【横山光輝三国志】イリュージョンで世を去る諸葛亮

2018年8月23日


 

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孔明

 

(しょく)丞相(じょうしょう)諸葛亮(しょかつりょう)はとても人気のあるキャラクターで、三国志のお話の中では

諸葛亮臨終(りんじゅう)のシーンはとてもドラマチックな演出がなされていることが多いです。

対魏遠征の前線・五丈原で病にたおれ、志なかばで世を去る諸葛亮。

哀感たっぷりなシーンです。

 

横山光輝さんの漫画『三国志』を見ていると、どうもイリュージョンっぽく見えて

ちょっとだけ面白い感じになってしまっているのですが……。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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三国志演義の臨終シーン

三国志演義の臨終シーン

 

まずはエンタメ系三国志のバイブルである三国志演義(さんごくしえんぎ)の演出を見てみましょう。

重態に陥り、部下に遺言をして皇帝あての遺書も書き意識不明になった諸葛亮。

そこに、勅使の李福(りふく)がやってきます。

 

李福は諸葛亮の後継者候補を聞いておきたかったのですが、

もはや聞くことができなくなったと思い嘆きます。

しばらくすると諸葛亮は意識を取り戻し、李福の質問に答えます。

 

「後継者は蒋琬(しょうえん)がよい」

「蒋琬の次は誰がよいでしょう」

費禕(ひい)がよい」

「費禕の次は」

「…………」

返事がないのでのぞき込んでみると、すでに息絶えていました。

国の先々のことについて思い(わずら)いながらなくなったのかなというような哀切きわまるシーンです。

 



1994年の中国ドラマ三国志の臨終シーン

 

1994年に中国で放送されたテレビドラマ三国演義では、第77話が秋風五丈原です。

このドラマでは、李福の「費禕の次は」という質問には首を振って沈黙しています。

その後、諸葛亮は四輪車に乗って陣営を見てまわりました。

 

丞相が重病だと知っている兵士たちはその閲兵する姿を見て、感極まった調子で

口をそろえて「丞相、ご自愛下さい」と言い平伏します。

蜀軍の士気が極めて高いことと諸葛亮を慕っている様子がよく現われている描写です。

その様子を眺めた諸葛亮の目から一すじの涙。

 

天を仰ぐと、そこには「克複中原(こくふくちゅうげん)」と書かれた軍旗がひるがえっています。

「もう陣に臨み賊を伐つことはできなくなった。悠々(ゆうゆう)たる蒼天よ、なぜかくも薄情なのか」

ゆっくりと目を閉じる諸葛亮。

カットが切り替わり、四輪車に乗っている諸葛亮の手元が映ります。

そして手に持っている羽根扇(はねせん)がぽろり。

 

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2010年の中国ドラマThree Kingdomsの臨終シーン

桃園三兄弟

 

2010年の中国テレビドラマ「三国志 Three Kingdoms(原題:三国)」では、

第94話にそのシーンがあります。

重態(じゅうたい)に陥った諸葛亮が寝台に横になりながら皇帝宛ての遺書を

楊儀(ようぎ)に口述筆記させています。

ぽつり、ぽつりと言葉を出していく諸葛亮。

 

遺書の最後の文言を言いながらゆっくりと目を閉じ、そこでカットが切り替わり、

腕を布団の上に出し羽根扇を握りながら上体の上に置いているところが映ります。

その腕から力が抜け上体から滑り落ち、羽根扇がぽろり。

 

横山光輝さんの漫画『三国志』の臨終シーン

 

さてお待ちかね、イリュージョンです。

問題のシーンは漫画『三国志』単行本59巻の99ページから始まります。

勅使の応対を終え、皇帝宛ての遺書も書き、部下たちへの遺言も済ませた諸葛亮。

いつも乗っている四輪車を持ってこさせ、それに乗って外へ出ます。

夜空を指さし、諸将にこう言います。

 

見よ あの煌々(こうこう)と輝いているのが わしの宿星じゃ

いま滅亡前の最後の輝きを見せている

見ていよ 今に落ちるであろう

 

厳粛な面持ちで空に視線を向ける諸将。

満点の星空に、一筋の流星。

「あっ」

「ああっ」

口々に驚きの声をあげる諸将。

諸葛亮の四輪車に視線を戻すと、

四輪車に座ったまま諸葛亮は亡くなっていたのでした。

 

諸葛亮のこの手際がどうも、イリュージョンっぽく見えるのですが……。

観衆の注意を一方にそらしている間に何かしかけをやるマジシャンのようです。

亮さん、亡くなり方まであざやかです。

丞相は亡うなってない、きっと仙人にならはったんや……

   

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンの独り言

 

横山光輝さんの三国志は、最後まで諸葛亮があまり可哀相な感じにならなくていいですね。

少年漫画として、少年たちをあまり号泣させたら可哀相だという配慮でしょうか。

横山さんの優しさが現われている素敵な描写だな、と思いました。

 

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