ログイン | 無料ユーザー登録


if三国志
三国志の死因


はじめての三国志

menu

列子

「杞憂」の出典は『列子』意外に長くてちょっぴり哲学

袁術


はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

袁術

 

杞憂(きゆう)」という言葉があります。

意味は、心配する必要のないことを心配すること、取り越し苦労。

この言葉の出典は道教(どうきょう)の思想書『列子(れっし)』です。

杞の国の人が、天が落っこちてこないかと心配した話が『列子』に載っており、あらすじを知っている方も多いかと思います。

あらためて『列子』を読んでみると、この話は意外に長く、ちょっぴり哲学しております。

 

関連記事:【キングダムを更に楽しむ】六国で秦を倒せるような国はあったの?

関連記事:【キングダムで話題】戦国七雄の神武将7人を紹介


天は落っこちないし大地は崩れ去りません

 

『列子』にある杞憂の話を読んでみましょう。

 

 

杞の国に、天が落ち地面が崩れ人類の住む場所がなくなるのではないかと心配する人がいた。

食事ものどを通らず、眠ることもできぬありさま。

そのように心配する彼のことを心配する人がいて、彼のところへ行ってこうさとした。

「天は気が積もっただけのものである。気はそこらじゅうに充満しているものだ。

あんたが体を曲げたり伸ばしたり呼吸をしたりしているのは、常に天の中でやっているのだぞ。

崩れたり落ちたりする心配などない」

そう言われた男は、こう質問した。

「天が気の積もっただけのものであるならば、太陽や月や星が落ちてくることはないだろうか」

「太陽も月も星も、気が積もった中で光っているだけのものだ。

仮に落ちてきたとしても、ぶつかって怪我をするようなものではない」

「大地が崩れ去ったらどうする?」

「地面は下に積もった塊で、みっちりと詰まっている。

あんたが踏んづけたり歩いたりしているのは、常に地上でやっているのだぞ。

崩れ去る心配などない」

こう言われた男は、ああなるほどそうですねぇと大いに喜び、説得しに行った人もそうこなくちゃと大いに喜んだ。

 

現代人の常識とは違う考え方のようですが、そこは気にしないこととして。

このあたりまでが杞憂のあらすじとしてよく知られている部分かと思いますが、『列子』にはまだ続きがあります。


崩れないとは断言できない

 

上のやりとりを聞いて、笑って異論を唱える人が現れます。

 

長廬子(ちょうろし)という人はこの話を聞いて笑った。

「虹も雲も霧も、風も雨も四季も、気が積もった天の運行によるものだ。

山や河や海、金属や石、火や木、これらは積もって形をなす地によるものだ。

いずれも積もってできたものであるのだから、崩れないと断言できるはずがない。

天地は宇宙の中ではちっぽけなものであるが、形あるものの中では最も大きなものだ。

終わりや極みが分かりづらく、測りがたく知りがたいことは当然である。

崩れるのではないかと心配する者もとんちんかんだが、壊れるわけがないと言う者も間違っている。

天地が崩れないとは断言できない以上、崩れうるものであろう。

崩れる時に遭遇した場合には誰だって憂えずにはいられない」

 

すぐには崩れないかもしれないけれども、いずれは崩れるかもしれないという考え方ですね。

ちょっぴり哲学っぽくないですか?

さて、『列子』にはまだ続きがございます。


考えたってしょうがない

 

この杞憂の話、最後は列子のまとめで終わります。

 

列子はこれらの話を聞き、笑って言った。

「天地を壊れるという者も壊れないという者も間違っている。

壊れるか壊れないかは人智のおよばぬところだ。

何を言ってもそれぞれ一理あるということになるだろう。

生は死を知らず、死は生を知らず、未来は過去を知らず、過去は未来を知らぬ。

壊れる壊れないなどと心を煩わせないことだ」

 

どうせ分かんないんだから考えたって無駄さ、というまとめ方ですね。

これも哲学っちゃあ哲学ですか……。

『列子』は道教の思想書と言われていますが、儒教の聖典『論語』の「未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん」みたいな考え方ですね。

列子、リアリストなんですかね!?

