陣地しているテント

 

諸葛亮(しょかうりょう)が陣没した戦いとして有名な五丈原、幾つもの描写がある事で、

その五丈原が台地である事はよく知られています。

しかし、一方で司馬懿(しばい)は対峙していた事が分かるだけで、

どこに布陣していたのか知っている人は少ないと思います。

ですので、今回は両者が対峙した渭水盆地(いすいぼんち)の状況を解説します。

 

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司馬懿は馬冡という高台に布陣

司馬懿は馬冡という高台に布陣

 

では、ここに現在の地図ではありますが渭水周辺の地図を載せます。

 

五丈原がボコッと盛り上がり台地である事が分かりますが、

東の方にも薄っすらですが、高台がある事が分かりますね?

ここは馬冡(ばよう)という地名の台地で標高10メートル内外ですが、

平地よりは高いので、司馬懿はこちらに布陣していたようです。

 

二つの台地の間は渭水が溢れて切り開かれた平地であり、

沢山の農民が農作業に従事していました。

つまり、司馬懿と諸葛亮は、なだらかな盆地にボコっと突き出た

二つの台地の上に布陣してお互い罵り合っていたのです。

なんだか悲痛な五丈原のイメージと違い牧歌的な雰囲気ですね。


孔明が挑発していた理由

孔明が挑発していた理由

 

さて、両者が台地の上に布陣していた事で一つの謎が解けます。

それは、孔明がどうして、ひたすら司馬懿を挑発して

決戦に持ち込もうとしていたか?という疑問です。

 

つまり、手勢が少ない蜀軍が司馬懿を攻めるとなると、

標高10メートル内外とはいえ、台地を登らないといけなくなります。

もちろん司馬懿はそれに備えて、弩を装備しておき、

登ってくる蜀兵を狙い撃ちにしてくる事でしょう。

上から下を狙うのは、非常に容易ですから孔明は不利です。

 

それでは割に合わないので、なんとか平地に引きだして、

会戦に及ぼうと、諸葛亮は、あの手この手で司馬懿を挑発し

馬冡台地から引きずり降ろそうとしたのです。

もちろん、蜀軍を撃退すれば任務完了の司馬懿が挑発に乗る事はなく、

諸葛亮は健康を損ない陣没するわけですが・・

 

北伐の真実に迫る

北伐  

橋頭保を築いて序盤を有利にした諸葛亮

序盤を有利にした諸葛亮と対峙する司馬懿

 

地図の□の囲いは、諸葛亮が築かせた橋頭保(きょうとうほ)があったポイントです。

途中に流れる河は武功水(ぶこうすい)と言い、司馬懿は蜀軍にここを渡らせまいと

先に武功水の対岸に布陣しようとしました。

 

しかし、諸葛亮は機先を制して別動隊を派遣し橋頭保を築き

司馬懿が対岸に拠点を築くのを妨害したので、水際で蜀軍を抑えるのを諦め

お互いに台地の上でにらみ合いをする羽目になったのです。

 

また、攻めではあまり優秀ではなかった孔明も陣地構築は上手で

戦争が終わってから五丈原の陣地跡を視察した司馬懿は天下の奇才と

感想を残しています。


渭水の農民が眺めていた五丈原の戦い

餓死する村人

 

もうひとつ、五丈原の緊張感が削げる話をすると、

この渭水盆地は、適当な河と平坦で肥沃な土地だったので、

沢山の農民が住んでいました。

 

諸葛亮も肥沃な土地に目を付けて、蜀兵に現地の農民と混ぜて、

屯田をさせていますし、蜀軍が退却した事を司馬懿にチクったのも

ここ渭水の農民でした。

元々、蜀軍に動きがあれば知らせるように言われていたのでしょうが

農民の監視の下で戦われた戦争というのも珍しいですね。

 

父「あんれま!蜀の連中が引き上げていくべ」

子「父っつぁん、オラ、ちょっくら大将軍様に報告してくるだ」

父「ちょと待て!褒美をもらうのを忘れるでねえぞ」

子「あいよ!」

 

きっと、こんなやり取りがあったのでしょう。

実際、渭水の農民は(はし)って司馬懿に告げたと漢晋春秋にはあるので

なんか褒美も早いモノ勝ちだったんですかね。


  

 

三国志ライターkawausoの独り言

三国志ライターkawausoの独り言

 

土井晩翠(つちいばんすい)の詩の星落秋風五丈原を聞くと、ひたすらに寂しく厳しい

五丈原ですが、渭水の農民から見れば、二つの台地に陣取った両軍が、

ただ距離を隔てて陣太鼓を鳴らし、わちゃわちゃやっているだけの

緊張感に乏しい風景だったかも知れません。

 

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