『列子』は長い年月の間に加筆されながらまとまった本らしく、内容に統一性がありませんので、これが道教の思想なのかな、とか難しく考えなくてもいいと思います、たぶん。


  

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンさん

 

欧米にも杞憂に似たお話があります。

『Chicken Licken』という話で、日本では英語学習の教材によく載っているものです。

こんなあらすじです↓

 

ある日、ひよこのリキンの頭にどんぐりが落ちてきました。

「たいへんたいへん、お空が落ちてきちゃう! 王様に知らせに行かなくちゃ!」

王様のところへ行く途中、会う人会う人にこう語り、それは大変と、鳥の仲間たちがぞろぞろ連れだって王様のところを目指します。

途中で会ったキツネにもこの話をすると、キツネは王様のところへ案内しようと言いました。

案内された先には、お腹をすかせたキツネの家族たち。

結局、誰も王様に空が落ちてきていることを知らせることはできませんでした。おしまい

 

これはあらすじですが、ちゃんと読むと登場人物の名前が韻を踏んでいて面白いお話です。

このお話の教訓は、遠大なことを心配する前にもっと卑近なことを心配しなよ、ってことでしょうかね。

空が落ちてくることを心配するより先に、これから渡る横断歩道の右左を心配したほうがいい……。

 

関連記事:キングダムでついに韓非子の名が!韓非子ってなに?

関連記事:これであなたも知ったかぶり!春秋時代をザックリ紹介!

 

—熱き『キングダム』の原点がココに—

春秋戦国時代

 

よかミカン

よかミカン

投稿者の記事一覧

三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。

個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。

三国志小説『ショッケンひにほゆ』

【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】

何か一言:
皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。

妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。

読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

関連記事

  1. 石亭の戦いで曹休が反応してドキッとする周魴(しゅうほう) 【列子】どうしてオバチャンはいつも幸せそうなのか?恥も自意識もな…
  2. 程普 【列子】信念があればなんでもできる?火に飛び込んでも無傷な人の話…
  3. 毛沢東(もうたくとう) 【列子】愚公山を移す 中国語の教科書にも載っているいわくつきの説…
  4. 生姜を買ってくる左慈と曹操 『列子』でわかる!三国志の左慈が物理法則を超えられる理由
  5. 朝三暮四の出典は「荘子」と「列子」でも意味は微妙に違う
  6. 道具を輸送する民人 【列子】道教の「道」とは?道に身をゆだねれば安らぐかもしれない話…
  7. 劉備を警戒する王粲 「男尊女卑」と「疑心暗鬼」の出典は『列子』?
  8. 幕末 魏呉蜀 書物 『列子』はどんな本?永嘉の乱を生き残った奇書

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 三国夢幻演義バナー 龍の少年
  2. 苛ついている曹操
  3. キングダム52巻
  4. 法正が亡くなり悲しむ劉備
  5. 曹操は関羽をGET

おすすめ記事

  1. 趙雲の墓は存在するの?中国の三国志観光スポット旅行 趙雲
  2. 三国志のゲームの未来を「はじめての三国志」が考えてみる 荀彧
  3. 織田信長が朝鮮出兵をしたら勝てたのか?李氏朝鮮をフルボッコできた? 南蛮胴を身に着けた織田信長
  4. 荀彧は三国志の中でもトップクラスの名門だった件 荀彧
  5. もしも、曹丕が禅譲を要求せず後漢王朝が存続したら? 皇帝に就任した曹丕
  6. 黒田長政はすごい人?それとも親の七光りで出世した人?

三國志雑学

  1. 強くなる関羽
  2. 七星剣
  3. 連幹の計 呂布 貂蝉
  4. 馬超の兜にフォーカス


“はじめての三国志コメント機能" “はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 明智光秀 麒麟がくる
  2. 張飛にお酒はだめだよ
  3. 親バカな諸葛孔明
  4. 袁紹と曹操
  5. 荀彧
  6. 悪い顔をしている諸葛亮孔明
  7. 難斗米(なしめ)

おすすめ記事

劉焉 劉焉(りゅうえん)ってどんな人?益州に独立国を建国した漢 【書評】キングダム 最強のチームと自分をつくる【伊藤羊一】 北伐を結構する孔明 孔明の北伐はノープランだった!?北伐の意図は何だったの? 張飛が使う蛇矛 張飛の武器は蛇矛じゃなかった?蛇矛は三国志の時代の武器だった? はじめての三国志の「よくあるご質問」についてのお答え 曹操と鶏肋 曹操が呟いた「鶏肋(けいろく)」って何?楊修とばっちり 【アンゴルモア元寇合戦記】鎌倉時代の文学はどんなもの? 陸遜 陸遜の優れた計略とは?劉備は陸遜に殺されたの?

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム はじめての三国志コメント機能
“水滸伝"

“三国志人物事典"

“はじめての三国志コメント機能"
PAGE TOP